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37話 Signal of annihilation Ⅱ

情報を頼りに憐斗達は舞鶴に来ていた。

「情報ではここ」

加奈はモニターに映る日本の地図を操作拡大し指をさす。

「能登半島全域やね」

「あぁ…実際に攻め込むのは俺達だが敵の逃亡に備えて舞鶴からは船を出して貰う」

「うい〜」

怠そうな返答をしたのは舞鶴の指揮官、葉野(はの)(こう)だった。そんな姿に憐斗はため息を付いた。そんな憐斗を知り目に

「小型護衛艦5隻大型護衛艦3隻エイギス艦1隻潜水艦2隻は既に用意してるよ〜」

いつでも出撃が出来ると言う事を伝えた。なら早く言えと訴えるような視線を送り憐斗は

「敵は連携を戦法としている、全員単独行動は極力避けてくれ」

と伝えた。


作戦会議を終えた憐斗に外で待っていた結彩が駆け寄る。

「玖由達は帰投したみたい、ただ玖由が重症ぽくって…帰投した瞬間に気を失ってそれから意識不明らしいの…」

「何があった?」

憐斗の足取りが止まり結彩に尋ねた。その口調から僅かに動揺しているのが感じられた。

「ごめん…そこまではまだ分からないの」

その時、憐斗は壁を強く殴り乾いた音が響いた。一呼吸置き憐斗は

「すまない…行くぞ」

足早に憐斗は出撃の準備を始めに行った。


「ここですか…」

一足先に敵地に踏み入れていた葵と松根は連帯行動を基本とするヘルプに正面から戦うのは不利と考え二人はローブを纏い隠密を徹底していた。

『聞こえる?』

その時明歌からの無線が入る。

『アームズ達がそっちに出撃したわ、多分情報が手に入るまでは派手な事はしないだろうけどヘルプは警戒心が強い、まるでうさぎよ』

「「………」」

『あいつらならなにかある前にデータを削除するかもしれないわ…だからなるべく慎重に素早くね』

「すごい無茶苦茶ですね…でもそうしてでも必ず情報を入手して蒼嵐さんを助けないと…ですよね!葵、葵?」

「えっ…あぁ…そうですね」

『頑張ってね』

明歌との通信はそのままに二人は音を立てないように忍び込む。

『防犯設備は多方ハッキングしてるわ、気にしないで進んで!』

「了解!」

『情報管理室は6階よ!』

明歌のナビゲーションは相変わらず完璧で一度も遭遇すること無く情報管理室の扉前まで来ることが出来た。

「行きますよ…」

扉に手を当てゆっくりと僅かに押し開ける。

(気配は無い…)

人が居ないことを確信した葵は勢いよく扉を開ける。

「待っ…」

松根を制止を聞かずに葵は部屋に突っ込む。その結果、葵は四方から無数のレーザーの的になる。

「えっ…」

「危ないっ!」

(まだ…こんな所で終わらせません!)

次の瞬間、葵の身体が光りその光は身体から分離し人の姿を形成する。その人物は倒れる葵を抱き、部屋の出口まで下がる。同時に的を捉えていたレーザーから銃弾が放たれる。素早く後ろに下がり入り口を出たと同時に扉を閉める。

『何があったの!?』

「罠がありました…ここは情報管理室じゃありません」

『そんな!?私の知ってるものと違う…』

明歌は動揺しながら小さく呟く。

『とにかくこちらでも探してみるわ!』

「了解です、私達も探してみます」

松根は一度通信を切り葵を抱く女性…もとい梨絵を見上げる。

「あなたは…何者ですか…?」

「幽霊に正体なんてありませんよ」

そうはぐらかそうとする。

「幽霊…ですか、その幽霊が何故葵に憑依なんか…」

「葵が望んだ事ですから」

「それは…」

「話は後にしましょう、今は情報管理室を探すのが先です」

「分かりました…その代わりこのことが落ち着いたら教えて貰いますからね!」

松根は立ち上がり歩こうとするが、その腕を梨絵は掴む。

「待ってください」

梨絵は目を閉じ集中する。

「何を…」

「一つ一つ部屋の気配を探ります」

霊体化した梨絵は人の気配を感じる事が出来るようになっていた。それを利用し人の気配が集まる場所、それも多すぎない程度の人数の集まりを探す。

「っ!」

葵を背負いながらも松根の手を掴み目を閉じたまま梨絵は駆け出す。

(何を…)

