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28話 MyPrince Ⅱ

(初撃は計算した砲撃だったとしても次弾からも正確に砲撃されてる…なら)

京也は一部盛り上がった場所を見る。

(可能性があるならあそこがいちばん高い…なら…)

「みんな作戦がある!」

無線で3人に考えた作戦を京也は伝えた。

「あまり賛成しませんがそれしかありませんね…」

「頼む」

「「了解」」

作戦を実行しようと京也は動こうとした瞬間、京也の腕を綾乃は掴み。

「その役目、私が変わる」


「ん?」

盛り上がった丘から京也達の動きを探知していた陸上哨戒機東海の武装を纏う桐谷(きりや)(ゆう) はレーダーが一瞬ジャミングされ京也達の動きの変化を感じ表情を変える。

「どうした?」

その表情を見て虎狼は尋ねる。

「いえ…今まで集団で動こうとしていたのに急に単独行動を始めたので…」

「そうか、位置は掴めているな」

「それが一瞬ジャミングをくらって二人の位置が不明になってて」

その報告に虎狼の表情も変わる。

(そこまで察したのか…少し侮り過ぎていたか)

「まぁ良い、狙い通りだ」

虎狼と南帆が動き始めた。

「えっ!?二人の位置を見失ったぁ!?」

自走砲アーチャーを纏う柴崎(しぶさき)立花(りっか)が無線の報告を受けひっくり返る様な仕草で驚く。

「な、な、なにやってんのよ!」

『仕方ないだろ、ジャミングを受けたんだから』

「まぁ良いわ、残り二人の場所を教えて…」

大きく息を吸い込みスコープを覗き壁を見る。

「潰すから」


「っ!松根!」

十字路を松根と葵は二手に別れる。同時に正面から壁を突き破り砲弾が通過する。2人は顔を見合わさせ二手に別れた。

『そこから南東に一人、南北に一人』

(的を絞らせない気か…!)

モニターに送られる位置情報を頼りに行動を先読み狙いを定める。

「まずは南西から!」

放たれた砲弾は次々と壁を貫く。

「来たっ!」

松根は装甲を展開し砲弾を防ぐ。

「座標計算完了しましたよ!」

「了解」

葵は多数のミサイルを上空に放つ。

『上だ!』

「なにっ!?」

上空を見上げると多数のミサイルが落下してくるのが見えた。素早く身を上に向け砲塔を上空に向け拡散弾を放つ。砲弾は分裂しミサイルを撃墜し爆発を起こさせる。

『はやく逃げろ!今ので居場所がバレている!』

爆破音でジャミングされるレーダーに僅かに見える二つの点が立花に向かうのを見て報告する。

「でしょうね!」

砲塔を縮ませ立花はその場から離れる。

「完全に相手の流れだ…」

「えぇ、そうよ!」

壁を突き破り綾乃が佑の前に現れる。

「なにっ!?音も立てずにここまでどうやって!?」

「ジャミングされている状態だったら大きい音よりも小さな音には気づかなかったでしょう!」

砲塔を佑に向ける。すかさず後ろに飛翔し砲撃をかわす。

「ビーニ…借りるわよ」

爆弾をばら撒き

「今よ!」

「ごめん…なさい!」

ビーニは爆弾を起爆し佑を巻き込む。間髪入れずに綾乃が砲撃しようと試みる。しかし次の瞬間目の前に人が現れる。

「!?」

「ミサイルにジャミング弾を紛れ込ませて爆破と同時に爆弾を起動、爆風で加速をつけて感知される前に距離を詰める考えは悪くないね」

綾乃の砲塔を素手で持ち上げ軌道を強制的に変える。

「しまった!」

綾乃は離れようとするが

「遅い!」

それより早く虎狼の一撃が綾乃に命中し吹き飛ばされる。

「かはっ…」

想像以上に強烈だった一撃にうずくまる綾乃に虎狼は砲塔を向ける。

「まずは一人脱落」

鳴り響いた砲撃音を聞き立花は音のした方角を見る。

「まさか佑が目的だったの!?」

佑の元に向かおうと方向を変えて立花は向かおうとするが、目の前の曲がり角から向かってくる気配を感じ足を止める。相手も同じ事を考えたのか立花と衝突する寸前に足を止める。

「「あ…」」

松根と立花はお互いの顔を見て数秒間硬直する。

「っ!」

最初に動いた松根は鞘を手に居合いをだす構えをとる。

それを見て後ろに足を引き距離を置こうとする。同時に松根の刃が立花の胸部装甲の一寸先を通過

「危なっ!?」

砲塔を伸ばし松根に向け砲撃。松根は刀を持ち替え振り上げ砲弾を切り裂く、続けて腕の砲塔を回転させ立花に向けて砲撃。それを装甲を展開することで弾き、弾く衝撃を感じた瞬間に装甲を解除、松根との距離を詰め縮めていた砲塔を再び伸ばす。伸びた砲塔は松根の腹部に押し込まれ

「ぐっ…!」

「とった!」

ゼロ距離の砲撃が炸裂。同時に目の前か、立花に向けて砲弾が放たれそれを咄嗟に身を横に向ける事でかわし松根との距離を置く。

(あんな近距離で砲撃したのに…どうやって…!?)

