正直、『なろう』でエロ小説を書くことは難しいようだ。
私が『なろう』に小説を投稿していたのは十二年ほど前になると思う。
その頃の『なろう』では、異世界チート物がすごく流行っていた。今でも随分流行っているように思えるが、最近は悪役令嬢とか異世界転生が流行っていると思う。十年程前に私生活が忙しくなり、それっきり小説を投稿できていなかった。
そんな私であるが、隙を見て時間を作り、七~八年前にある小説を投稿していた。『彼女が欲しいと思った本当の理由』という作品だ。
あらすじを書くと、ある御曹司の元にメイドとして幼馴染がやって来て、幼馴染が好きだった御曹司が暴走して幼馴染と性行為を行うという話だ。
その頃の『なろう』は、普通に規制が緩かったこともあり、自分は問題ないだろうと当然の如く投稿した。
実際、R-15のタグはつけていたし、『なろう』のR-15他作品を見ると、もっと露骨な性描写が書かれている作品もあり、自分のレベルであれば投稿しても問題ないだろうと思った。
――しかし、だ。問題は今から二年前に発生した。私の作品が『なろう』の方々から規約に違反しているという知らせを受けた。私は規制に引っかからないように直接表現を避けていたし、その時期は転職活動を行っていたこともあり、その警告に対してちゃんと対応することができなかった。
その結果、私の作品は『なろう』の方々によって削除されてしまった。私が寝る間も惜しんで執筆したにもかかわらず、こんな見るも無残な姿になって帰ってくるとは思ってもみなかった。
正直な話をすると、私はエロ小説が大好きだ。実際に『ノクターンノベルズ』にもエロ小説を投稿していた。
だったら『ノクターンノベルズ』に投稿しろよという話になるのだが、良く考えてみて欲しい。
『ノクターンノベルズ』に投稿する場合、間違いなく露骨な性描写を記述することになる。実際、私が投稿した作品もしっかりと性描写を記述している。
しかし『なろう』に投稿する場合、そんな性描写を記載する訳にもいかない。理由は簡単。削除されてしまうからだ。
そこで私は、直接的な性描写を避けるため、直接的な性行為は書かず、暗喩を使用してやり過ごそうとした。この見えるか見えないかというギリギリのところにエロスを感じるということだ。実際、直接的な性描写よりも性描写を暗示する文言を見た方が、想像力が掻き立てられたというような経験はあるかと思う。
そして驚くなかれ。なんと削除された作品において、私は乳房という単語すら使っていなかった。これは暗喩を駆使すれば、アウトそうな単語を使用しなくても何とかやり過ごすことができるということに他ならない。ただし、比喩表現を多量に使用したため、余計卑猥になった可能性があることも否定はできない。
いずれにしても、上記の通り、直接表現を徹底的に避けたにもかかわらず、『なろう』では性描写を思わせる行為が記載されていた場合、削除対象になってしまうようだ。時代の流れのために仕方がないというのも分からなくはないが、同時にとても悲しくもある。
十年以上前には、一般作品の中にこっそり官能的なシーンが入ったものも結構拝読できたので、私としては正直もっと見たかった。『なろう』で官能的なシーンが見れないことは、非常に残念と言う気持ちがある。
これらを踏まえると、どうやら『なろう』でエロ小説を書くのは非常に難しいようだ。
暗示するエロも駄目となると、どのレベルのエロまで許されるのか最早自分には分からない。
これからは暗示エロも明示エロも、エロを書く場合は、『なろう』ではなく、『ノクターンノベルズ』に書かなければならないということか。なんだかなあと思う。
あと、今回の件とはまるっきり話は変わるが、作者間で評価依頼をしてはならないという規約ができたことにも驚いた。十年以上前であれば、作者間で平然と行っていたという記憶がある。
あの時は、今ほどSNSが浸透していなかったこともあり、評価依頼の掲示板や直接メッセージでやりとして、小説の評価等を行っていたはずだ。
一時期は小説に感想を書く場合は、会員登録をしなければならなかったため、感想を書いてくれた人は皆会員であり、ROM専の方は少なかったから、今よりずっと作者間で交流が活発だった記憶がある。
以上をまとめると、十二年前と比較して、『なろう』は随分変わってしまったと思う。
勿論あの頃は小説投稿サイト自体が少なく、私も小説を投稿しようとして、『なろう』くらいしか投稿するところがなかったので、『なろう』に流れ着いたという背景がある。
会員数も凄く増えたと思った。私は再登録したのだが、初登録した頃は、数万人の登録者数だったはずである。
ところが、今の会員数は二百万人を超えているようだ。これも『なろう』発小説のアニメ化の影響と考えられる。
『なろう』の会員数が増えたこと自体は凄く良いことだと思うが、個人的にはやはりしっくりこないところがあることも事実だ。
少人数の作家で集まって、個人で小説の企画を開催し、皆で感想を言い合ってワイワイガヤガヤしていた時代も確かにあったのだ。私は企画の開催者ではなかったが。
この文章を書いたところで、これと言ったオチはないのだが、ふと気になったので、記録として書いておきたいと思った。
今後も私は、『なろう』での規約を守りながら、ちょくちょく小説を書いていこうと思う。
勿論――消されるからエロはなしで、だ。