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43話 Those who know the truth Ⅲ

「元気ありませんね、なにかありましたか?」

生徒会室で作業をする三人の効率がいつもより悪いのに疑問を持ち南帆が尋ねる。

「「…」」

京也と綾乃は自分の一存では打ち明けて良いのか分からずお互い同時に玖由を見る。

「はぁ…」

玖由はため息を付きながら手を止める。

「実は…」

松根達とあった事を話す。

「そんな事がね…でもあの二人です、何か考えがあるのではないでしょうか」

「私もそう思うのですが」

静かな空気の生徒会室に徐々に騒がしくなる。

「大変だぁー!」

立花が扉を空けて駆け込むが扉近くにいた南帆がつま先を前に突き出し立花を引っ掛ける。立花は絵に書くように綺麗に前のめりに転倒する。

「いきなりなにするんですか!?」

「落ち着きなさい、何があったのですか?」

鼻を抑えながら立花は訴えるがそれを無視し事情を聞く。

「そうでした!緊急事態なんですよ!京都が襲撃されてます!」

「今度はワースト、ヘルプどっちですか?」

また二つの組織が絡んでる騒動かと言いたげに南帆は尋ねる。

「それが…どっちも…」

「どういう事ですか!?」

「私にも分かりません、ただ追い詰められたヘルプが起こしたのでは無いかと」

(確かにそれもあるかもしれない…けどもし)

立花と南帆の推測以外にも玖由にはもう一つの推測があった。

(二組織が協力関係であり今回の騒動は前回憐斗に勘づかれた為の自作自演…)

ワーストとヘルプが協力関係では無いかという事は玖由にしか知らされておらず確信の無い情報で混乱を招かないように玖由はこの事を誰にも話していなかった。

(私も大概よね…)

「どうしたの?」

考え込む玖由を見て不思議そうに綾乃は問いかける。

「なんでもないわ、それより急いで向かわないと」

「でも…急いで向かっても、五時間ぐらいかかるわよ」

「そうとも限らないわ、こうやって知らせに来るということは何かしらの移動手段があるはず…ですよね?」

「えっ…うん」

サプライズとして言いたかった事を容易に見抜かれた立花は心無しか落ち込むように頷いた。が、すぐにテンションを戻し

「完成したんだよ!輸送ジェット機が!」


同時刻突然戦争が開戦した京都ではパニックに陥っていた。アームズ京都駐屯地に居た夏琳達は避難誘導を試みるがパニックになった人々は我先にと逃げ惑い支持に従う者は居なかった。

(このままだと…犠牲者が出ちゃう!)

そういう考えが頭によぎったのと同時に瓦礫の中から多数のアルマが飛び出し一般人に襲いかかる。

「やめろぉっ!」

夏琳は地面を蹴りアルマに多数の魚雷がアルマの身体にめり込ませ起爆、アルマを爆ぜさせる。しかし夏琳はすぐに息苦しさを感じ膝を付く。

「やっ…ぱり…この身体は…いい加減に…」

身体が言う事をきかない。その間にも人々が刺殺される。もちろん他のアームズが食い止めようとしているが質より量処理するアルマの数を上回る量で湧いていたのだった。

「けほっ…けほっ…は…やく…」

目の前に転がる死体守らなければならなかったはずの者しかし今の夏琳にはそれをただ呆然と見る事しか出来なかった。


「なに…これ…」

燃えさかる街を見下ろしハウは目を疑った。

「あの人達はっ…!」

ハウは崖を飛び降り信教者達の元に向かった。

「これは一体どういうこと!?」

「神聖なこの場所を奴らに穢れさせる訳にはいかないのだ!」

「だからって…一般人をまきこむなんて!」

「何かを守る為には多少の犠牲は致し方ないものだ、それはお前が誰よりも分かってるはずだが?」

その言葉にハウは言い返せなかった。


守ろうとした人々に裏切られ体を縛られながら裸足で道を歩かされていた。石がくい込み痛かった。しかしそれより左右に自分に道を空け、汚物を見るような視線が耐えられなかった。だがそれは仕方なかったそうしなければ彼らの誰かが同じ目にあっていただろうから…こうして自分は燃やされた。


「っ…でもこんな手段はまちがってる、こんなことをするためにあなた達に従っているわけじゃない」

とこの戦争から人々を守る為に向かった。


夏琳のいる場所は不幸にも一番争いが激しいものになっていた。ようやく身体の調子が戻ってきた。

『これ以上動かない方が良い』

武装から直接、大井が語りかける。

「だったらどうしろって…」

『私がやる』

そういい武装に付けられた魚雷を起動させ目の前にばら撒くように放つ。それは人々を避けアルマに突き刺さり爆発、それが連鎖し一時的にアルマの数を減らすことが出来た。

『今のうちに!』

「うん…!みんなこっちに!」

夏琳もとい大井の力を見てすがるように人々が誘導に従い始める。

が、次の瞬間地揺れと共に瓦礫が盛り上がり巨大なアルマが姿を現す。幸いに恐怖により素早い行動で人々の避難誘導はほぼ完了していた。アルマが腕を振り下ろし眼下の夏琳達に攻撃を仕掛ける。

「散開!」

アームズ達は四方に散るが衝撃により軽々と吹き飛ばされる。

「くっ…」

二撃目が来る事が見えたが既に疲弊したアームズ達や体調が優れない夏琳にはこの攻撃を避ける事が出来そうに無かった。

しかしその腕に砲撃が繰り返されハウが夏琳の目の前に現れる。

「ハウ!?」

「……」

砲塔を振り上げ巨大なアルマの心臓部を狙う。瞬きをした瞬間光の一線がそれを貫き消滅させる。ちらりとハウは夏琳を見るが一言も発すること無くその場を立ち去る。

「待って!ハウ!」

ハウは一言でも言葉をかわしたらそのまま居たいと思ってしまいそうだと感じたのだった。


(ハウ…!?)

葵もとい梨絵はふと空を見上げた。アームズとペアのクリークは離れていても探知する時がある。梨絵にとってそれが今だった。

(近くに居るの…ハウ!)

車から身を乗り出した。その先の上空には黒煙が上がっていた。

その時銃声が響き車を運転していた人物がハンドルに倒れ込む。

「狙撃!?」

運転手を払い除け助手席から手を伸ばし車を操作する。

「……」

そして目の前にガードレールの無い急カーブに差し掛かって来ていた。

「脱出してくださいっ!」

三人は扉を開け外に飛び出す助手席から飛び出し地面が無い羽根は武装を纏い飛翔する。同時に地面に転がる二人は崖に落下する車を見届ける。

「二人とも!まだ狙撃した人が居ます!気をつけて!」

2人は互いを背にし奇襲に備えた。しかし

「なんて演技はもういいですね」

次の瞬間二人の片足が同時に撃ち抜かれる。

「なん…で…」

「そろそろ潮時だと思っていたので」

冷徹な口調口を開きながらで羽根が両手に持った銃は二人を向いていた。

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