煙がはれ松根の腹部に集中的に展開された装甲を見て全てを察する。

「なるほどね…砲撃の瞬間僅かに空いた隙間に多重の装甲を展開していたと」

「正解…です」

(居合い対策でこれを習得したのですがまさかこんな形で使う事になるとは思いませんでした…)

しかし装甲で直撃を防いだといえ衝撃によるダメージをもろに受けていた松根はその場に膝をついてしまう。その隙を逃すことが無かった立花は砲塔を向けた。しかし次の瞬間、壁を突き破り多数のミサイルが松根を避けその先に居た立花に向けて突き進む。

「うそっ!?」

距離を置く為に後ろに飛びながら散弾に切り替え前に撃ち出しミサイルを迎撃する。すると爆煙の中から葵が飛び出す。

「使ってください!」

松根の投げた刀を受け取り突き出す。寸前でかわした立花にマシンガンの銃口を向け放つ。それを装甲を展開し防ぐ、前方に装甲を展開する為立花の視界が遮られてしまう、それを狙い葵は左に周り込み刀を振る。咄嗟に砲塔を縦に防ぎ後ろに下がる。しかし同時に後ろから接近する何かに気づき振り返る。

「ミサイル!?」

(装甲で視界が塞がれている間にミサイルを放ち、それに感ずかれないように反対側から近接戦闘を仕掛けた…ってところか…装甲の展開が間に合わない!)

ミサイルが直撃し立花が爆風と衝撃で吹き飛ばされる。

「やった…」

葵は松根の元に向かい、刀を返す。

「ナイスタイミングでした」

「本気で相手した方が良いかぁ…」

ゆらゆらと立ち上がり立花は二人を見る。その目つきは先程までと違い鋭い目をしていた。立花を見て二人は身構える。

(玖由が戦闘する時と同じ雰囲気の目付き…まずいですね…後手に回る前にこちらの流れに!)

葵は素早く距離を詰め銃口を向ける。しかしその銃口を掴み持ち上げる。

「っ!?」

銃を引き立花から少し距離を離そうとする。それを狙っていた立花は葵の思惑通りの動きに笑みを浮かべ飛び上がりからを捻り回し蹴りを葵に打ち込む。今までの砲撃戦闘から体術戦闘に切り替わり対応出来なかった葵は蹴りが直撃し吹き飛ぶ。

「くっ…」

吹き飛ばされながら葵は松根を見るその瞳を見て頷き松根は地面を蹴り間合いを詰め鞘に手をかける。立花は砲塔を伸ばし自身の前に突き出す。同時に居合いが放たれ砲塔が刀を防ぐ。しかし衝撃までは抑えられず二人は大きくよろめいてしまう。よろめきながらも立花は息を大きく吸い息を止める。宙に浮いている状態の方が狙いが安定しやすく立花にとっては滅多に訪れないチャンスだった。

(次こそは!)

引き金を引き立花は砲弾を放つ。

(砲弾は確実に着弾した…)

「えっ…!?」

しかし松根の目の前に展開された装甲に防がれていた。

(なんで!?今の一瞬だと展開なんて間に合わないはずなのに!)

「さてどうしてでしょうねっ!」

上空から葵が松根の刀翳しながら落下していた。

(どうして!)

と立花は倒れていたはずの葵を見る。すると倒れる葵がしぼむ。

(ダミー!?…そういう事か…)

「やぁぁぁっ!」

刀が地面に打ち付けられ同時に立花は戦闘不能の判定になる。

「いやぁ、流石だねぇ〜」

地面に座り込み二人を褒める。

「視界を遮った隙にダミーに入れ替えて奇襲かぁ〜想定外だったよ」

立花の言葉を聞いた二人だが表情を変えず会釈をし立ち去ろうとする。そんな二人を見て

(なるほどね、目の前の勝利に向けて全力でぶつかる…だからこそ出来た戦い方か…私はあまり気が乗らなかったけど会長が立てた作戦じゃないと勝てなさそうかぁ)

立花は二人の背中を見て苦笑いを浮かべた。次の瞬間二人の背後に南帆が舞い降りる。


次の瞬間二人は戦闘不能の判定となった。


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