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70話 Regret Ⅳ

「嘘…罪人が七人も…」

一角の罪人ですら一個大隊かつ実力者が揃っても倒せるかどうかと言われているレベルだ。それが複数、対してこちらは四人、流石に倒せないと思った。

「憐斗、私と大和で五角と…六角ぐらいは何とかする」

結彩さんの申し出に珍しく心配そうな表情をした。

「大丈夫か?」

「うん!」

「任せろ」

結彩さんと大和は迷い無く答える。

「頼む!」

次の瞬間結彩さんは二体の罪人に向け地中から結晶の柱を突き出させる。予想通り二体は回避をするがそこに結晶の矢を放ち六角を撃ち抜く。注意が逸れた隙を狙い大和が接近し五角に結晶の欠片を纏う砲塔を殴り付け吹き飛ばす。後退する二体を追い掛け二人の姿は見えなくなった。

「深咲、少し下がっててくれ」

「どうするのですか?」

「少し本気を出す」

その発言の直後、眩い閃光と共に雷のような轟音が鳴り響く。眩しさに思わず目を閉じてしまい、目を開けると一角、二角の心臓が貫かれ消滅していた。

「っ!?」

何が起きたのか理解でき無かった。しかし次の標的が三、四角の罪人に向きそれに気づいた二体は状況を把握する暇もなく次の判断を迫られていた。すると四角の罪人がアルマを召喚し襲わせる。それらに対して拳銃を取り出しゆっくりと前に銃口を向ける。拳銃でどうやって対抗するのかと思ったがその心配は必要なかった。

引き金を引いた瞬間、拳銃から放たれた衝撃波とは思えないほどの衝撃と共に炎を纏う。更に高温の炎からプラズマが発生する。それを回避するアルマだったが高熱の熱風に焼かれ、発生したプラズマに撃ち抜かれ、回避が間に合わず直撃、とアルマは瞬く間に殲滅されてしまう。戸惑う四角の至近距離まで瞬時に近づき居合いが放たれ罪人が消滅。それを見た三角の罪人が全身から砲塔が展開、一斉砲撃を放ち弾幕により間合いに近づかないようにする。しかし腕を振り上げ起きた熱風により砲弾の勢いを相殺、鞘から引き抜いた刀は炎を纏いそれを突き出し罪人の心臓を突き刺し爆炎が罪人の身体を貫通し噴射する。焼滅する三角の背後から七角の罪人、咲果が居た。

「まさかここまでやるなんて…予想外だよ」

「君の相手は別だ」

その言葉を彼女が理解した時には振り上げた拳が真横から迫っていた。しかし氷の塊が精製され阻まれる。

(こんなとこで…諦めない!)

さらに拳に力を込める。

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

絶叫と共に氷を粉砕、欠片を貫き咲果に一撃が命中しかけるが、その間に回避行動をとる時間が生じそれにより間合いが狂い拳は地面に打ち付けられ大きな穴を空けるだけだった。

「っ!」

「深崎の打撃を受ける訳にはいかないからね」

「待てっ」

「誰が待つもんか!」

「なら追いつけばいいんだろ?」

咲果は背後からの声に反射的に振り返る。そこには憐斗さんが回り込み蹴りが打ち込まれ地に叩きつけられる。

「ぐっ!?」

「はぁぁっ!」

再び咲果に攻撃を仕掛ける。それを見て咲果は身体を翻し回避する。

(やっぱり気づかれて回避される…もっと早く繰り出さないと…!)

続けざまに格闘戦を繰り出すがことごとく回避され掠ることすら出来なかった。

「そんな当たらない格闘戦続けても意味が無いよっ!」

(だったら…!)

その挑発を聞き戦術を変えることを試みる。

(変えるにしても…あからさまは警戒されるか…)

拳を大振りで横に振る。案の定それはかわされるが狙いは咲果では無かった。拳は大木に直撃し軋む音を響かせながら倒れてくる。

「まじ…!?」

流石に予想外だったのか動揺した様子で大木から離れる。大木によりお互いの視界が遮られた直後、砲塔を回転させ目の前に向けて砲撃、砲弾は大木を粉砕し咲果に向けて突き進む。木が目隠しとなり倒れる音で砲撃音がかき消され砲弾の接近に気づくのが遅れ、顔面に直撃した。

「まだっ!」

素早く間合いを詰め拳を振り上げる。

(もっと…もっと速く…!強く…!)

