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25話 Resume Ⅱ

「なんで羽根が…」

「私達の目的を達成させるためです、その為にも五神の力が必要なんです」

「目的…?」

「この世界から争いを無くす事です」

「そんな事…出来るはずない…」

蒼嵐は刀に力が入る。

「もし五神の力を持つ者が見つかればどうするの?」

「一緒に来てもらいます、もちろん結彩と京也君の力も例外じゃありません」

その言葉に蒼嵐の迷いは決断に変わった。

「ごめん、二人になにかをするなら私は許さない」

と刃を羽根に向ける。

「蒼嵐さん達を傷つけたくありませんでしたが…しかたありません力づくで奪います!」

羽根は蒼嵐に突進する。鞘に手をかける姿を見て蒼嵐も鞘に手をかける。

(不意打ちでなければ羽根の居合いは私でも止められる!)

刀を抜き羽根に突き出すがタイミング良く羽根は身をかがめる。

「っ!?」

その体制から羽根は刀を振り上げる。咄嗟に身体を仰け反らせた蒼嵐の一寸先を通過する。

蒼嵐はその体制のまま大きく後ろに飛ぶ、すると背後に隠れていた魚雷が蒼嵐の足元を通過し羽根に直撃する。

しかし、魚雷は羽根の前にはられた装甲に阻まれていた。

「感謝します」

「礼など要らない、私は私の役割を果たしているだけだ」

ゼロは目を逸らしてそう言う。

「そうですね…」

羽根は小声でゼロに指示する。

「了解」

ゼロは蒼嵐に向かって突き進む。しかし身構える蒼嵐を避けその背後に居た流星を掴む。手を離そうともがくが振り払う事が出来ずゼロと共に外まで飛ばされる。

「流星っ!」

「これでやっと一対一ですね」

「っ…」

(以前憐斗に聞いたことがあった…)

ーーーーー

「憐斗はこの世から戦争を無くす事って出来ると思う?」

すると憐斗は即答で一言こう答えた。

「無理だな」

予想がの一言に驚きながらもどうしてそう思うのか問いかけた。

「生物には意思があるから」

憐斗の発言に更に理解が追いつかなくなる。その様子を見てか憐斗は溜息をつき。

「いきなり戦争をしようとする者は居ないだろう、まずは話し合いで解決しようとする、しかし話し合いで解決する事なんてほんの僅か、人間の考えなんて一方には利益率があるがもう一方には不利益になるようなものしかない、だが利益になる者達の考えだけで事が進み不利益になる者達の声を聞かない、このままだと不平等と考えた不利益を被るもの達はどうすると思う?」

問題を投げかける先生の様に憐斗は蒼嵐に問いかけた。

「話し合いで解決出来ないから武力行使して対等であると…話し合いで終わらせたくなる様にしようとしてる…」

その答えに憐斗は頷く。

「対等であると示す為には人目の多いところでその者達は武力を使うそうすると意図せずとも人を傷つける、それを仕返しする者達により更に争いが起きる、その結果が戦争だ」

「えっと…つまり?」

理解が追いつかずに憐斗に尋ねる。

「人間に意思…考えの食い違いから争いが起きているんだ…」

と目の前に紛争によって広がる焼け野原を見て呟く。その状況と憐斗の言葉を聞き同じ考えを持った。

「無くしたければ人間の意思を無くすしかないな」

冗談のような本気で呟いてるような口調でそう言う憐斗に

「そんなの不可能よ…」

「あぁ、だから俺達は被害を減らす為に出来る事をやらないとな」

焼け野原の中を二人は歩いていった。

ーーーーー

「ごめん…私は羽根のやる事が正しいと思えない」

予想外の発言に羽根は驚きながら「どうして…」と呟いた。

「なら、羽根はどうやって争いを無くすの?」

「五神の力を利用して…」

「それは理解しているわ、けど五神はどうやって争いという存在を消すの?」

「それは…」

質問攻めに羽根は口ごもってしまう。

「具体的な事が言えない限り私は羽根に協力出来ないし結彩や京也くんを任せられない!」

その言葉に羽根は

「それでも、やらないといけないんです…それが私の償いなんです!」

刀の持つ手の力が入るのを見て身構える。それと同時に憐斗の言う言葉がようやく理解出来た。

(考え方の違い…お互いの利益不利益の違いが争いを生む…こういう事なんだ…)

