表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/73

59話 Crazy gap Ⅲ

京也は鬼アルマを押し返そうとするが力が僅かに劣っていた京也は徐々に競り負け押し返される。

「このぉっ!」

手の平に結晶を創造させ鬼に向けて打ち出す。不意をつかれ流石の鬼アルマも対処が出来ずに押し飛ばされ距離を開けさせられる。距離を詰めようとする鬼の前に片足を後ろに引いた京也が現れ結晶で強化された蹴りが鬼を直撃し地面に叩き落とした。

「ヴァ…」

「まだだっ!」

創造させた剣を振りかざし鬼アルマに叩きつけようとする。しかし鬼は放熱を始めその熱風により京也は軽々と浮かされ吹き飛ばされる。受け身をとり着地するも高音の熱風により全身にやけどを負ってしまう。

「京也くん!」

「だ……大丈夫です!」

ジンジンと痺れるような痛みを感じながらも玖由を心配させまいと歯を食いしばりながら力を込める。するとやけどをした箇所に結晶が纏わり傷を治癒していく。

「まだまだこれからだ…!」

傷が癒えても痛みは残っていたが今の京也は気にならなかった。結晶の剣を再び携え身構える。

敵意を見せる京也に対し鬼は炎の刃を作り出し京也に向けて振るう。

振られた刃を京也は剣で受け流そうと振り上げるがお互いの武器が交わる感覚はなく炎をすり抜ける。切り裂いた部分から炎の刃は消失していたが鬼の持つ部分は健在だった。

「っ!」

咄嗟に地に足をつけ後ろに跳ぶ。

同時に再生した炎が勢いよく突き出し地面に突き刺さる。

突き刺さった衝撃で周囲に亀裂が入った威力に驚きながらも京也は再び距離を詰める。再度、炎の刃を突き出してくる鬼に対し京也は剣の刃部を回転させ炎を拡散させ距離を詰める。

「何度も同じ事が通じない!」

炎をかき消し鬼に剣が届く瞬間、鬼は全身から放熱する。

「そう来ると分かっていた!」

花が咲くように剣が四方に開き盾となり熱風から京也を守る。

「ァ…!?」

放射線状に広がる盾の中央が開きその奥から京也が身構えている姿を捉える。

次の瞬間、京也はそれを放ち細長い為視界に捉えるとこも鬼の目を貫く。

悲鳴のような雄叫びを上げながら目を抑える。

(いまだ…!)

地を蹴り結晶の盾を剣に変化させ突進する。

殺気を感じた鬼は後ろに下がろうとするが間に合わないと確信し背中から鞭のようにしならせた炎を噴出し京也を囲う。

(相打ち狙いか…)

抜け道を探すが隙間無く向けられる炎に身の危険を感じる。

「京也くんっ!」

玖由は両腕をのばし腕の武装に取り付けられたワイヤーを放ちそれを鬼に引っ掛ける。引っ掛けた感覚を感じたのと同時に巻き取る。

唐突に後ろに引かれた鬼アルマはバランスを崩し後ろに倒れかけた。

その隙を見て京也は後ろに下がるのと同時に寸前の地面

に炎が落ち地面を溶かす。

(あれを使うしか…!)

バランスを建て直した鬼が玖由達の方向を向き睨む。しかしその視線の先には小銃の銃口が向いている事に気づいた。

僅かに震える指を抑え小型レールガンの引き金を引く。雷のような轟音と共に衝撃の反動を受け玖由は吹き飛ばされ建物の壁に打ち付けられる。打ち付けられた衝撃で口から血を吐きながらも真っ直ぐ鬼を見据えていた。

放たれた銃弾は視認が不可能なほどの速さで突き進む。

それに被弾しては不味いと感じた鬼は全身から高温の放熱を放ち銃弾の勢いを殺そうとする。しかし銃弾の回転によって巻き上げられる衝撃波が熱を吸い込み 、銃弾は螺旋状の熱風を纏い鬼の肩に直撃、直撃した肩のみならず衝撃により上半身と下半身を引きちぎり上半身は木っ端微塵に消し飛んだ。

