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69話 Regret Ⅲ

「ねぇ咲果って…なんなの?」

憐斗さん達が出ていきしばらく立ち、ふとそんな発言をしてしまった。自分でもどうしてこんな事を言ったのか分からない。チハもそんな発言に、驚いた表情をしていた。

どうしてこんな事を言ったのか分からない、けど丁度良かったのかもしれない我慢する事、悩み苦しむことに疲れていた。

「なにって、私は私だよ?」

「なら!なんで弥咲を殺して…みんなを殺すしていくの…!?」

その言葉を聞いた瞬間、咲果はやさしく抱きついてくる。

「それは…」

声が震えていた。やはり誤解だったのだろうか、何らかの理由があって仕方なく殺った、もしそうじゃなくても納得出来る理由であって欲しかった。

「それはね…お前が私から弥咲を奪ったから」

そんな発言を耳元で囁く。それに狂気を感じ咲果を直視出来なかった。今どんな表情をしているのか見たくなかった。そして反射的に咲果が突き飛ばした。

「いたいなぁ、なにするのぉ」

左右に身体を揺らしながらゆっくりと歩み寄ってくる。

チハが間に割り込み砲塔を向けるがそれでも歩みは止まらず自ら額を砲塔に当てる。

「うてるのぉ?」

明らかに挑発している口調で咲果はチハを見上げていた。

「躊躇ったら駄目!撃って!」

「しーちゃん!?」

思わぬ指示に動揺した様子でこちらを見る。誰かに操られている、そんな可能性もあったかもしれない。けど、あれが咲果の本心、その確信があった。

「あははっ!うってみなよ!さぁ、さぁ!」

自ら更に砲塔を押し付ける。

「くっ…あぁぁぁっ!」

チハの絶叫を消すほどの轟音の砲撃が咲果の頭を吹き飛ばし表現ができない固体と赤い液体が飛び散った。

それを見てしまい頭痛と吐き気に襲われる。

「大丈夫!?」

そんな様子を見てチハが駆け寄ってくる。

「…っ!?」

チハの背後にある頭部を失った咲果の身体が倒れることなく立っていることに気づき血の気が引く。

「チハ!」

咄嗟にチハを武装として纏う。直後、槍のような棘が放たれ、砲塔に装備された盾で防ぐが衝撃はもろに受け部屋から吹き飛ばされてしまう。

『しーちゃん!』

「大丈夫…」

宙を舞いながらも装甲を足元に展開し体制を立て直し地に着地。

「あーぁざぁんねぇんだなぁ〜」

顔が修復された咲果が舞い降りてくる。その頭には六つの角が生えていた。

「まぁでもこれからだからねぇ」

目を見開いた瞬間、右目を突き破り一角の角が生え更にそれに切れ目が付く。そして瞼を開くように中から赤黒い瞳がこちらを見る。

「やばい…っ!」

身の危険を感じ履帯を地につけ滑るようにその場から離れる。

「あはっ!鬼ごっこだね!」

咲果は周囲に槍を作り出し放つ。それに対し左右に動く事で槍を回避する。地に着弾した槍は砕け破片が飛び散る。そんな中破片が手に触れる。

(冷たい…これは氷…?)

逃げてるばかりでは埒が明かないと考え、振り返り咲果を向くと同時に砲撃。砲弾は咲果の作り出した盾に防がれその間にも槍が振り注ごうとしていた。

「はぁぁぁっ!」

砲塔を振り上げ槍に突きつける。それらが触れ合った瞬間槍が湯気を上げ溶ける。

「やっぱり!」

「へぇ〜ならこれはっ!」

咲果が足を踏み込むと地から氷の柱が突き出される。身を捩り寸前で回避をするが履帯を裂かれてしまう。

「なっ…」

履帯が使えないと判断し脚部武装に格納する。砲塔を地に突き刺し砲撃。衝撃波で土が巻き上がり目眩しをする。

「そんな小細工っ!」

腕を振り冷気を纏う衝撃波を起こし土埃を吹き飛ばし武装を凍りつかせ動きを鈍らせようとする。

「小細工は…どっちなのかな」

それを察し土埃を巻き上げたのと同時に飛び頭上の木に飛び移り咲果の真上まで移動し奇襲を試みる。

「残念だったね」

見上げ自ら凍らせた手で砲塔を受け止められてしまう。

「なんで…」

動揺しているのを馬鹿にするように笑い、砲塔を掴み大きく投げ飛ばされる。

「そんな熱で溶かせるわけないじゃんかぁー!」

空気を凍らせ氷柱を作り出し放つ。吹き飛ばされる中体制を立て直すことが出来ずに氷柱に直撃。更に盛大に吹き飛ぶ。木をなぎ倒し飛ばされるが途端に誰かに受け止められる。目を開けるとそこに居たのは身体より一回りは大きい武装を纏う少女が視界に映った。

