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41話 Those who know the truth

「憐斗!気をつけて!あいつ…大和を取り込んでる」

「なに…!?」

いくら結彩が言うことでもすぐには信じる事が出来なかった。

「本当さ!そして私は幸運にも戦艦…それも大和を吸収し最強になった!」

「最強だと…?笑わせるな」

次の瞬間憐斗の姿はそれの目の前に現れ炎の纏う拳を突き出していた。

反射的にそれは拳を受け止めてしまいその腕が消滅する。

「これぐらいで腕が持っていかれる雑魚が最強を語るんじゃない」

憐斗が本気で怒っているのはすぐ理解した。いつもは絶対使わない口調に力の差を分からせようとする様にわざとトドメを刺さずに痛め付ける。

「くそがァ!…がはっ!?」

復活した腕を伸ばし拳を突き出すが腕を払い除けがら空きの腹部に再び憐斗の一撃が打ち込まれ、炎を纏う衝撃波がそれの身体を貫く。身体の中から焼ける熱さにそれは悶え苦しむ。そんなそれを憐斗は躊躇わずに蹴り上げ地面に叩きつけられたそれは転がる。

「や…め…ロ…」

許しをこい始めるが今の憐斗にはそれは愚策でさらに加減の無い攻撃が襲う。もちろんそれは何もせずに攻撃を受けている訳では無いが避けようと思った瞬間には攻撃を受けているのだった。

「やめろだと?」

それの顔面を掴み地面にめり込ませる。

「お前が結彩達にした仕打ちを忘れたのか!」

めり込ませたまま地面を引きずり空中に投げ飛ばし憐斗は炎の弓矢を想像し矢を放つ。

憐斗から解放されたそれは装甲を展開し防ごうとする。しかし矢は装甲を焼き貫き最後の一枚にまで届いた瞬間それは身を翻し寸前でかわすが体制を立て直せず地面に落下し叩き連れられる。

「い…いいのか!?私をそんな倒し方をすると大和も助から無いぞ!」

「なんだ?それは脅しか?」

憐斗は足元の地面を蹴る。すると摩擦により起きた火花が膨張し火柱が突き進みそれを飲み込む。

熱の強さにそれは身動きが取れなくなる。

「残念だが」

自ら立てた火柱に突っ込み憐斗はそれに手を当てる。

「大和はお前みたいにやわじゃない」

「くそがぁぁぁ…っ…」

衝撃波がそれの全身を襲いそう感じた瞬間全身が燃え始め再生が不可能になり焼滅した。そしてその中から大和が現れ倒れ込み抱き上げ憐斗は火柱から脱出する。

「大和!大和!」

気を失う大和を揺さぶり憐斗は必死に起こそうとする。

「意識は戻っている…揺さぶるな…って…本当に死ぬから…」

意識を取り戻した大和は憐斗の必死の揺さぶりに目眩を感じた大和は止めるように訴える。

「良かった」

「本気になり過ぎだ…私まで焼ける所だった」

苦笑いを浮かべながら話す大和を憐斗は抱きしめた。

「なっ!?は…恥ずかしいから止めろっ!」

大和は顔を赤らめた。

未だに燃え続ける炎より高く飛んでいた憐斗達を見上げながら地上の結彩達は安心し全身の力が抜ける。

「三人はこのまま帰投して、あとはうちらがやるわ」

重症の結彩達をほおっておけなかった加奈は三人にそう指示する。三人にもこれ以上の力は無くその指示に素直に従った。


「っ…終わったみたいだな…」

痛みに耐え続けていた京也は額の脂汗を拭いソファーに座り込む。

「兄さん大丈夫?」

心配そうに小冬が京也に水の入ったコップとタオルを渡しゆっくりと京也の横に座る。

「あぁ…問題ないよ」

(いつも俺が力を勝手に使った時結彩さんもこんな苦痛を感じていたのか…)

