夏の思い出
長い長い夏休み。僕は毎日タケシの家に遊びに来ていた。タケシの家は少し裕福で、テレビゲームやマンガが豊富にあり、もちろんエアコンも完備されている。そんなタケシの家は僕にとっては最高の遊び場になっていた。
今日も朝からタケシの家に入り込むとご飯も食べずに対戦ゲームに夢中になっていた。何時間経っただろうか、そろそろ違うゲームにしようとタケシと話していたところ「ドンッ」という荒々しいノックの音が響いた。タケシが恐る恐るドアを開けるとそこには鬼の形相をしたタケシのお母さんが立っていた。
「いつまでゲームやってるのよ。たまには外で遊んで来なさい」
いつもは穏やかなタケシのお母さんの剣幕に圧倒され、僕達は蜂の子を散らすように家を飛び出した。楽園を諦めきれずどうにかして家に戻れないかとドアや窓からの侵入を試みたが、まるで要塞のように全てが固く閉ざされていてどうすることも出来なかった。しばらくして観念すると僕達は不本意ながら公園に向かうことにした。
夏真っ盛りの公園は楽園とは程遠く、騒がしい蝉の声と熱く重たい空気に支配されていた。
「こんな暑い日に公園なんかにいたら熱中症になっちゃうよ。どっか涼しいところに行こうよ」
「でもさ、母ちゃんに急に追い出されたせいでゲームセンターで遊ぶお金も持ってきてないし、スーパーで涼んでてもつまらないじゃん」
「どこだってこんな暑い公園でぼーっと座ってるよりはよりはマシじゃない?」
「じゃあさ、かくれんぼしようぜ」
「えー、やだよ。暑いし。それに2人じゃできないじゃん」
「久しぷりにやろうぜ。あそこにいる暇そうな女の子を誘ってくるからさ、それに最初の鬼は俺がやってやるから」
タケシはそう言うと小走りで女の子の所へ向かい、一言二言会話すると、僕の方を向いて両手で大きな丸を作って見せた。
「まったく。仕方ないなぁ」
タケシは一度言い出すと止まらない。僕は観念してかくれんぼに付き合うことにした。
そそくさと鬼の配置についたタケシは早く隠れろと手で合図し、僕と女の子は隠れ場所を探しはじめた。突然参加することになった女の子はこの辺りの子ではないらしく、公園をウロウロするばかりで中々隠れ場所を決められずにいるようだった。
「こっちに良い場所があるんだ」
僕にとってこの公園は幼い頃からの遊び場で、庭みたいなものだから当然隠れ場所も熟知している。見かねた僕はその中でも最高の隠れ場所である物置を女の子に教えてあげることにした。
この物置は町内会の備品を保管するためのものであり、普段は施錠されているため誰かが隠れているとは誰も思わない場所だ。それに僕は長年の経験から木の枝で鍵を開ける方法を身につけていた。
「声を出しちゃダメだよ」
「見つかったら捕まっちゃうからね」
そう言って僕と女の子は物置に入り、タケシがこちらを見ていないことを確認してから静かに扉を閉めた。
「もう大丈夫。ここに隠れて捕まったことは一度もないんだ」
「それにしても未成年がこんな夜に出歩いていちゃダメだよ。警察がいたら補導されちゃうよ」
「え、でもさっきタケシ君が警察がいるから隠れろって」
「馬鹿だなぁ。警察がいたらお前なんか無視して逃げるに決まってるじゃん。さっさと済ましてやるから静かにしてろよ」
そう言うと僕は女の子に覆い被さり、小さな口に舌を捻じ込んだ。女の子は手足をバタつかせて抵抗したが、ブラウスを破り捨てると観念したのか次第に大人しくなっていった。
無抵抗になった女の子を頭から爪先までゆっくりと丁寧に愛撫していると物置の外からタケシの声がした。
「もういいか?」
「まだだよ」
「もうやめて」
「これからだよ」