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6話 Secret IV

「なんだ二人とも知り合いだったんだ」

「なんだじゃないわよ!いつの間に知り合ってたの!?」

「色々あってな」

と気まずそうに目をそらす。

「一度京也君にアームズにならないか誘ったの、けどあっさり振られたわ…」

「それで学園長…2人が来たら話すって言ってましたけど教えてくれますよね」

と憐斗に対して敵意を見せるような口調で問いかけ距離を詰めようとする。が、京也は自分に突きつけられているものに気づく。

「色々あって苛立つのは分かるけど少し感情を表に出しすぎじゃないかな?」

大和が突きつける砲塔から距離を取るために後ろに下がる。

「敵になるなら容赦はしない」

大和は鋭い視線を京也に向け脅す。そんな京也を庇おうとした綾乃だがそれを玖由が引き止め首を横に振る。

「君には選択肢があるアームズになるかならないか、玖由から聞いていると思うが君のそれはクリークだ」

と京也に結晶を突き出す。それを初めて聞いた綾乃も驚きながらそれを見る。

「なんのクリークなんですか…?」

「分からない」

「分からないって…そんな言い訳が通じるとでも…」

「思っていないだから君の力を貸してほしい」

「……何度も言うが断る!」

振り返り京也は司令室から出ていく。そんな京也を綾乃は追いかけた。扉が閉まるのを見て

「大和、憐斗あんな敵対的な事しなくても…」

「少しでもクリークと京也君の気持ちが繋がっていれば実体化してくれると思ったが…」

「京也って子、よっぽどクリークを拒絶してた見たい」

「こればかりは俺達にはどうする事も出来ないわね無理矢理にしようものなら京也君が崩壊するわ…」

「分かった、できる限り私達がサポートする」

玖由は横目で扉を見る。扉の向いから聞いていた京也は無言で立ち去る。

「京也…」

「あの力に興味があるなら俺は必要ないし関係ない」

京也を見送り綾乃は再び司令室に戻る。

「すまないな、綾乃」

「問題ありません」

「それでだ2人のクラスに転校生が来ただろ?」

「神崎…松根…」

「玖由も疑ったと思うが羽根との接点を夕立に調べてもらったいた」

「それでわたくしと同じように松根さんの家を見張って居た方と交戦しましたの、するとその方は最後に『姉は死んていない』と言い残したのですわ」

「姉は死んていないってどういう意味なの…」

「そういう事か…」

玖由は司令室を出ようとする。

「今ので意味が分かったの!?」

「明日朝7時に学校来て」

詳細は言わずに玖由は司令室を出ていく。

「あれ?玖由じゃないか!」

相変わらず元気な映月が玖由を背中から抱きつく。抱きつかれた拍子の香りに玖由の鼻が反応する。

(この匂いは…)