悲しいような怒りのような表現ができない感情が込み上げ刀を握る力が強くなる。

一触即発の雰囲気の二人を乱すように砲弾が羽根に向かって突き進む。咄嗟に刀の形に添わせる様に横に振り砲弾の軌道を逸らす。砲弾の後ろから距離を詰めていた夕立は羽根に向けて大鎌を振り下ろす。すかさず刀を持ち替え振り上げ大鎌を受け止める。

「夕立…っ!」

「流石ですわね羽根、ですが憐斗様に敵対するのでしたら容赦はしませんわ!」

力に押され羽根は膝まづいてしまう。その瞬間銃弾が夕立に向かって突き進む。装甲を展開し防ぐが、その隙に刀を振り上げる。大鎌を前に出し刀を防ぐが衝撃によろめきバランスを崩してしまった為、後ろで構えていた大和の元まで飛ぶ。

すかさず羽根の前に現れたゼロは二人に攻撃を仕掛ける。上下に大きさの違う銃口が付いた武器を両手に持ち発砲する。

「大和っ!」

「分かった」

夕立はその場で飛び上がり大和に足を向ける。その足に大和は砲塔を当て空砲を放つ。

「なに…!?」

加速した夕立の突き出された大鎌がゼロの展開した装甲を貫き胸部武装に直撃し吹き飛ばされる。

「ゼロ!」

「問題…ない」

追いついた流星が大和と夕立の元に合流する。

「形勢逆転だな」

不利となった状況でも羽根は刀を握る。

「どうして…そこまでして…」

「これが私の信念だからです」

ゼロが羽根の横に並び再び戦闘が起きる空気の中クリーク達は殺気を感じそれぞれ四方に砲弾、銃弾を放つ。すると頭上からパラパラとアルマが落ちてくる。

「なんでこんな所に!?」

「まさか…奴らが…」

刀を構え立ち向かおうとする羽根はゼロは止める。

「奴らが介入してきた時点で無理だ、羽根の身も危ない」

「でも…!」

このような会話中に大量のアルマは姿を表し蒼嵐達に襲いかかっていた。

「羽根は蒼嵐達を助けに来た訳じゃないだろ」

「それは…っ」

感情を押し殺し立ち上がりその場から去ろうとする。

「待って!」

蒼嵐は羽根を呼び止めようとするがその間合いにゼロが入り蒼嵐に銃口を向ける。

「一つ教えておく五神の力は形は違えど必ず身を滅ぼす、それが憐斗でも例外じゃない」

「それってどういう…」

「ゼロっ!」

それ以上余計な事を言うなと言うような強い口調で叫ぶ。

「羽根っ!」

羽根は立ち止まることも振り返りもせずその場から立ち去る。後を追おうとする蒼嵐だったがアルマに進路を阻まれる。

「羽根の事はもう諦めるんだ!」

砲撃てアルマをなぎ払い大和は蒼嵐を止める。同時に夕立はひりつくような感覚を感じ周囲を見渡す。すると中心にあるモニターに一人の人物が立っていた。

(いつの間にですの!?全く気配を感じられませんでしたわ…)

「蒼嵐っ!止めてくださいまし!」

「えっ!?」

モニターに立つ人物を見て戸惑うが咄嗟に刀を持ち替え投げ放つ。貫きながらも勢いを衰えさせる事無く突き進む刀はその人物の顔面に向かう。それに気づいた人物は顔を反らせるがフードを切り裂き中から狐のような仮面が姿を表す。

「あなたが本当の内通者…」

その人物は変声機で変えた声で

「正解」

「まさか本当に釣れるなんてね…」

すると、その人物は白い球体を手にし

「それではデータは頂きます」

白い球体を床に叩き付ける、すると白煙が周囲に広がる。

(煙幕!?)

煙幕を巻かれながらも近距離にいた蒼嵐は敵が飛び上がるのが見えた。

煙幕から飛び出し2階に飛び移り立ち去ろうとする敵を追おうとするが

「くっ…!?」

足に鈍痛を感じその場に座り込んでしまう。

(電池切れ…こんな時に!)

「蒼嵐もういい!諦めろ!」

「そうですわね、今から追っても間に合いませんわ!」

「2人とも…何を言って…!」

任務完遂を絶対とする二人の口から出た言葉とは信じ難い発言に蒼嵐は驚きを隠せ無かった。

「追う必要が無くなったのですわ」

(間に合ったんだな…全く…)

ーーー

「っ…!?」

仮面の砕けた部分から見せた瞳が背後に立つ人物を捉えた。

「相良憐斗…」

憐斗は鋭い視線と共に刀を再び向けた。

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