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39話 Signal of annihilation IV

憐斗が地下道に侵入する十分前、蒼嵐は一足先に地下道を歩いていた、そして散らばる死体と殺った犯人であろう人物を見つけた。

「止まりなさい!」

その場を立ち去ろうとする人物に蒼嵐は銃口を向けるが

「どいて欲しいのだけど」

その人物は銃の間合いよりも蒼嵐との距離を詰めて話しかけていた。

「いつの間に…!?」

「遅い!」

蒼嵐の銃を握りつぶし拳を突き出す。寸前に銃を投げ捨て身をそらしその拳を避ける。その人物は次の攻撃を仕掛けようとするが背中から衝撃を受け地面に倒れる。攻撃をかわしがら空きとなった背中に蒼嵐が肘を打ち付けていたのだった。更に蒼嵐は相手を踏み倒さそうとするが

(まずい…!)

足に全力を込め地面を蹴ることでその場から離れ体制を立て直す。素早く蒼嵐は踏み込んだ足を利用し手刀を突き上げる。

(これも…直撃したら!)

身体を捻り回転させる事で蒼嵐の一撃の直撃を免れる。しかし脇腹を掠めた手刀は脇腹を切り裂いた。

「っ!」

脇腹を抑えながらその人物は死体の転がる通路の反対側に下がり姿を消す。

本来の目的であるデータのコピーを持っていたであろう人々達は殺されそれは先程の人物の手にあると考えた蒼嵐はその後を追った。


その後憐斗がその場に辿り付く。転がる死体の近くに破壊された銃と反対側へ伸びる血痕を見つけた。信教者達の死体から銃を持っている様子はなかった為、別勢力が介入した事を察した。

「ワーストか…」

その時大和からの無線が鳴りヘルプが逃亡しているという情報が伝わる。

(ここに居る人物達があの巨大なアルマを召喚できるとは思えない…となるとこれは囮、本体はもっと先だ)

憐斗は死体を避けその先へ進んだ。

『それ以上進まれると困るんだなぁー』

その声が通路に響き渡りアルマが地面から湧く。

「ヘルプか…」

とアルマの攻撃を受け止める。普段のアルマと攻撃力と違うと感じた憐斗は

(いや…こいつらハザードアルマか…となるとワーストか!)

憐斗は手を横に大きく振りハザードアルマを跡形もなく焼き払う。

「敵対関係のはずの二つの組織が何故…」

(考えられるのは…二つの組織が内部的に協力関係なのか…それとも一方的にヘルプが無くなると不利益になる事があるか…だな)

「…ったく」

更に調べる事が増えた憐斗は頭を抱えたくなったがそんな事をしている場合では無い為、ため息だけを付き更に湧くハザードアルマに八つ当たりをしながら先に進んだ。


「はぁっ!葵…梨絵さん!」

「了解です!、やぁぁぁっ!」

松根が怪物の両目を砲撃、怯んだ隙に葵は刀を投げ放ち怪物に突き刺さる。

「やはり硬いですね!」

葵は足を突き出し突き刺さる刀に向けて突撃する。

「はぁぁぁっ!」

刀を蹴りで押し込み怪物を貫通する。悲鳴に似た叫びをあげる怪物に宙を舞う刀を掴み地面に着地し着地した体制を利用し身構える。それを見た松根は葵とは反対の足に向かいがながら鞘に手をかける。

「「居合い!」」

二人は同時に怪物の両足を高速の剣が切り裂き怪物を倒す。

「今です!」

二人は距離を詰め攻撃を仕掛けようとするが次の瞬間松根に巨大な手が振り下ろされかけていた。しかしそれに気づいた時には風を纏い向かってきていた。

「しまった!」

「そのままで居て!」

松根はその言葉の通りに身を屈めたままの状態で止まる。次の瞬間松根の近くの地面から結晶の柱が突き出し巨大な手に突き刺さり押し上げる。

「今よ!」

ツクヨミの力を纏った結彩は松根に指示を出しその場から脱出する。手を封じられた怪物の背中の至る所から砲塔が突き出す。

「「っ!?」」

三人がその場から離れたと同時に全ての砲塔が火を噴く。

「みんなこっちに!」

葵と松根が結彩の後ろに回る。それを確認後結晶で多重の装甲を展開し砲撃の直撃を防いだ。


怪物が放つ砲撃は地面を貫き蒼嵐の目の前に着弾する。

(さっきの怪物が…!)