「映月まだ居たんだ…」

「憐斗に居ろって言われたのだよ」

笑う映月に玖由は

「気にしてないの…?仲間の事」

「仲間…うんそうだね…でもいつ死ぬか分からないから、覚悟はしてたから」

と答える。その言葉に対して玖由は

「覚悟か…私にはそれがないから分からない」

そう言い歩いて行く。

翌日綾乃は玖由に叩き起されあくびをしながら教室に来る。

「遅い!」

「玖由に言われたくないわよ!」

朝日が教室を照らす時間に、2人と同じように教室に入ってくる人物が居た帆夏だ。

「珍しいですね2人がこんな時間に」

「羽根…」

その言葉を聞いた瞬間帆夏の手が止まる。

「その人がどうたのですか?」

「委員長は知らないかなって思って」

「いえ、存じませんね」

話す玖由を見ること無く帆夏は手を動かす。玖由の目が鋭くなる。その様子を見た綾乃にでも状況の理解が出来た。

「知らないんだ…ならなんでさっき『羽根』って言葉が人の名前だと理解出来たの?」

「な…なんとなく…」

明らかに動揺する帆夏を更に追い込むように

「前から気になっていたんだ、どうして蒼嵐だけ先生ではなくさんで呼ぶのか…思い出したの、一人だけさん付けで呼ぶ人を…それに」

玖由は短剣を取り出し帆夏をこちらに向かせ右目に向けて突き出す。

「なっ!?」

玖由の行動に唖然と綾乃は金属同士がぶつかる甲高い音を聞き状況を理解する。

「機械…」

「そう、僅かにだけどさっきから動く度に機械的な音がしていたから…長い髪で右目を隠していたのも機械だとバレないようにする為」

「恐ろしいほどの地獄耳ですね…」

瞬時に玖由から短剣を奪い玖由に向けるがそれと同時にワイヤーの射出口が向けられていた。

「…降参です、完璧のつもりだったのですがね」

「何が完璧よボロだしまくりだったじゃない」

「それより早く裏切り者を教えてよ…そうじゃないとまた…」

「待って」

玖由は綾乃を制し帆夏を見る。

「私一度もあなたが羽根とは言ってないわよ松根さん」

「なーんだそこまで見抜かれてたのですか」

変装を取り長い髪を靡かせ松根は玖由を見据える。

「どうしてこんな事をしたか…という目をしてますね」

と玖由達を笑う様に言うが

「馬鹿にしないでそう思ってるのは綾乃だけ」

「なんで私馬鹿にされたの!?」

文句を言いたげな綾乃を無視し

「お姉さん…神崎羽根を探すため、だから羽根を知っている私に接触してきた」

と松根の行動の理由を言い当てる。普段から人との関わりを避ける玖由だが松根に対しては他人以上に距離を置いている事に疑問を持っていた綾乃は玖由の行動の理解と共に恐怖を感じた。

(玖由は最初からどこまで分かってたの…)

「協力しませんか?」

唐突な松根の提案に玖由は睨むような鋭い視線を向け

「ふざけてるの」

「ふざけるとは?わたくしは至って本気ですわ、あなた達もお姉ちゃんに用がある、わたくしも同じく用がある、目的は一緒では?」

松根の心の内を探ろうとする玖由に

「あまり時間はないですわよ」

「…玖由っ!」

綾乃は机を蹴りあげ倒しその裏に玖由を引っ張りながら隠れる。その直後銃弾が教室全域に降り注ぐ。

「これもあなたが!」

「違いますわ、気配を感じていましたの」

(このままだと私だけでなく綾乃も…)

「分かったわ、協力しましょう」

「そう言っていただけると思ってました」

「今手を組むのは良いけどどうするの!?」

玖由はカメラを起動させ着弾する角度から弾道を予測しそこに向けて写真を撮る。

「こいつか…」

写る人影に綾乃は呟く。

「私達と協力するのは良いけど足を引っ張られたくないだからこれでテストさせてもらうわ」

「了解ですわ!」

と1人で飛び出した松根に呆れながらも

「何があっても対象出来るようにだけしておいて」

と指示をし松根から目を離さなかった。

「行きますわよケホ」

五式軽戦車を自身の力として纏った松根は黒ずくめの人に砲塔を向け間髪入れずに砲撃し爆煙がその人物を飲み込む。しかし爆煙の中から突き出された砲塔が松根を捉える。身体を仰け反らせ砲弾をかわし松根は肩の機銃を向け放つ。弾幕により距離を置いたタイミングで松根は距離を詰め薙刀を手にし突き出す。薙刀の刃がフードを切り裂き中から青い髪が靡く。

「あいつは…!」

咄嗟にワイヤーを放ち松根のいる場所まで飛ぶ。

「やっぱりあんただったの…」

「久しぶりだね玖由」

そう言いながら長い髪を結び直し少女は玖由を見る。

「葵っ…!」

玖由怒りの感情のこもった声で笑みを浮かべる葵を睨んだ。

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