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26話 Resume Ⅲ

データを奪い廊下を走るその人物は目の前に立つ人物に気づき立ち止まる。

「データを返してもらおうか」

「その声は…残念だけど私達にも事情がある…だから…」

「そうか」

喋り終わる前に一瞬の感覚の無い衝撃が真横を貫く。仮面の一部に亀裂が入り砕ける。

「っ…!?」

仮面の中から姿を見せた瞳が背後に立つ人物の姿を捉えた。

「相良憐斗…」

憐斗は鋭い視線と共に刀を再び向けた。

「もう一度言うデータを返してもらう」

「っ… 」

向けられた刃先を向け返すように自身が持つ短剣を向ける。

「それが答えなら仕方ない」

髪先が赤く染まり右目が薄い赤色になる。

「それが…あの力…」

飛行型の武装を纏ったその人物は警戒を強める。

赤い閃光が走るように憐斗は距離を詰める。予想どうり憐斗を動きを目で捉えられず直感を頼りに短剣を突き出す。しかし直感で動いた為衝撃に対する受け身が間に合わず、刃同士の接触による衝撃で手から短剣を捉えた手放してしまい体勢を崩す。すかさず銃を手に取り銃弾を放つ。

(ゼロ距離からの射撃…これなら!)

しかし銃弾は憐斗の手前で止まっていた。

(しまった…!)

翼を広げてその場から離脱する。漂わせた銃弾を反転させ憐斗は銃弾を打ち返す。

(っ…!)

装甲を展開し銃弾を防ぐ。しかし次の瞬間装甲が粉砕され憐斗の拳が腹部を直撃し床に打ち付けられその衝撃は床に大きな凹みと亀裂を作り出した。

「がはっ…」

気絶しかけるのを感じ全身に力が込められらなかった。

(一撃で…この威力…)

仮面を外そうとする憐斗に気づきその手を掴む。

「その力…どういうものか…本当に…分かってる……?」

「……」

無言の返答にその人物は

「わかった…痛み分けにしよう…データは返すよ…」

データの入ったメモリを手放し立ち上がる。

「力には代償があるそれを忘れないようにね…」

そう言い残しその人物は姿消した。

「はぁ…」

ため息を着きアマテラスの力を宿した状態を解除しメモリを拾い上げる。下を向いた瞬間同時に赤い液体が手のひらに落ちてくる。

(血か…)

目から涙のように流れる血を拭う。

「分かっているさ…このままだとどんな結末になるかぐらい、だからこそやらないといけないんだ…」


『世界の破壊を…』


「ただいま戻りました…」

帰投した羽根は目の前に立つ人物に膝を付き声をかける。

「はい、お疲れ様〜」

のんびりとした優しい声で自身に声をかけてくれる人物を見上げた。

「データは守れませんでした…すいません茉莉さん」

茉莉は落ち込む羽根の頭を撫でる。

「大丈夫よ、データ自体は奪われなかったみたいだからね」

「そうでしたか…」

安堵のような自身の無力さを悔やんでいるような一言を聞き

「あなたはよく頑張ってくれているわよ」

「こんな事では頑張ったなんて言えません…こんな事では…私が母を殺し、あなたに仕える意味がありません!」

「あなたの母を殺したのはあなたじゃないわよ!私達の二人の目的はあなたは母を殺した真犯人を見つける事でしょ!」

叱責するような優しい声で目的を口にし羽根に再認識させる。

「そう…ですね…」

目を擦り羽根は立ち上がる。

「この戦いの中であいつらが介入してきたんです…恐らく」

「ヘルプ…」

「はい…ワーストならともかくヘルプとは接敵したくありませんでした…」

「そうね〜」

「もっと調べてきます!」

そう言い羽根は部屋を出る。その後ろ姿を見て

「あの子も単純というか…繊細というか〜…」

苦笑いをしながらそう呟いた。

ーーーーー

「憐斗!?」

アルマを殲滅し終えた蒼嵐達の元に憐斗が合流した。

「どうしてここに!」

「間に合って良かった…」

蒼嵐にデータの入ったカードを差し出す。

「憐斗が取り返して…」

「あぁ…すまないがこれを預かっていて貰えないか」

(これが全て憐斗が想像していた状態なのだろうか…)

ふとその考えが頭によぎった瞬間憐斗の差し出すカードを受け取る手が止まった。

(もしそうなら…これを受け取る事も…)

「ねぇ憐斗、そのデータにはなにがあるの?」

恐る恐る憐斗に問いかけた。その答えが憐斗から帰ってくるとは思わなかった。しかし憐斗は口を開きこう答えた。

「五神が世界を救う方法だ」

「「!?」」

その発言に蒼嵐だけでなく大和達もその言葉に驚愕した。

「な、なんでそんなものを私に!?」

戸惑う蒼嵐にカードを握りしめさせ小声で

「蒼嵐には理解して欲しいから」

そう言い残しこの場から立ち去る。そんな憐斗を大和と夕立は慌てて追いかけた。

『五神の力は必ず身を滅ぼす』

「私には知ってほし事…憐斗は一体…あぁぁっ!もう!」

情報の整理が追い付かない蒼嵐は頭を抱え項垂れた。

「二回戦…始まったみたい…」

僅かに聞こえた歓声を聞き流星は天井に空いた穴から空を見上げた。

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