そう強く思った直後身体の内から力が籠り拳を握る力が強くなる。

「はぁぁっ!」

砲塔を後ろに向け空砲を放つ。砲撃の反動を利用し拳を振る力が更に加わり威力も増す。

砲撃のダメージを受け怯む咲果は動く事ができず心臓に重い一撃を受ける。

「さようなら…」

もう一度後方に向けて砲撃、突き出したその一撃は咲果の腹部に命中、直後衝撃に耐えようと踏ん張ったのか咲果の立つ場所を中心に地に亀裂が走り、周囲の木々をなぎ倒す。そして間を置き地面が砕ける。それが咲果のバランスを崩させ吹き飛ばす。その咲果を吹き飛ばした時に発生した衝撃波が吹き飛ぶ先にある山の半分を崩した。

「はぁ…はぁ…やっ…た…?」

自分の底知れない程の一撃に喜びや驚きは感じなかった。それよりも息が切れ心臓が痛い、腕も酷使しすぎた為か力が入らない。視界が歪む。

「よくやったな」

そんな中、憐斗さんが声を掛け身体を支えてくれる。その口調は安堵したような感じだった。

「クシナダの力、使えるようになったな」

その言葉を聞きようやく自身の身体の変化に気づく。

髪先の髪色が薄い緑色になっていた。

「なに…これ…」

動揺している中、武装を解いたチハが身体を掴み

「大丈夫なの!?目の色も変わってる…」

少し心配し過ぎの気もするが心配してくれる。しかし、身体にとどめをさしに来ている程の痛みに顔を顰める。その表情に更に心配の勢いが増す。その様子を微笑ましそうに見ていた。正直止めて欲しかった。しかし、咲果を倒した実感を感じ表情が緩むのがわかった。

「弥咲…私…」

次の瞬間、激しい振動と共に何かが迫っているのに気づく。完全に油断してしまっていた為、反応が出来なかった。そんな時に憐斗さんがゆっくりと目の前に立つ。

「あとは、俺に任せろ」

刀を引き抜き振り上げ、その衝撃波が吹雪を消滅させる。

「まさかあの一撃を喰らってもまだこんな力が残ってるとはな…」

赤い瞳を揺らめかせ咲果が再び姿を表す。しかし右眼から生えていた角は折れダメージは確実に受けている。しかし、角がある時以上に感じる狂気は鋭く強くなっていた。

その雰囲気を醸し出したまま笑みをこちらに向けてくる。

「あはっ!」


「くっ…!」

咲果達他の罪人との混戦を避ける為、五角・六角の罪人を海岸に誘導する。

「結彩っ!」

呼びかけと同時に身をかがめる。同時に背後から結彩の剣撃が六角を襲うが軽々と回避されてしまう。合間を狙い近接戦闘を試みるが軽く受け流され逆に吹き飛ばされる。空中で体制を立て直し六角を狙う振りを五角に向けて砲撃。すると結彩と競り合っていた六角が結彩から距離を置き五角を庇うように割り込み砲撃を受ける。

「庇った!?」

その動きを読むことは出来なかった。更に黒煙に紛れ五角の腕が向かってくる。

「させない!」

結彩が結晶の剣を地に突き刺す。すると二体の罪人の直下から結晶の針が生え串刺しにしようとする。広範囲に生えた針を全て回避する事は出来ず数本は罪人達に刺さる。その間海に着水し航行しつつ様子を伺う。

(私も結彩も近接戦闘は向いていない…ただ遠距離攻撃をしようにもその前に間合いを詰められ攻撃を受ける可能性が高い…不意打ちを狙おうにも一度した事は警戒されジリ貧だ…どうしたら!)

「大和!あれ使うわ!持ってきてるでしょ!」

結彩の言うあれとは武器箱の事だ、中身は名前の通りそれらが入っている。

「あれ、使うのか…」

正直気乗りはしないが現状を打破出来るのはそれしかないだろう。

「了解、ちょっと待ってろ!」

携帯端末を取りだし操作

「あと5秒だ!」

しかしその短い時間を罪人が待つ訳が無く二体の攻撃が襲いかかるが、それらを受け流し徐々に後ろに下がる。

(今っ!)

直後、結彩と罪人の間に結彩の身長程のある棺桶に似た箱が落下し、砂浜に突き刺さる。

「さぁ!舞踊りましょうか!」

両手で左右の箱のロックを開ける。中には大量の武器が詰められていた。

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