「よそ見してると…」

相手が目の前に現れ銃口を突きつける。しかし引き金を引くよりも蒼嵐の反射速度が上回り、フードを掴み引きちぎる。粉々に破れたフードの中身の人物に蒼嵐は目を見開いた。

「映月!?」

「っ…」

フードの欠片の布を掴む手を掴み両手を封じた蒼嵐の腹部に膝蹴りを打ち込む。距離が空いた隙を狙い映月は隠していた多数の小銃を宙にばら撒く。腕を僅かに後ろに引くと一斉に銃口が蒼嵐に向く。同時にその全てから銃弾が放たれる。

「かわしきれない!」

身を翻し銃弾をかわすが全てを避ける事が出来ずに被弾する。

「かはっ…」

煙の中に反射する細いモノが視界に入る。

(まさか…!)

短剣を目の前に放ち光を切り裂く、すると小銃は地面に落下する。

(やっぱり!ワイヤーを引っ掛けてるんだ!)

再び残り短剣全てを手に取り投げ放つ。

からくりに気付かれた映月は短剣に斬られないようにワイヤーを操作し蒼嵐に銃撃する。

(なら!)

銃口を短剣に狙い放つ。命中した短剣は軌道を変え更に軌道を変えた短剣が別の短剣に命中し軌道を変える。その連鎖を繰り返し短剣は誰にも読めない挙動をする。すると次々にワイヤーが切断され銃が落下する。しかしその間にも地を貫き砲弾が落下しその衝撃が短剣を襲い勢いを殺し短剣を落下した。短剣が全て落下する頃には全てのワイヤーが切断されていた。

(危ない所だった…と言いたいけど…)

全然の至る所を撃ち抜かれた蒼嵐の身体は限界が来ていた。

「はぁ…はぁ…っ!」

ゆっくりと歩き転がる小銃を一丁手にしその銃口を蒼嵐に向けた。

「正体を知られた以上は選択肢は二つワーストに入るかここで死ぬか」

いつものほわほわした口調だったが逆にそれが蒼嵐に恐怖を感じさせた。

「っ…ワーストになんか…」

すると映月は小声で

「憐斗の助ける方法も…ね」

「えっ…」

(食いついた!)

表には見せない笑みを浮かべ映月は

「どうする?」

と決断を迫り、手を差し出す。

(葵の居場所が知れるなら…!)

そう考えた蒼嵐は映月の手を掴んだ。

その瞬間落下する砲弾によって地下道が限界を向かえ崩壊を始める。

「決定!」

瓦礫と砂ぼこりに二人の姿は消えた。


「とにかくあの砲撃を何とかしないと…!」

「そうだね…なら一か八か、二人とも!十秒だけで良いから注意を引いて!」

「「了解!」」

と二人は同時に結彩の盾から飛び出す。すると怪物の注意は二人に向く。

「はぁっ!」

その隙を突き盾を分解し怪物の上空に結晶の槍を展開する。手を振り下ろしたのを合図にその槍は怪物に向けて加速しながら落下する。槍は主砲を貫き破壊していく。

「結彩!」

そこに大和が合流し目の前の怪物を見る。

「向こうから見えていたけど…ここまで巨大だったとは…」

大和は改めて怪物の大きさに驚愕し、それをここまで追い詰めた三人の力の成長を感じた。

しかし主砲を破壊してもなお動き始めた怪物に四人は身構えた。次の瞬間怪物から無数の手が結彩に向けて伸びる。

「何あれ!?」

瞬時に結晶を集め盾を作り出す。しかしその手は盾を透過する。

「結彩っ!」

大和は結彩を突き飛ばしその場から離れさせ結彩を守る事には成功したが、代わりに大和がその手に捕まれる。

「大和っ!」

もがき脱出を試みるが怪物に引きずられる。

「結彩達なら大丈夫だ!あとは任せたっ!」

その叫びを最後に大和は怪物に飲み込まれる。

「「!?」」

「なんて事を…!」

三人の絶望を嘲笑うように怪物は雄叫びをあげた。

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