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十四話 不幸の手紙


「まさかまさか……うさわの犯罪者と学園の高嶺の花が同じアパートに住んでて、しかもお隣さんなんてねぇ……」


 平田は「そんな偶然もあるのね」と、興味深そうに頷いた。

 結局、郁乃の失言をきっかけに全て話してしまった。郁乃が。まあ、変に隠して勘繰られるよりも、自分から話してしまった方がよかったといえばよかった。


 俺たちは今、そのアパートに向かって下校している。ちょうど、琴吹学園前の激坂を下り終え、平坦な市街地に出た辺りを歩いている。


 俺が前を歩き、郁乃と平田が俺の後ろを横に並んで歩いている。空は黄金色に染まり、「カーカー」と一羽のカラスが暇そうに鳴いていた。


「ふーん……それで? 2人って、もしかして付き合ってたりするのかしら」


「はぁ……平田さん。そういうゲスの勘ぐりしかできないのかしら」


「ちょ、ちょっと聞いてみただけじゃない……! ただ、ほら……なんにもないの? 郁乃さんにはその気がなくても、小藤翔太には気があるかもしれないじゃない」


 ただでさえ、隣に同級生が住んでいるなど……まるでフィクションのような話でら運命的ではないかと平田は言った。


 意外と平田は乙女チックなんだなぁ……と、俺は内心で呟く。


「……別に、変な気とかないから。妹いるし」


「ああ、そうだったわね……。でも、高嶺の花よ? 本当になにも思わないの?」


「思わない」


 俺が即答すると、平田は「へぇー」とあまり興味がなさそうだった。自分から質問してきた癖に……。


 反対に、郁乃からやや突き刺さる視線を感じた。振り返るのが怖かったので、俺は努めて前を向く。

 ちなみに、郁乃が俺にご飯を作ってくれていることなどは、さすがに伏せている。


 鬼の風紀委員長が、「不純異性交遊!」と騒ぐのが目に見えているからだ。

 だから、平田からすれば、俺と郁乃は本当にただのお隣さんなのである。


 とりあえず、これ以上この話題を掘り下げられるとボロが出そうだし、話題を変えよう……。


「なあ。そういえば、なんで平田って鬼の風紀委員長なんて呼ばれてるんだ?」


「え……べ、別にいいじゃないそんなの……」


「それはですね」


「ちょ、い、郁乃さん!?」


 平田が遮ろうとするも、郁乃は無情にも淡々と続ける。


「委員会が代替わりしてすぐ、平田さんが風紀委員長になってから、学内の取締りが厳しくなりましたから」


「厳しく? それって悪いことなのか?」


「いいえ。実際、風紀はよくなりました。ただ、よくなりすぎたと言いますか」


「よくなりすぎた……?」


 本当かよ。俺の周りはそんなに風紀よくないぞ。消しゴムはよくなくなるし、不幸の手紙はもらうし。


 あ、俺の存在自体が風紀の乱れだったわ。(ガチ犯罪者)


「翔太くん、思い出してみてください。都内でいじめられていた時と、こっちで受けている嫌がらせ……どちらの方が過激ですか?」


「おいちょっと待て。ちょっと待てよ。まてまてまて。なんで俺、転校する前からいじめられてた前提なの? おかしいよね? ね? しかも、なんで俺が、嫌がらせされてるの知ってんだよ」


 怖いわ。郁乃さんマジ怖い。


「先日、下駄箱で手紙を持っていたところを見ましたをあなたが、鼻の下を伸ばして、手紙を中を見た途端、肩を落としていましたから。さしずめ、ラブレターと思って開けたら、不幸の手紙だったのでしょう?」


「……正解ですけど。なんすか……なんなんすか! おい笑ってんじゃねぇよ平田!」


「ぶふっ……いや、ごめんなさい……ぷっ、ラブレター……」


「貴様この野郎! いいだろ別に! 下駄箱に手紙が入ってたらラブレターだって思うだろ!?」


「あ、ちなみにそれを書いたのは私です」


「お前なの!? 味方だと思ってたのに!」


「いえ、先日あなたが、私の部屋のポストに不幸の手紙を入れてきたので、その仕返しをと」


 なんでバレてるんだろう……。

 郁乃と初めて会話した日の夜。不幸の手紙を投函してやろうと思って、その日のうちに投函したのだ。


 今思えば、なにをバカなことをやってるんだろうと思うわけだが……おかしいな。名前は書いていないはず。


 俺が恐る恐る郁乃の方へ振り返ると、彼女はにっこりと笑顔を浮かべていたので、俺も愛想笑いを返した。


「ふふ……見てすぐに分かりましたよ。あなたの字、汚いので」


「なんで知ってんだよ」


「授業であなたが黒板に書いた字が汚かったので、クラスの中で一時、話題になっていました」


 聞きたくなかったそんな事実。


「しかし、なぜあれほど字が汚かったのでしょうか……っ」


 ふと、郁乃はなにかを思い出したかのように、ハッとして顎に手を当てた。何事だろうと郁乃を見ていると、平田はそんな俺と郁乃を交互に見て、目を瞬いた。


「……珍しい。高嶺の花が、男子とこんな楽しそうに話すなんて」


 ぽつりと呟いたため、俺には平田がなんと言っていたか分からなかった。

 しばらくして、郁乃は顔を上げて俺に尋ねた。


「あの……もしかして、翔太くん。左利きですか」


「え? まあ、そうだけど。なんで?」


「いえ……あの時、黒板に文字を書いていたのは右手だったなと。字が汚いのは、そういうことだったのですね……」


「あー……」


 俺は変なを気を遣わせてしまったと、自分の髪を撫でた。

 実は、左肩が壊れてしまったせいで、左手の指は細かい動作ができなくなっている。


 だから、文字を書くみたいな細かな作業は右手を使うしからないのだが、利き腕じゃないし、まだ慣れていないこともあって、上手く文字が書けないのだ。


 別にただの笑い話として受け取ってもらいたかったのだが、郁乃の表情が暗くなってしまった。


 平田は、なんの話が分からず、しきりに俺と郁乃を見ていた。

 俺は妙に辛気臭くなってしまったので、気を取り直して前を向いた。


「……? ねえ? なんの話なの? え? あたしだけ仲間外れなの? ねえ?」


 こいつうるせえ……。

 ああ、平田で思い出した。


「そういえば、結局なんで平田は鬼の風紀委員長なんだ?」


「あ……それはですね」


「なんであたしの話はよくて、そっちの話はダメなの!? ねえ、ちょっと教えなさいよ!」


 教えないよ。めんどうくさい。

 俺は苦笑を浮かべた。

最近は、ノベルゲームが好きです。

どうも青春詭弁です。


幼馴染にはいろいろなタイプがいるわけですが、私はクールな女の子が好きですね。苦手なものはピーマンです。


寒くなってきましたね。そろそろ冬になります。冬といえばクリスマス。クリスマスといえば、幼馴染とクリスマスパーティーですね。


クリスマスパーティーなんて幼馴染ラブコメの王道ですね。まあ、私クリスマスパーティーやるような幼馴染いないんですけど。


クリスマスのあとは、バレンタインですね。初詣?なにそれ美味しいの?


一年を通して、幼馴染に関わるイベントはたくさんあるんですよね。え?それ幼馴染関係ないだろ……だって?


( 'ω')ゴメンチョットナニイッテルカワカンナイ

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