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47話 War begins Ⅲ

京也と綾乃は比叡山の麓にある高架駅のホーム上に居た。下り線の先を見ると一つ先の駅に居るはずの列車砲がはっきりと確認出来ていた。

「ここからでも見えるってどれだけ巨大なの…」

『二人とも着いたかな?』

更に一つ先の駅に到着した立花が無線で京也達に連絡をとる。

「はい!」

『よし、なら手はず道理に!高架下に爆薬を設置、あれが通過するタイミングで起爆、やつの進行を阻止するよ!』

「「了解」」

二人は高架から飛び降り列車砲を警備する信教者達に気づかれないように進む。二人の後ろから実体化したビーニが着いて行く。

「ここに置いてくれ」

京也がビーニに小声で指示を出しそれに頷きビーニは爆弾を設置した。

「次ね」

再び綾乃と京也が走り出す。そしてその後ろをビーニが追い掛ける。二人の後ろ姿にどこか懐かしさを感じ現在の状態と似た光景が脳裏に過ぎる。

(これは…あ…まって!)

ビーニが手を伸ばし目の前の彼の腕を掴む。

「ビーニ!?」

唐突に手を引かれた京也は転倒する寸前で踏みとどまり振り返る。我に返ったビーニは慌てて手を離し

「ごめん…なさい…」

と小さく呟く。

「大丈夫か?なにかあったのか?」

「っ〜!?」

心配そうに顔を近づけた京也にビーニは思わず顔を引き目を逸らしながら

「大丈夫…だよ」

そう答えた。

(私…どうしたんだろ…)

「何かあったらすぐ言ってくれ」

「う…うん」

再び先に進もうとした三人だったが

「そこに誰か居るのか!」

「「!?」」

物音に気づいた信教者の一人が三人の元に近づいてくる。更に何かあったのかと他の者達も集まってくる。

「まずい…」

「こっち!」

二人の腕を掴みビーニは木の裏に飛び込み、飛翔し木の枝に着地した。同時に草木を踏み倒し信教者達が顔を出した。

「気のせいだったか…」

そう呟いて引き返そうとしていた。それを見た京也と綾乃は

「相手は五人か…」

「やるならいくよ」

京也の考えを察した綾乃が声を掛ける。

「よし!」

二人は息を合わせ同時に木から飛び降り真下に居た信教者をそれぞれ踏み倒す。突然現れた二人に状況が理解できない信教者を気絶させた。

「後一人!京也あわせるよ!」

「あぁ!」

逃走しようとする一人に向け二人の拳を突き出した。タイミング良く振り返ってしまった信教者は二人の拳を顔面に喰らい空中で仰け反りながら吹き飛び背後の木に頭を強打した。

「気絶させたのは良いけどどうするの…?」

「敵に扮していた方が動きやすいかと思ったのだが」

「なるほどね…」


二人はそれぞれ信教者の衣服を奪い変装した二人の横を他の信教者がすれ違う。

「あ、意外と何とかなるんだ…」

顔が布で隠されている為、気づかれる事が無かった。バレるのでは無いかと不安だった綾乃は予想以上に堂々としていても気づかれないことに安堵した。

「これで効率良くできるな」

爆薬手にし高架に取り付けていく。

「二人とも大丈夫かな…」

一足先に設置を終えた立花が集合場所に到着し心配しながら呟く。そこに京也達が遅れて到着する。

「誰…!?」

変装したままの三人を見た立花は距離をとり身構える。

「わ…私です!」

慌てて顔に被さる布を上げ綾乃は自身の顔を立花に見せる。

「な…なんだぁ…なんでまた奇妙な格好を…」

京也はその事について説明をする。

「そういう事ね…」

立花は苦笑いを浮かべる。

(うわぁ…あの表情絶対反応に困ってる、やっぱりそうなるよね)

立花ですら反応に困る状況に綾乃も同情した。

「た…確かに効率良いね」

(立花さんがフォローに回った…)

