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31話 Truth is Ridicule

大会から一週間後、山積みの資料を持った玖由はそれを虎狼の机に置く。見るからに重そうな塊を手放した玖由はため息をつき

「出来ましたよ」

と目の前に居る虎狼に伝える。

「流石僕の玖由君だ!ぐっ…」

容赦の無いストレートが虎狼の顔面を直撃する。椅子ごと後ろに倒れかける虎狼を南帆が支える。

「助かっ…」

南帆の肘が急降下し虎狼に止めをさす。

「二人とも…容赦がないね…」

「会長が悪いです」

その時生徒会室の扉が勢い良く開き立花が飛び出してくる。

「会長ーっ!こっちも資料片付いたよー!…うわっ!?」

しかし床に転がる虎狼に気づかず躓き束ねた資料を投げ飛ばし転倒する。

「まずい…!」

資料の落下の先に玖由の置いた資料があった。しかしそれを素早く綾乃が受け止めた。が受け止めた後の事を考えていなかった綾乃は資料の山を掠めてしまいバランスを崩した山は崩壊しそれは玖由と南帆に襲いかかる。

「なにやってるのよ!」

「遅れまし…た…?」

遅れて到着した京也は部屋の惨状に戸惑った。


「いやぁ見苦しいとこを見られたね」

片付け終え席に座り直した虎狼は頭をかきながら愛想笑いをする。

「3人とも少しは慣れたかな?」

「まぁ…はい」

玖由はそう答えた。

「2人にも感謝しているよ、万年生徒会は人手不足だからね」

「いえ、私生徒会に入るなんて最近まで思ってませんでしたから…」

実際玖由が居なければ生徒会に入るという事は考えなかったと京也も思った。

ーーーーー

「勝っていたとしても生徒会に入るつもりだった!?」

試合が終わり京也は玖由から虎狼達て交わしていた約束を話した。

「そう、でもその代わり全力をあなた達に見せて上げて欲しいって条件付きでね」

「どうしてそんな条件を…?」

「あなた達が私を目標にしてくれているのは嬉しいけど私に追いつくのがゴールじゃない、上には上がいるという事を知って欲しくて」

「玖由…」

「だから京也君も本気を出して欲しかったんだけど流石に大袈裟に言いすぎたって反省してるわ」

流石の玖由も恥ずかしかったのか赤面を浮かべながら呟いた。その表情と玖由の気持ちに京也の気持ちが固まる。

「先輩決めました!俺も生徒会に入ります!」

「本当かい?」

「な…なら、私も!」

玖由だけでなく京也までもさきに進んでしまうと思い綾乃も手を挙げる。

「二人とも歓迎するよ」

虎狼は手を差し出しその手を京也は握った。

ーーーーー

「はぁ…はぁ…」

生徒会室の扉が開き息を切らした蒼嵐が入ってくる。

「ごめん、時間が無くて…資料預かるわ」

南帆が素早くまとめた資料を蒼嵐に渡す。

「ありがとう、頑張ってね」

短くそう言い蒼嵐は部屋を出る。

「先生…何かあったのかな?」

「分からないわ、でも最近…大会が終わってから何かを調べているみたい」

心配そうな表情で玖由はそう呟いた。


「お待たせ、持ってきたわ」

「あぁ…ありがとう」

パソコンから目を離さずに憐斗は答えた。何をしているのか蒼嵐な興味を持ったがそれ以上近寄る勇気が無かった。

「あとは私がやっておこうか?」

「えっ…あ、あぁっ!お願い」

大和の問いかけに慌てるように答え部屋を出た。

「憐斗…蒼嵐も薄々感じてるみたいだけど良いのか?」

「……」

何も答えない憐斗に大和は呆れたようなため息をつく。

「良いんだ、これは俺がしないといけないから」

モニターの画面には京也が試合で見せた力が映っていた。

「いらいらしても意味無いよ」

実体化した流星が蒼嵐を宥める。

「わーかってる!でもどれだけ調べてもほとんど五神の情報が無いなんて…」

「でも確かに不自然だよね…まるで誰かに消されているみたいな」

「消されるって誰によ」

そう言う蒼嵐だがそんな事が出来る人物に心当たりがあった。それは流星も同様だったが二人はあえて口に出さなかった。

「でも調べてでないとなるとどうしたらいいんだろ」

「誰かに聞くとか…かな?」

「聞くって直接五神に聞くの?」

「無理だろうね…それに聞くにしても私達は聞けないから」

流星が何気なく呟いた一言に蒼嵐は何かを思い出した様に呟いた。

「私達じゃ…聞けない…そうだ!」

蒼嵐は流星の手を掴み駆け出した。

鉄道を利用し約三時間『伊里』と書かれた駅で下車する。

「お久しぶりです、茉莉さん」

「いらっしゃい蒼嵐ちゃん、今日はどうしたの〜?」

夕立が茉莉と蒼嵐のお茶を机に置く。

「茉莉さん、五神について何か知ってますか?」

その言葉を聞き一瞬夕立の手が止まる。

「五神の事を調べてるのね〜」

「はい」

「教えても良いのだけどー…後悔しない?」

茉莉の最後の一言には引き返すなら今という最終確認のような意味があるように感じた。

「はい!」

覚悟ならあるという意味を込めて返事をする。

「ならよろしい〜」

「まず五神の事どれだけ知ってるのかな?」

「いえ…ほとんど…」

その言葉を聞き茉莉は一冊の本を蒼嵐に差し出した。それに戸惑うが茉莉は微笑むだけで何も言わなかった。恐る恐る本を開く。

「五神について…」

「憐斗が書いていたレポートよ」

次のページを開き最初の一文には

『この世界は作られている』

「どういう意味…?」

瞬きをするのを忘れ全てを読み終える。

「作られた世界…五神を宿す者には代償が必要で憐斗の代償は命と自分の運命…憐斗はこの世界を破壊しようとしているの…どうやって…意味が分からないよ…」

「私も見た時は驚いたわ〜…」

その時一つの疑問が頭に過り茉莉に尋ねた。

「これはどうやって…憐斗重要なものの管理だけは厳重なのに…」

茉莉は微笑んだまま固まる。

「流石だね〜伊達に憐斗と長い事一緒に居るだけあるね〜隠しきれないかぁ」

と呟く。

「入ってきても良いよ〜」

すると天井から人影が飛び降りてくる。

(忍者だ…)

登場の仕方に流星は心の中でツッコミを入れた。

「蒼嵐さん…」

その声に聞き覚えがある蒼嵐は目を見開き耳と目から入る情報を疑った。

「羽根…なの!?」

まさに忍というような姿をしている羽根は嬉しさと悲しさが入り交じっているような表情で頷く。

「はい」

「まさかあの時の襲撃も…」

「このデータを盗むためでした、そして可能であればワーストの妨害」

「そうだったんだ…」

「私達神崎家は巫女に仕え守るのが役目ですから」

そこに羽根と同じような姿をした人物が慌てて駆け込んでくる。

「報告です!閑谷図書館にて何者かに襲撃されてます!」

「あれが狙い…なのね!」

「恐らく」

その返答を聞き茉莉は羽根と夕立に向かうように指示を出す。

「「了解!」」

部屋を出る寸前腕を捕まれ羽根は振り返る。

「私も行っていいかしら」

その問いかけに

「是非お願いします」

蒼嵐の手を掴み立ち上がらせ二人は現地に向かった。

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