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盗賊団 2

  2人の盗賊の背、背後にあった洞窟の中、盗賊団の拠点は、光が閉ざされた空間。 ということはなく、等間隔で天井から吊るされている光を放つ魔道具が設置されており、その光は眩しいと感じる程のものではなく、ほんのりと発光していた。


「コツ、コツ」

 

  俺が歩く度にそんな音が洞窟内で反響して耳に入ってくる。


  静かだな。 まだ早朝だから誰も起きてないのだろうか? まぁその方が楽だからありがたいんだが。


  そんな事を考えながら通路を進んで行くと、洞窟に入って進んでいた道中、代わり映えのなかった景色に変化が訪れる。



「――分かれ道か」


  少し進んだ先、左右に二股に分かれる通路があるのを目視する。 そして、分かれ道の手前までたどり着いてから立ち止まる。



  どっちに進もうか……



  ――右だな。



  ある1つのスキルを発動しながら少し思案し、考えが纏まると、止めていた足を再び動きださせる。



  それにしても、ひとまとめに拐われた人達がいるのはラッキーだな。 万が一騒ぎになって人質とかにされたら面倒だったろうし。 まぁそうなったとしても今の時点で俺が侵入した事に気付いてない連中相手なら人質取られたとしてもなんとかなるんだが。



「――――――ぃよな」



  誰にも遭遇する事なく進んでいると、誰かが会話している声が耳に入ってくる。 先程、スキル「サードアイ」 でも確認した見張り役の者だと推測する。 低く、野太い声が始めは聞き取りにくく、しかし段々と鮮明に聞き取れていく。


  ちなみにこのスキルは結構な頻度で使用しているスキルの1つだ。 効果は透視と言うか、x線写真のようなもので、遮蔽物を通り越してその先を視る事が出来、範囲は50メートル程度だ。




「――しても昨日来たばかりのあの女たまんねぇな。 他の女共より断然綺麗な顔、それに綺麗な肌してやがる。 ここから見てるだけなんて拷問だぜ」


「確かにな。 しかし俺らには回してもらえねぇだろうから期待するだけ無駄だぜ? 」


  縦横と、共に3メートル程の通路を抜け、部屋の中に入り、耳に入ってくる下卑た男達の会話に若干顔を歪ませるが、すぐにその感情を消し、男達を視界に入れる。


(冷静にならないと。 殺しちゃったら可哀想だ。 )





「だよなぁ。 まぁいい今日の夜、代わりに他の女をこれでもかと言うほど犯してやる! んっ? 誰だテメェ」


「どうした?」


(新入りか? いや、お頭がこんなガキ入れる訳ねぇしそれに身なりが良すぎる。 ……チッ! 入り口の見張りは何してやがる)



「鍵持ってる?」


  俺は男の問いかけに答えず、逆に質問を投げかける。 俺に警戒しているのか、最初に気付いた男が武器に手をかけるのが目に入る。


「なに言ってんだクソガキ! テメェは誰だって聞いてんだろっ!」


「ユウ。 答えたよ。 ほら、そっちも答えてよ」


「この……クソガキッ! そう言う事聞いてんじゃねぇんだよ!」


  バカにされていると感じたのか、俺に対して剣の先を向け、もう1人も同じように剣の切っ先を向けてくる。 まぁバカにしてるんだが。 鍵持ってないのスキルで分かってるし。



「ガキって、こんな事で腹立ててるお前の方がガキだと思うけど……まぁいいや、一応聞いただけで、教えてくれると思ってなかったから」


  そう喋り終えると、右手に持っていたナイフを構え、洞窟の入り口で倒した男達同様、彼らでは捉えきれないスピードで移動し、腕を斬りつける。

  すると、ドサッ、ドサッ。 と連続で男が倒れ、動かなくなる。 俺は冷めた眼でその姿を一瞥し、ナイフを仕舞う。



  ――結構多いな。


  視線は、この部屋の大部分を占めている牢屋、それにその牢屋に囚われている女の人達だ。 先程の騒ぎで起きてしまったのか、数人程がこちらを窺うように見ている。


  どうするか。 ……鍵がなくても牢屋を壊せるが、別にこのままでも安全か……すぐに助けなければ死んでしまうような人もいないみたいだし、よし。 取り敢えず戻ってもう1つの通路に向かおう。 親玉が持ってるだろ。


「――あっ、あの!」


  どう行動するかを決め、その通りに行動を開始しようと動き出すそんな瞬間、ためらいがちにそんな声が耳に入る。


「んっ?」


  牢屋の中、女性が1人こちらに少しでも近づけるよう歩いてくる。


「あの。 その、アナタが探している鍵というのがここの牢屋の鍵だというならば、その人達は鍵を持っていないと思います。」


「えっ?」


  ――そういや倒れてる連中に鍵の事聞いてたな。 からかい目的で。


  女性は俺に対して近づける最大まで近づくと、牢の鉄格子である、大人の男の腕程ある鉄柱に右手と左手、それぞれ一本ずつ握りしめる。


「あ、……えっと、そうですか! 貴方はどこにあるかご存知なんですか? 」


「ど、どこにあるかまでは……すいません。 でもここの盗賊の首領しか持っていないと思います。 牢屋を開ける時は決まってボスと呼ばれる人でしたから」


「そうなんですね。 わかりました! じゃあちょっと探してきます。 ――あっ! 僕が貴方達をどうこうする気は無いので安心してください。 依頼で来てまして、助けるので。 それと安心して欲しい旨を他の方々に説明お願いできますか? 目を覚ましてきている人達が居るみたいなので」


「はっ、はい! あの、お気をつけて下さい」


  彼女の背後がザワザワとし始めたので、矢継ぎ早に説明をし、部屋を後にした。

 


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