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第28話 王妃と王女
やがて王妃が静養地から帰ると吉日を選び、王太子の正式な任命式が行われた。そこにはクローディア王女も立っており、あらためて王太子の婚約者であることを大々的に発表させられた。
二人は照れて言葉もなくニコニコしていた。早く部屋に帰って遊びたかったのだ。
王妃は許されて椅子に座っていたが、立ち上がり晴れの二人を祝福して跪いて手を握った。
「フレデリック。これで立派な未来の国王となるのだわ。クローディア王女。フレデリックをよろしく頼むわね」
それにクローディア王女は大きく頭を下げて答える。
「そんなおそれ多いです。王妃さま」
「ふふ。同じ名前なんて親近感が湧くわね。あなたは私の娘よ。早く嫁いでいらっしゃい。待っているわよ」
「は、はい!」
王女はうれしくなった。始めは不安でいっぱいだった異国への留学。
婚約者となる王子がいじわるだったらどうしよう。王妃が怖い人だったらどうしよう。
そんな悩みが心の中にあったのだ。
しかし来てみれば楽しい留学だった。王太子となった王子ともとても親密になれた。
ほかの家臣たちとも。半年と言わず、このままここに住みたいぐらいだ。
だがやはり小さな子どもだ。父母が恋しい。あと数日で国へと帰る。
楽しみでもあり、タックアから離れるのは哀しくもあった。