微動だに動けない下半身を見て京也は安堵する。その時だった


『憎い…憎い…妬ましい…妬ましいぃっ!』


その声が響いた直後下半身がひとりでに屈み地を蹴り姿を消す。その場の全員がそう認識した時には既に玖由の目の前に頭部の無い鬼が熱を圧縮させた固まりを手に構えていた。

「玖由!」

「先輩っ!」

焦る京也達と裏腹に玖由は目の前の死を受け入れるかのように平然と鬼を見ていた。

「はぁぁぁっ!」

徐々に大きくなる声と共に綾乃が鬼アルマと玖由の間に落下し目の前に装甲を展開、火の玉を受け止め爆発の衝撃から玖由を守る。鬼は爆発の衝撃で黒煙から飛び出す。更に黒煙の中からいつの間にか現れた逸希が飛び出し拳を突き出し一撃を与える。

「まだまだぁっ!」

脚部の武装のエンジンの出力を上げ次々に連撃を繰り出し徐々に鬼を後ずさりさせていく。放熱で逸希を引き剥がそうとするがタイミングを見計らっていた逸希は放出と同時に装甲を展開し防御する。

(やっぱり…この鬼の放熱は初撃の威力は強いけどその後の放熱の威力は大した事ない…!)

瞬時に装甲を解除しマシンガンを手に鬼の腹部に突きつける。

「…ッ!?」

「遅い!」

引き金を引くと同時に鬼の腹に無数の銃弾が打ち込まれる。打ち込まれた銃弾は次々に腹に呑まれ遂には貫通すした。ダメージによりよろめく鬼は後ずさりをするが距離を開けてしまうことにより銃弾の被弾範囲が増えていく。


『妬ましい…妬ましいッ!』


「また!?気をつけて!」

玖由の叫びが逸希の耳に届く頃には鬼アルマの一撃が逸希に打ち込まれていた。辛うじて一撃を認識していた逸希は両手で拳を受け止め直撃は免れていた。

「くっ…!」

受け流した反動で無防備になった逸希は目の前に装甲を展開させ追撃を逃れる。

「まるで嫉妬の炎ね…」

鬼の発言、そして炎から玖由はそう連想し呟く。

装甲を突き破り逸希を追い詰めようと間合いを詰め拳を突き出す。その間合いに割って入った京也が結晶の刃突き出し受け止めようとする。しかし拳と刃が交わる瞬間、刃が砕け京也が押し負ける。

「押し負けた!?」

「京也、逸希!離れて!」

背後からの綾乃の合図で二人は左右に別れ綾乃の砲弾の進路を開ける。射線が通ると同時に砲弾を放つ。

「ァァァア゛ッ゛!」

鬼の頭上の一角が伸び眩く輝きそれを砲弾に向けて振り下ろす。砲弾が真っ二つに割れ鬼の左右を通過する。

「飾りじゃなかったのね…!」

綾乃は砲弾を連射するが先程までの鬼の動きとは似つかない俊敏な動きで砲弾を弾く。

「ァァァッ゛!」

四人を纏めて葬ろうとする鬼の背中に多段のミサイルが着弾し黒煙が鬼を包む。

「みんな大丈夫!?」

「私達は大丈夫…それよりも他の人達は…?」

明らかに一番重症の玖由がそう答える。

「玖由が言うと心配しかないのだけど…他の人達は秋さんと待避したよ!」

「そう…なら良かった…」

玖由の様子から小型レールガンを使用したことは容易に想像が出来た、そして鬼はそれを使っても倒せない相手である事も理解ができた。その時だった、黒煙から紅い光が発光し爆風が黒煙を吹き飛ばす。

「ァァ゛ァ゛ッ゛」

飛翔した鬼は葵の足を掴み地に落下する。

「しまった…いつの間に!?」

そのまま地に叩きつけようとする鬼を見て

「瑞鶴!お願い!」

「了解」

装甲を宙に展開しそれを足場に瑞鶴は飛び上がり鬼に向けて蹴りを打ち込む。

不意の一撃に狂気状態の鬼も対処出来ず思わず手の力を緩めてしまう。

その隙に葵は抜け出し玖由達の元に合流した。

「あいつ…さっきまでと比べものにならないぐらい硬化してるわよ!」

「やっぱり…急に攻撃が通らなくなってまさかとは思ったけどそんな力があるなんて…」

「どうするのよ!?」

「落ち着いて」

慌てる綾乃をなだめる玖由を見て

「何か案があるんですか?」

京也がそう尋ねた。すると玖由は予想通り頷き

「あるわ」

短くそう答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