「大和…さん…?」

「大丈夫か?」

ひとまずその場から離れる判断をしたのか大和は後ろに大きく飛ぶ。

「だ…大丈夫…です…」

流石にこの状況で大丈夫じゃないとは言えない。そんな時目の前で衝撃音が響き憐斗さんが横に着地してくる。その先には五角の角が生えた罪人が立っていた。

七角の咲果だけでなく五角の罪人、想像していない状態に混乱するが咲果の存在を憐斗さんに知らせないと、と思った。

「なぁんでにぃげるのぉ?」

再び寒気を感じ目の前を見る。

土煙の中から狂気じみた声が聞こえ、赤い点が揺らめき

咲果が姿を見せる。

「気をつけて…ください…!あれはもう人じゃない…!」

「あぁ、そうみたいだな」

「あれあれぇ〜?深咲、急に生き生きしたね!憐斗さん達といて安心してるのかなぁ?」

「くっ!」

明らかな挑発だ、それは理解しているがどうしてこんな事をしているのか理解できない状況に苛立ちを感じていた為にその挑発に乗ってしまう。

「落ち着け」

落ち着かせようとする大和を振り払い咲果を睨む。

「はぁぁぁっ!」

「待て!深咲っ!」

そんな声など聞く耳など無かった。砲塔なんてこの敵相手には役に立たない。砲塔を後ろに向け拳を引く。その時目の前に五角の罪人が割り込むが、一閃の光が真横を翔け憐斗さんが五角の罪人に蹴りを打ち込み吹き飛ばす。

「憐斗…さん」

「怒りは我慢するだけ無駄だ、限界があるからな」

「……」

「だから一発ぶつけてやればいい、俺たちがサポートしてやる」

そういい笑って見せた。

「行けるか?」

「はい…!」

「という訳だ大和、結彩」

「「了解」」

二人の返答を聞き目に追えない速さで間合いを詰め、次の瞬間には咲果の刃と刀が重なっていた。

「反応速度、悪くないな」

明らかに加減をしているのが表情から伝わるがそれでもかさなった衝撃で咲果の足が地に埋まり周囲に巨大な穴が出来る。

「お褒めに預かり…嬉しいよ!」

同じ事を感じたのか僅かに険しい表情をしつつも刀を押し返す。しかし刀を大きく振り払ってしまった為、隙が生じる。

(今だ…!)

身を潜めタイミングを図り咲果の目の前に拳を振り上げた状態で姿を見せる。

(流石にこの状態から立て直せない!)

突き出された拳は確実に咲果の心臓を捉えていた。やったと手応えを感じた直後咲果が氷と化し砕ける。

「なっ!?」

「デコイだ!」

動揺で目を見開き動けない所に咲果が襲いかかろうとするが寸前に憐斗さんが割り込み眩い発光の炎を纏う刀を振り咲果を遠ざける。そこに五角の罪人が介入し腕を勢い良く伸ばす。

「させるか!」

大和が装甲を展開し伸びる腕を弾く。その腕を結彩さんが結晶の刃で裂き足に纏う結晶の鎧の一部を変化させ刃として蹴り上げる。それに掠り五角の罪人は距離を置き

よろめく。そして罪人は違和感に気づく、傷が癒えなかった。

「まさか…!」

結晶の刃を持ち替え、五角の罪人に向けて投げ放つ。それは心臓に向かうが気づいた罪人が身体を逸らし刃は心臓の横に刺さる。直後消滅するが罪人に空いた穴は塞がらなかった。

「あーぁ…色々バレそうだねぇ…」

その様子を見ていた咲果は憐斗さんの攻撃を避け五角の罪人の元まで下がり手をかざす。すると傷が修復され立ち上がる。

「お前達は一番の脅威だねぇ…だから!」

両腕を広げた時後ろから複数の足音が聞こえ更に一角、二角、三角、四角、六角の五体の罪人が現れる。

「総力戦と行こうかぁ!」

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