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プロローグ



 ふかふかな感触――――。



 とてもあたたかくて気持ち良くて、眠たくなってしまう。

 家のぬくぬく布団なんて比べ物にならない。こんなふかふかな感触、感じたことがない。

 

 ああ、ずっと、この心地よさを感じていたい――。



 なんて思った矢先、扉の開く音が聞こえた。




「ーー……、ーーーーーーー……」




 ――――鈴の音だ。



 いや、違う。これは女性の声だ。

 女性特有の可愛らしい声である。


 だが、俺は鈴の音と勘違いするような可愛らしい声の女性は知らない。

 俺の母親も妹も鈴の音なんてのとは程遠い。



 誰だ?



 声の正体を見たいと思う反面、このふかふかから出たくないと思う気持ちもあった。




「ーーーーーーーーーーー、ーーーーーーーーーーーー」




 ぐに、と腹の辺りを押される。



「うぐっ」

「ーーー!?」



 腹部への重みに驚いて思わず声を漏らすと、びくついた声と共に腹の重みはなくなった。



「ーー!?ーーーーー……!?」



 訳のわからない言葉と共にぬくぬくふかふか布団が剥ぎ取られる。




「あッ! 俺のふかふか!!」


 思わず飛び起きた。



 人間、暖かいものを急に剥ぎ取られるのは嫌に決まってる。


 俺の大事なぬくぬく布団を奪ったクソ野郎に一発お見舞いしてやる!!布団を奪った恨みだ!!!



 ――――なんて思ったのもつかの間。




「ーーー!?ーーー!!?」


「へっ……?――ギャッ」



 俺が一発くらわせる前に、俺の頬に紅葉が咲いた。


 力強い平手打ちだった。




 後から言い訳しているようにも見えるだろうが、俺が相手を殴れなかったのにも理由がある。

 勿論、相手が女だったというのもあるが、それよりももっと大事なことだ。



 相手が"超"のつく美少女だったこと。


 そして――――。





「つ、の……?」




 ――――目の前の美少女のこめかみに、"角か生えて"いたことだ。




 怯える角の生えた美少女と困惑に困惑を重ねた俺。


 ただひとつ言えることがあるとするなら





「……角の生えた美少女とか、どんなファンタジックな夢だよ」





 だが、痛みを伴う頬の紅葉が、夢ではないと主張していた。

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