「それよりも、起爆させないと」

「そうだね」

立花が起爆スイッチを手した瞬間、突如列車砲が動き始め同時に砲弾を放つ。

「あれ…!?」

起爆スイッチを入れても反応しない事に気づいた立花は焦る。

「やっぱり…そういう事だったんだ…」

「ビーニ何か分かったの?」

ビーニは恐ろしい物を見たかのように怯えた表情で頷く。

「多分…電磁波…あれの砲撃の衝撃波の中に電磁波が混じっててそれが原因かも…」

「だから砲撃の度に電子機器が使えなくなるのか…」

「まずいわね…この間に設置範囲から出られると」

「だったら誘爆させる!」

「待って京也!」

京也とその後ろをビーニが続く。

「逃がすかぁっ!」

両手に剣を握り突撃。京也に気づいた信教者達だったが次の瞬間には切り伏せられ京也は通過していた。

(視線…!?)

後ろからついて行くビーニは京也を狙う視線を感じ周囲を見る。僅かに木々の陰から信教者が京也を狙っている事に気づく。

「京也っ!煙幕を巻くから気をつけて!」

そう声を掛け煙幕を取り出し放つ。片目のゴーグルを取り付け起動させると煙幕の中でも周りの状況を見ることが出来た。

(見つけた!)

「ビーニ!爆弾を!」

京也の合図を聞き爆弾を放つ。それを掴み飛翔し投げ放つ。ヴァルキリーシステムによって一つ一つの行動が強化されている京也から放たれた爆弾は空気を裂き二駅の中間辺りにある爆弾に向け突き進む。

「いけぇっ!」

しかしその爆弾は光の一閃が貫き爆発してしまう。

「なに…」

今度は光の一閃が京也に突き進む。それをビーニが装甲を展開し防ぐ。

「煙幕から脱出した方が!」

「そうだな…」

四方から打ち込まれる一線にギリギリの回避行動で回避をし煙幕から抜け出す。

「危うく自分のした事で自滅する所だった…いや、これも相手の罠だったのか」

「その通り」

スナイパーライフルを担いだ人物が歩み寄ってくる。

「視界が悪い中僕の狙撃を避けるとは、化け物だね」

皮肉を込めた発言をするその人物の背後から

「綾乃ちゃん!」

「分かりました!」

綾乃と立花が奇襲を仕掛ける。しかしスナイパーライフルを背に突き出し奇襲攻撃を受け止める。

「奇襲は通用しないよ」

その状態のままトリガーを引き銃弾を放つ。それは跳弾し綾乃に突き進み気づいた綾乃は咄嗟に回避する。しかしそれによりライフルに掛かる力が弱まった為、立花の攻撃を弾き返し銃口を突き出し立花を吹き飛ばす。

「かはっ…」

衝撃と痛みは立花の思考を停止させその場に膝を付かせた。

「立花さん!」

「……」

素早く京也は立花の元に近づき背負い離脱する。

「…や…くん…」

「大丈夫ですか」

「…なん…とか」

少し距離を置いた場所まで背負い降ろす。

「後は俺達がやります、休んでてください」

本来は先輩であるはずの自身が率先して前に出なければならないはずだった。しかし負ったダメージが身体の自由を奪い止めることも出来ずただ後輩の後ろ姿を微かに眺め見届ける事しか出来なかった。

「ビーニ力を借りたい、良いか?」

「うん、京也なら」

結晶の黒光した一閃がビーニを貫き力を奪う。

「ぐっ… あぁぁぁぁぁっ!」

光は塊となり武装として京也の身に纏う。両翼を広げ突撃それ見た相手は銃口を向ける。それに対して京也は爆弾を手に持ち突き出し銃口に突っ込む。身体を翻し一回転し着地、同時にライフルの銃口を塞ぐ爆弾が爆発を起こす。

「これで倒せると楽なんだが…」

「あーあ…壊れちゃったよ」

スナイパーライフルの瓦礫を投げ捨て結晶を手にする。

「僕も本気だそっか」

武装を纏った人物はそう言い両翼の翼を広げた。

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