梨絵の突然の行動に戸惑ったが耳を澄ますと僅かに複数の足音が聞こえた。振り返ると先程まで自分達がいた場所に人がいるのが見えた。同時に三人は曲がり角に姿を消した。

「間一髪でしたね…一応それらしき部屋は見つかりましたそこに向かいましょう」


『各部隊作戦位置に到達したよ〜あとは頑張れ〜』

無線から光の声が聞こえそれを合図に

「攻め込むぞ!」

憐斗の合図と共にアームズ達は突撃を始めた。


廊下を走る三人は突然、耳を貫く甲高いサイレンに立ち止まる。

「一体何ですか!?」

大きな音が苦手な松根は耳を塞ぐ。

「恐らく憐斗達が攻撃を始めたのでしょう…急ぎますよ」


憐斗達の侵入を探知したヘルプはアルマを召喚し憐斗達に立ち向かわせる。

「憐斗、ここはうちらに任せて!先に!」

「分かった、任せる!結彩行くぞ!」

行く手を阻むアルマを加奈はランチャーを放ち道を作りそこを二人は駆ける。それでも行く手にアルマが湧く

「邪魔だぁっ!」

そこに実体化した大和が砲撃を散らし二人が極力戦闘をしないようにサポートをする。


「ど…どうするんだ!」

ヘルプの信教者達は憐斗達の襲撃に慌てていた。

「アルマを立ち向かわせているがそれも全てあのクリーク一体で片付いてしまっているではないか!」

憐斗を少しでも足止めをしようと思うならアルマに頼らず自身たちが向かわないとできない事は全員理解出来ていた。しかし憐斗の異常な程の強さは知れ渡っている為怖気付いた信教者達は誰も立ち向かおうとしなかった。更に今回は結彩という未知数な存在も向かってきている為尚更だった。

「どうして我々の拠点が発覚したんだ…」

そう思うのも無理もなかった。隠密に関してはトップクラスで今までアームズ達に勘づかれる事は無かった。それがいきなり見つかり襲撃を受けているのだった。

「て…撤退だ!撤退をするしかない!」

一人がそう叫ぶと連鎖的にその意見に同意し騒ぐ者たちが現れた。

「データを回収して来い!」

その指示を聞き数人が部屋を出て情報管理室に向かった。そのすれ違いに更にこの場を混乱させる情報を持った人物が駆け込んでくる。

「報告します!この建物に侵入者です!」

「なんだと!?」

「囮部屋のトラップが作動した痕跡がありました!」

「トラップ部屋を情報管理室と勘違いしたか…となればワーストか!」

『情報管理室は無事です!今からコピーを送ります!』

という無線が届き、次の瞬間無線が途絶えた。

「なんだ!?」

「とにかく今は逃げるぞ!」

一連のやり取りを聞きハウはその場から離れた。


梨絵は目的の部屋を見つけ両手が塞がっているため蹴り開ける。

「「!?」」

血溜まりと辺りの壁に雑に塗られた血の惨状、そして四肢が引き裂かれた死体が転がる部屋に言葉を失い中心に立つ人物に更に目を疑った。

「蒼嵐…?」

自分の名前を呼ばれ振り返る。その先に葵とその葵を抱く梨絵の姿に唖然とする。

「なんで…二人が…居るの?」

「……」

「っ…!」

数秒の沈黙後、梨絵が口を開く。

「データを奪いに来たのです」

「なんで…」

「なんで……っ!じゃないでしょ!あなたを助ける為にみんなここまで来たのです!」

「一体誰が助けて欲しいって言ったの!?誰もそんなこと望んでない!お節介なのよ!」

蒼嵐の刃が梨絵に向かって突き進む。葵をゆっくりと置き前を見た瞬間顔面に刃が突き刺さり血が吹き出すが。しかしそのまま立ち上がり吹き出した血が梨絵の顔に集まり復活する。

「仕方ありませんね…力づくても戻ってもらいます!」


障害は梨絵達だけでなく憐斗、大和と結彩の前にも立ちはだかっていた。

「ハウ…本当にヘルプに付いたのか…」

大和の言葉に無言でハウは砲口を向ける。ハウにとっての答えがそれだった。

(ハウが出てきたとなるともう時間は無い…出し惜しみはしてられないか…)

「憐斗、結彩!ハウは私が相手をするだから先に行ってくれ!ここまで来るともう時間の問題だ!」

大和の発言に憐斗は僅かに驚きの表情を見せた。いつもは憐斗の指示を待ち自分から何かをするという事をしなかった大和が自分に指示を出したのだ、それほどこの作戦を成功させたいという思いが強いのだろう。

「分かった任せる」

二人はハウの横を走り過ぎる。そんな二人をハウは邪魔をしようとせず見送る。邪魔をしようとすると大和に妨害され戦闘が早まるだけだと判断したからだった。再びハウは大和に砲口を向け、大和は武装を纏いハウに向けた。

「「はあっ!」」

同時に二人は間合いを詰め互いを砲撃した。

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