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48話 War begins IV

「っ!」

剣を振り上げ目の前の敵がこれ以上間合いを詰められ無いようにする。しかし剣の間合い寸前で一瞬停止し剣先が掠めたのと同時に銃口を向けた。

(まだ!)

剣を振り下ろし銃を切り裂く。二つに割れた銃の中から針のような剣が姿を見せた。身体を翻し針の一閃をかわしたが刃先が頬を撫で血が流れた。

「これで終わりではないよね」

「当たり前だ!」

「待って京也熱くなりすぎ!」

綾乃の制止に聞く耳を持たず京也は敵に向けて切り掛る。振り下ろされるそれに対し敵は自身の持つ刃を突き出す。互いの武器が接触した瞬間、敵の持つそれはしなり京也の攻撃をずらし抑える力が無くなった相手の武器は勢い良く伸び京也の顔を切り裂いた。

「京也っ!」

「大丈夫だ…」

右目を抑えながらも綾乃に大丈夫である事を伝える。

風が吹いたと感じた瞬間二人の目の前にそれは刃を突き出そうとしている状態で立っていた。綾乃は京也を庇おうとしたがそれよりも早く京也が前に出る。

「はぁぁぁっ!」

尖った刃先を京也は素手で掴みかかる。

「無駄に決まってるじゃん」

案の定それは京也の手を貫いた。吹き出す血を気にせず更に力を込め相手を押す。

「馬鹿な…そんな事したら!」

「知ったことじゃない!」

拳に力を込め放った京也の一撃が命中しよろめかせる。その衝撃で刃を手放してしまい、手に刺さるそれを京也は抜き取る。すぐさま京也は爆弾を敵に放つ。それに対し銃口を向けた敵は爆弾を撃ち抜き爆発を起こさせた。

「まだだっ!」

黒煙から武装が地を掠めるほどの低さから現れた京也はワイヤーを放ち敵の足を絡ませる。

「しまった!」

足を取られた相手はバランスを崩し倒れかけるが武装の力で浮くことで地に触れる事を防いだ。

しかし勢いは京也の方が上であった為ワイヤーに引きずられもがく事すらままならない状態になっていた。

「このっ!」

銃を横に振り銃弾をばら撒く。散らばる銃弾は四方に跳弾がワイヤーを貫き千切れる。

体制を戻し京也に銃口を向けた。それに気づいた京也は身体を翻し剣を振り下ろす。それを装甲で防ぎ大きく飛翔、剣を踏みつけ地面にめり込ませる。

(抜けない…!)

再び飛び上がり上空から京也に向けて銃弾を放つ。素早く剣から手を離し後ろに飛び銃弾を避ける。京也はそのまま上空に上昇、追いかけるように相手も飛翔していく。

「私達どうしようか…」

二人の戦闘に割り込むことが出来ず、ただ眺める事しか出来なかった綾乃がそう呟く。

「あの高度まで行かれると私の実力だと狙えないし」

「というか、射程外…」

補足したカチの言葉に更に無力感を感じため息をつく。

「私らに出来るのは」

綾乃はゆっくりと前進する列車砲を見る。

「あれの妨害ぐらいよね…車輪を狙えばいけなくもないかな?」

「無理だと思う」

カチが即座に否定した。

「あれの装甲多分私の砲撃だったら遠距離だと距離減衰で貫けないゼロ距離ならやれるかもしれないけど近づこうとすれば周りの砲塔からの集中砲火を喰らう事になると思う」

列車砲の主砲を守るように取り付けられた砲塔は通常の戦車の砲塔と同等の大きさでそれが一斉に火を噴き砲弾が降り注ぐと考えると恐怖を感じた。

「それは…嫌だな…」

その時背後から肩を掴まれる。

「ひやぁぁぁっ!?」

思わず悲鳴を上げてしまい振り返る。そこには腹を抑えた六花が立っていた。

「これ…使って…」

小型の銃を取り出し綾乃の手に持たせる。

「玖由ちゃんが改良した小型のレールガンよ」

「改良…」

「チャージ時間、反動…えっと…その他もろもろが改修されてるって、なにかあった時に使って欲しいって玖由ちゃんから託されてたんだけど…こんな状態じゃあ使えないから…託すよ」

綾乃に握らせた小銃に重ねた六花の手に力が入る。それに気づいた綾乃は

「はい!」

力強く答え小銃を握った。

「すーっ…はぁー…」

深呼吸をし履帯を地につけた。

「いくよ!」

砂ぼこりを巻き上げ列車砲に向かう。案の定綾乃に気づいた列車砲の砲塔が一斉にこちらに向く。

「っ…!」

砲弾を確認し綾乃は左右に走行し砲弾をかわすのと同時に砲塔の狙いを撹乱していく。しかし無数の砲弾を全て回避できず、直撃してしまう砲弾をカチが装甲を展開し防ぐ。そして咄嗟に高架の真下に隠れ射線を切った。しかし敵の奇襲に気づいた信教者達が一斉に綾乃に襲いかかる。

