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3話_自己紹介

「それより邪慈子じゃじし抹殺機関フェルンスへの侵入に成功した」


 それには無口だった少年の口も開く。


「そこで面白い情報を入手した。我ら森神しん軍の味方であった。河瀬かわせ怜羅れいら

が敵であるフェルンスのトップに君臨している」


 そこで牧之瀬という少年は深くため息を付き言い難そうに言葉を進めた。


「その河瀬怜羅(かわせれいら椎名しいなあきの死亡により我等しんを裏切ったようだ」


 再び長い沈黙が続く。


邪慈子じゃじし・・・・」


 私は少年達に聞こえるか聞こえないかというぐらいの小さな声で呟いた。『沈黙』という状態は今だ続いていた。


 不意に扉が開いた。


 そこからやってきたのは黒い髪の少年であった。

 彼は部屋に入るなり、ちらりと私を見て暖かい紅茶を持ってきた、そして目覚まし時計が置いてある小さく、可愛い柄が入った木でできた机の上に置いた、初イメージはとても好ましいものだった。そんな彼が少々遅めに、


「・・・目覚めたのか」

 と口にした。


「お前達は何者だ、何がしたい?」


 不本意に口が動く。


「・・・・じゅん

「ああ、記憶が飛んでいるな、さっき俺のこともきいてきた」


 …そう。今、私は記憶喪失というものになっている。

 自分が何者かさえもわからないのに見ず知らずの男達と会話をしていたのだ。

 彼等と口を聞きたくないが、彼等の事を全くしらないと私は彼等に誘拐されたのか、それとも彼等が私の身を按じて私の元にやって来た友人なのかが分からず仕舞いであった。

 そんないろいろな気持ちが混ざり合って、今はこの気持ちを不安としか言いようがない。

 どうにかそれで私の気持ちを理解してほしい。


「淳達はなにかこいつに話したか?」

「いいや、特には何も話していない。怜羅れいらの話ぐらいだ。


 彼等は私に視線を集める。

 変に緊張した。

 額際から滲み出た汗が今の私の状態を物語っていた。


 三人の少年達もそれを理解していた。


「じゃあ、まずは簡単に自己紹介をしようよ、年齢と名前!」


 最初に口を出したのは口数が一番多そうな少年であった。


「僕は堀口ほりぐちかえで。14歳」


 私と楓は無口な少年に目を向ける。

 無口な少年の名前は一応知っていた。

 しかし辺りの雰囲気にのまれて、彼の名前と知っていたことを口に出さなかった、いや、出さなかった。(楓に言わせといたほうが面白そうだ)


「…で、隣のしゃいな子が牧之瀬まきのせじゅん君16歳、口数が少ないのは話題が思いつかないからなんだよ、=頭の回転が遅い馬鹿!!」


 次の瞬間、楓の頭にはタンコブできた、そして淳から逃げるように、(っていうか逃げてた)私の後ろに来た。

 それでも楓の口は止まらない。(本当におしゃべりな奴だなぁ)


「それで、黒髪の美男子さんがね」


 話の途中で黒髪の少年が楓の会話を遮った。(うん、正しい判断だ)


「俺は西村にしむらとおる15歳、ついでにいうと嫌いな生き物は堀口楓だ」

「うわっ!酷い!淳ちゃん!竜がいじめたー」


 淳は俺に話しかけるなというように


「一生いじめられてろ」


 と言い放った。

 その後、私と淳以外の2人は何となく盛り上がっていたが、そのテンションについていけずに逆にしらけてしまった。


「私は何者かを教えろ」


 二人の会話が終わる前にすかさず間を割って出た。


「お前もう少し柔らかくして会話はできないのか?」


 私は夏掛けを蹴り飛ばしひんやりと冷たいタイルの上に立ち上がった。そしてため息をついた。


「できないね」


 その言葉で竜が不機嫌になったのは火を見るより明らかだった。

 もちろん私はそのことに気が付いていた。が火に油を注ぐようにわざと大きくため息をついた。


「君は森神かみ


 竜が口走る前に楓が横に入った。


天神てん地神を操ることができる女神かみさ」

森神かみ・・・?」


 しばらく私達は黙り込んだ。


「最初から説明しようか」


 淳が呆れて物が言えないといったようによう口にした。

 私はそれと同時に床に落ちた夏掛けを2つ4つと綺麗にたたみ寝床の上に軽く置いた。

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