ストロンゲスト・スワスティカス
「……ファック……」
男たちの一人がつぶやく。
軍服の男たちは《最強マジ卍ナチス団》。
シャムロックに恭順する零細ギャング組織だ。
ここ数日中の実入りが良かったので、団は新年会を本年中に前倒し。
安酒およびファーストフードに舌鼓を打ち、ドラッグをキメて熱狂した。
宴会のノリで、彼らは中古品のヘリを購入。
『突撃隊なりきりセット』を着用。
爆音でワーグナー・ベストアルバムを再生。
〝空のトリップ〟を楽しんだ。
愚行の帰結としてヘリは不時着。
助かったのは奇跡だ。
ヌード乗馬クラブの警備は、地上からの侵入と空からの盗撮を警戒してのものだ。
空からの物理的な侵入を防ぐことはできない。
偏向光学隠蔽のかかった場所、つまり何があるのか上空から確認できない接地危険地帯に着陸を試みる狂人は想定外なのだ。
「レバー蹴ったん誰よ?」
「ファッキン無茶っしょ」
「見ろ! ファッキン美少女三匹!?」
「バッカ幻覚だよ! 俺ら薬やってんだぜ?」
「ふつー美少女が全裸で乗馬するか?」
「けど幻覚ならファックOKだよな?」
「ファッキン頭良し!」
「ハーバードかよ!? ファッ――」
銃声。
アルフが発砲した。
男たちの腰に、銃があるのに気づいたのだ。
イヴを乗せたまま、クレッシタの腰を蹴って走らせ、敵へ接近。
彼らの目的はわからない。だが殺すべきだと考えた。
「幻覚に撃たれた!?」
「ファッキンファック!」
「そうか! ファッキン閃いたぞ! ありゃヴィペルメーラの――!?」
銃声。
ヴェラの顔を見て何かを閃いた男が射殺される。
だが仲間は理解した。
「殺れ! ファックしてシャムロックに届けれ――!?」
「股間スッキリ預金ガッポリ――!?」
「ファッキンサイコ野郎! まだお喋りしてんでしょう――!?」
喋る男たちを、アルフは次々に射殺していく。
既に五人殺し、残りは三人だ。
「こなクソつるぺた金髪ショート――!?」
さらに射殺。
残りは二人。
だが狂人とて引金を引きまくれば、弾幕を張ることが可能だ。
「ああっ!?」
ヴェラの目の前で、インファンジアの頭が爆ぜた。
流れ弾に当たったのだ。
馬体はバランスを崩す。ヴェラも落馬する。
とっさに受け身を取り、大きなケガはない。だがあちこちが傷んだ。
痛みを忘れてヴェラは走りより、インファンジアを抱きしめる。
少女の美しい裸身が、愛馬の血に汚れる。
「えっちの騎兵突撃かよ――!?」
「ファック! 何故チンポが――!?」
後方の出来事に気づきもせず、アルフは残りの二人を射殺した。
クレッシタの歩みを止めさせ、イヴを残して華麗に下馬。
リボルバーを構えたまま、ヘリの中に入る。
「アアッ御子よ! この穢れたる地上を清めあ――!?」
幻覚のために椅子を拝む男を射殺。
アルフはあたりを見回す。
目についたスイッチを操作。
ヘリコプターのエンジンが切られた。
アルフはリボルバーの弾倉を開き、空薬莢を捨てる。
ガンベルトの弾をすばやく装填。ヘリを出て乗馬し、ヴェラのそばに戻る。
「敵を殲滅しました、ヴェラ」
「ぎゃあ!」
本日も「プソイド・カライド」をお読みくださりありがとうございます。
薬物乱用、ダメ絶対。
本筋ではございませんが、「プソイド・カライド」は薬物乱用の防止を訴えています。います。
それから、twitterを始めました。
現状、作品投稿お知らせ、日常生活つぶやきなどに使っています。
「小説家になろう」以外のサイトで発表した成果物もご覧になられる読者諸賢におかれましては、フォローorリストに入れておいてくださると見逃し防止などに有益であろうと存じます。
もっとも、SNSは時間泥棒にして不安&憎しみ&その他負の感情増幅装置であることを免れません。僕としては誠意とトーンの抑制とに努めるつもりであります。しかしSNSそのものの性質に根ざした本質的な害を滅ぼしきれるはずもありません。SNSは危険です。イシルドゥアの禍のように、サウロンに親石を握られたパランティアのように、依存を誘うという意味で薬物のように危険なものです。それでも便利さを無視できないので、やはり始めてしまいました。
危険を承知の上で、↓アカウントをここに載せさせていただきます。
https://twitter.com/Takaki_Paani
ID:Takaki_Paani
あとがきの最後までお読みくださりありがとうございます。
皆さまと僕とに、いいことのありますように。