「邪魔っ!」

地に砲塔を向け砲撃、衝撃波と黒煙が綾乃の中心に広がり襲いかかる信教者を怯ませる。

黒煙の中綾乃はその場でうつ伏せになり小銃のダイヤルを回しモードを拡散に設定しスコープを覗き熱を探知し狙いを定め、引き金を引く。衝撃波が綾乃の姿を隠す煙を掻き乱し轟音と共に光の一閃が放たれ分散し狙いを付けていた敵に突き進み貫く。

悲鳴と吹き出す液体を後目に綾乃はそれらを横切り突き進む。再び目の前に現れた敵は盾を持ちそれを前に突き出し綾乃の進路を妨害する。

「あの厚さだと砲撃を防がれる」

「なら…!」

手に持つ小銃に目を向けるとタイミング良く赤いランプから青緑のランプに変わる。

(チャージ時間も大分短縮されてる…)

再びダイヤルを回転させライフルモードに変更し銃口を向ける。地を蹴り飛び上がり狙いを定める。

「はぁっ!うわっ!?」

レールガンを放った直後の強烈な反動が綾乃を襲い大きく仰け反ってしまい地に背中から落下してしまう。

「っ〜…」

(いくらなんでも空中では衝撃を逃がしきれないか…)

その間に放たれた一閃は分厚い装甲を焼き貫き衝撃波を巻き上げながら敵の陣形をかき乱す。この隙を逃さないように立ち上がり再び突き進む。

「陣形を再展開しろ!」

一人の男が指示を出すが銃の威力に怖気付いた信教者達は隊列を戻すのが間に合わずそこを狙い綾乃はそこを横切る。

レールが車輪の上を通過している重い音が聞こえ見上げる。

(あそこが爆薬を設置した場所の最端部…これ以上動かれる前に!)

再度レールガンを見るが未だチャージは出来ていなかった。

(こうなったら…!)

砲塔を上に向け狙いを定める。

「こっから狙っても…」

「分かってる、でも!」

(掠めるだけで良いから…!)


「やっぱり当たらないなぁ…」

射撃練習をする綾乃は遠距離の的を当てる事が出来ず首を傾げた。

「やっぱりセンスないのかなぁ」

「そうじゃないわ」

横から綾乃に見せつけるように砲撃、的を砕く。

「むぅ…」

不満そうな表情をする綾乃に寄り添うように玖由は綾乃の肩から腕を撫でる。

「なっ…なにを!?ひやっ!」

「変な声ださないで」

冷静な声で何度も腕を触る。

「やっぱり力を入れすぎなのよ…よくそれで居られるわね」

「力を入れすぎ…?」

「綾乃は無意識に緊張してるのね…そんなに私に負けるのが嫌なんだ」

「うっさい」

と言いつつ力を抜き砲撃をする。すると的に砲弾が命中した。

「やればできるじゃん」


「私は…やれば出来る!」

言い聞かせた綾乃が放った砲弾は空気を裂き爆薬を貫く。砲弾の熱により発火、高架を破壊するほどの威力の爆発が支えていたレールと列車砲まで貫き脱線させる。更に爆発の火の粉が近くの爆薬に引火し誘爆した。

「よし…!」

落下する瓦礫を避けながらその場から綾乃は離脱した。

「なに!?」

(綾乃…成功したんだな)

「よそ見するなんてな!」

京也は体当たりをしそのまま列車砲に突き進む。

「離せ!」

「離さない!」

「…っ!?」

綾乃はふと立ち止まり空を見上げる。二つの微かに光るものが列車砲に向けて落下しているのを確認する。

「まさか京也…っ!」

京也のやろうと

「ちゃんとタイミングあわせてよっ!」

聞こえる筈もないが綾乃は叫びレールガンをライフルモードに設定し引き金を引く一閃は列車砲の装甲を焼き貫く。更に上空に現れその直上には落下する京也達が居た。

「なにっ!?」

「留めだ!」

京也が手を離す。既に一閃は真下まで迫り相手には回避が不可能な状態だった。

武装を破壊し相手は列車砲に落下する。レールガンに貫かれた列車砲は火花を散らしそれが誘爆、誘爆が誘爆を起こし列車砲は自爆した。

『や…京也っ!無事!?』

無線が通じ綾乃の声が聞こえる。

「あぁ無事だ…それより先輩には繋がったか?」

『いや…繋がらない…』

「なら、俺は先輩のとこに向かう、あとは任せる!」

「ちょ…ちょっと!?」

無線を切られた綾乃は頭を抱え

「すぐ突っ走るんだからぁ!」

綾乃も同じように追いかける訳にも行かないと考え六花の元に向かった。

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