絶叫したくなる痛みに歯を食いしばりながら耐えていた京也は罪悪感を感じ身勝手な自分が弱音を吐く権利は無いと思った。

「どうなったんだろうね…」

軽い食料を持ってきた綾乃は向かいのソファーに座りおにぎりをかじる。

「ヘルプが何を隠していたのか…気になるわね」

と手が伸びおにぎり1つが持っていかれる。

「有益な情報だと良いのだけど…じゃないと玖由があんな目にあった意味がなるなる…!」

「あら、心配してくれてありがとうね」

「ひやっ!?い…いつの間に!?」

「さっきから居たわよ」

手の大きさぐらいあるおにぎりを一口で食べ再びおにぎりに手を伸ばす。

「お腹空いてるんですね…」

玖由の食欲に冬菜は苦笑いをする。

「そういえば松根と葵は?」

「見てないわね…まさか!?」

三人は二人の行方を察する事が出来た。そして得た情報は二人から聞けば良いと思った。彼女らには自分達に嘘をつく理由が無いと考えたからだった。しかし三人が聞いた情報は……


「何も無かった!?」

「それは流石に嘘だろ!」

京也は葵と松根に詰め寄る。

「本当です、追い詰められたヘルプはデータをコピーし消去、コピーしていた物も何者かの襲撃…恐らくワーストに惨殺され強奪されていました」

「何よ…それ…」

期待を裏切られ綾乃は落胆し呟く。

「嘘はついてないみたいよ」

玖由が二人を庇うように虚偽は無い事を伝える。

「ありがとうございます」

「………」

しかし玖由は目をつぶったまま返答はしなかった。その様子に梨絵には、見抜かれていなくとも隠し事がある事はバレている事が理解出来た。

「松根行きましょう」

梨絵は葵の手を引き三人と別れた。

「恐らくこれで玖由からの信頼は無くなりましたね」

感情を押し殺して話す梨絵に松根は見ていられなくなる。

「流石に梨絵さんが報われないです!こんな事!」

「けど、あんな事教えられませんから…ね」


呉に帰宅する中、入手したデータが気になり結彩を含めた三人はパソコンを開きデータを見る。

『この世界は相良憐斗によって創造されている』

「な…なによ、これ…」

その文字に一番驚いていたのは結彩だった。

「憐斗が…どうやって…」

「五神の力を使った」

葵は1つの考えを口にする。その考えは画面を下に動かすと正解だったという事がすぐに分かった。

「アマテラスアマツガミ…」

「当たりだった見たいね」

『そして呪われたこの世界を救済する為には五神の力を椎名玖由に捧げることで叶えられる』

「待ってください…頭の整理が…」

松根は考えもしなかった内容に理解が追い付かず頭を抑える。

「なんでここで玖由が出てくるのですか!?」

「同じ考えなので私に当たらないでください…」

思わず葵に詰め寄ってしまい、松根は慌てて離れる。

「ただ…蒼嵐さんが玖由と憐斗さんには伝えないで欲しいと言った意味は理解出来ましたね…」

「あの二人が知れば無茶をする…そしてその無茶によって世界が崩壊しかねないということなのね」

「調べてみましょうか」

「宛はあるの?」

結彩の問い掛けに葵は頷いた。

「この世界には神の声を聞く人達が居ますから」

葵が言おうとしている人物はすぐに分かった。

「巫女」

無言で頷き

「真実を伝えれるまで三人の秘密ですね」

葵は人差し指を自分の唇につけそう言った。

「それと!どうして葵に梨絵さんは憑依してるんですか!?」

「それは…また時が来たら話しますね」

梨絵は


「信頼を取り戻せるようにしないといけませんね」

「はい、梨絵さん」

その時物音が聞こえ二人は振り返る。そこに居たのは黒光りするあれだった。それを見た2人は悲鳴をあげた。

「どういう事…?松根が葵に向かって梨絵って言った…なんで…梨絵は亡くなってるはずでしょ…」

二人の様子を怪しみ盗聴器を取り付けていた玖由は二人の会話より松根が葵に対して梨絵と言ったことに動揺した。二人が理由も無く梨絵の名を口にはする事は無い、その名を面識もないはずの松根が放った理由

(梨絵が生きている…!?)

それが玖由の結論はだった。

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