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クール系主人公(笑)

趣味として始めました。

亀更新ですが暇なときにでも覗きに来てください。

 近頃の日本は、どこもかしこもますます建造物が立ち並んで便利になる一方で、緑がどんどん少なくなっている。

 緑というのは人々の心に安らぎを与え、生活をより豊かにするものだ。

 都会の人が冷たいなんていうのは、他人に優しくする余裕やゆとりがないからだろう。やはり都会にももっと緑が必要であるのだ。


 それに比べてここはどうだ。

 周囲360度を取り囲む木々、目の前にはアリが列をなして進んでいて、生い茂る木の葉の間から見える空では鳥たちが集団で飛んでいる。

 あちらこちらから多様な動物の鳴き声が聞こえ、近くに川でもあるのか、せせらぎがかすかに聞こえ、まさに自然の中に身を置いているというものだ。

 その体感が自らの心を浄化し、かつて住んでいた東京では感じることのなかった、自然の雄大さというものを改めて思い知らされた。


 そしてこうも思った。


「いやここどこだよ!?」


 むしろ叫んだ。

 なにが自然の雄大さだよ!思い知らされてる場合か!

 てか、え?俺さっきまで教室にいたよな?何でこんな富士の樹海みたいなとこにいんだよ!!気が茂り過ぎて緑どころか暗いんだよ!!

 しかも、動物の鳴き声というより悲鳴や絶叫というべきものがそこら中から聞こえるし!

 そして目の前のありは...特に異常はないな。少し大きいだけだ。


 ...いや、待て。()()()だと!?


 うつ伏せになっているのかと起き上がろうとするも、腕に力が入らない。


 というか腕がない。

 ただ青くてつるつるしていた。


「..........え゛?」


 異常なのは俺でした。


 っていやいやいやいや、ちょっと待ってくれよ!何で俺の身体が青くて、いい感じに光沢まであんだよ!!

 え?寝てる間にどっかの研究所にでも連れ去られて腕を改造でもされ...てもこうはならないだろ!!

 ...てか腕だけなのか?


 ......。


 急にこれまで17年間付き合ってきた自分の身体に自信が持てなくなり、不安に駆られながら前方に向かって走った。

 ...つもりなんだが、視界のアップダウンが激しいのが気になって、ふと足元を見ると股がなかった。ただ青く()()()()してるだけだ。

 つまり走ってたのではなく、跳ねていたのだ。


 マジで俺の身体どうなってんの!!?


 すぐに視界が明るくなり、割と幅の広い川に出た。

 俺は一目散にその川を覗き込んだ。

 思ったよりも流れは速かったが、水面にはしっかりと見たい...いや、見たくない姿が映っていた。


「スライムになっとるうううぅぅ!!!!」


 見紛うことなき、スライムと言われてイメージするそれと変わらぬ姿が映っていた。

 青いしずく型の、序盤も序盤で勇者に大量虐殺される例のやつだ。


「何で何で何で!!スライムになってるとか気付いたらスライムでした、とかスライムがスライムとかほんとにマジ意味わかんねー!!!ガチでどうなってんだよ!!!」


 ...ふぅ。なんてね。

 まさかこの俺が一瞬でも動揺するとは思わなかった。

 だがしかし!こんなことでいつまでも取り乱す俺ではないのだよ。

 俺が研究した彼女をつくるための100の方法の内の一つ、それがどんな状況でも冷静に振る舞うことだ!

 中学時代、窓際の席でクラスの女の子に囲まれながらも、淡々と無表情応答している鉄仮面(命名;俺)がキャーキャー言われていた。爆発しろ。


 つまりはだ。

 何事にも動じない鋼の心をもつことで彼女ができると確信した俺は、高校デビューとしてクールキャラにジョブチェンジしたのだ。

 しかしながら、未だにいない歴イコールなんちゃらなので、それはおかしいと友人に相談したことがある。


「え?お前がクール系??教室の隅でいつもぼっちのお前が???どう見てもただの陰キャです、ホントにありがとうございましたww」


 ...とりあえずボディーブローをおみまいしてやったぜ!

 全く俺のことを陰キャ呼ばわりとは失礼なやつだ。陰キャっていうのはもっとなんかこう...なんなんだろ?

 そうだ!教室で休み時間とか、いつも独りで寝たふりとかしてしてるやつだろ?そんなのと俺を一緒にするなんて...あれ?これって俺にも当てはまんね?


 ...あいつの言うことにちょっと影響を受けてるな、うん。

 第一あの友人は、入学当初に彼女をつくる方法を共有しようと相談したら


「彼女どころか嫁もつくれる方法なら知ってるぞ」

「本当か!是非教えてくれ!!」

「慌てるな、これを貸そう」

「...これは?」

「『スクール・ラブ ~学校の美少女を独り占め♡~』だ!俺のイチオシだぞ?」

「ただのギャルゲーじゃねーか!!」

「失敬な!!どのヒロインも悲しませない、ハーレムルートもある神ゲーだぞ!?因みに僕の推しは転校生の金髪巨乳の...」

「知るか!!!」


 ...まあこんなやつに意見を求める方が間違ってるな。


 そういえばあいつが前に


「異世界行けば僕もモンスター倒して美少女助けて、無双しながらハーレムつくれるのになあ。そうすれば犬耳美少女や巨乳なウサ耳ちゃん、貧乳エルフに妖艶サキュバスたんとあんなことやこんなことができるのに!

 ああ!!何で僕は異世界で生まれなかったんだ!!!」


 なんてほざいていたが、もしかして今の状況はまさしくそれなのでは!?

 すると俺はついに念願の彼女、いやむしろ美少女ハーレムがつくれるのでは!!?

 かわいい女の子たちとあんなことやこんなことが...


 あいつから借りた本では、"ステータスオープン"と唱えることで自分のその世界での強さを数値化して見ることができ、主人公はどの数値もずば抜けて高く、その高い能力値をいかして女の子の窮地を救い、ハーレムを形成・拡大していた。

 つまり!今ここで"ステータスオープン"と言えb


「うええええぇぇぇ!!!なんか出たああぁ!!!」


 急に目の前に半透明のスクリーンのようなものが映し出された。

 え?もしかして口に出てたの?今まで思ってたこと全部!?


 ...いや、落ち着け。

 心で思っただけで現れた可能性もあるな。うん、きっとそうに違いない!


「それより肝心のステータスだよ!さてさてどれくらい大きい数値かな?

 平均値がわからない以上なるべく大きい数値であること期待するしかないけど、できれば同じ最強でも突き抜けた強さがいいな!」


 まあ心の準備もできたことだし、どんな数値でも冷静に受け入れるぞ!




 名前  

 種族  スライム

 職業  テイマー

 Lv  1

 HP  11/11

 MP  11/11

 ATK  1

 DEF  1

 INT  1

 RES  1

 DEX  1

 称号  異世界人 自称クール




「どーなってんだよ!!!全部1じゃねーか!何が最強だよ!

 平均値は小数でした☆、とでもいうつもりか!!?」


 異世界行ったら無双ハーレムが当たり前なんじゃねーのかよ!!!いったい全体どうなってんだよ!!?


 これじゃあ...


「俺の彼女はどうやってつくるんだよ!!!??」


クラスにおける無口な人の立ち位置:

イケメン➝クール

フツメン➝陰キャ

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