表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/73

23話 Team VI

「間に合って良かったわ…」

背中に翼のような結晶を創り出し浮遊していた結彩は地に足をつけ駆け寄る。

「結彩さん」

「安心する前にどいて欲しいのだけど」

少しトゲが混じったような声で玖由は京也に訴える。

左手は玖由の腕を右手は胸の直撃を回避していたが露出した胸の間に手を付いていた。それに気づいた京也は飛び上がるようにその場から離れる。

「堪能した?」

「な…っ…これはあの…」

「故意じゃないのは分かってる、気にしなくて良いわよ…まぁ京也くんなら別に構わないのだけど」

玖由は最後の一言小さく呟く。

「今なんて…?」

「なんでもないわ…忘れなさい」

聞き返した京也だったが実際ははっきりと聞こえてしまっており、玖由の思わぬ発言に驚き聞き返してしまっていた。京也の発言の本当の意味を理解したのか玖由の最後の一言は強めの口調だった。

「っ!?」

衝撃波の塊が四人に向けて突き進む。

二人のやり取りを聞きつつも周囲の警戒をしていた結彩が真っ先に三人の前に立ち結晶を固めた盾を創り出す。

衝撃波は盾に衝突すると爆散するが同時に盾を粉砕する。

「なんて力なの…!?」

後ずさりをしつつも片足を後ろにだし踏みとどまる。

「コロス…コロス…」

奥から現れた奥田から黒いオーラが滲み出ていた。

「アルマ化している…!?」

「こいつ!」

両手足に結晶を纏い、一瞬の間に間合いを詰め奥田の頭部を蹴る。首は骨が折れる音を響かせながら180度曲がる。しかしその状態でも笑い京也に襲いかかる。

「京也くん!離れて」

弓を作り出し槍のように長い矢を構える。それを見た京也は素早く上に飛ぶ。直前まで背後に隠れていた結彩の攻撃に対処が出来ず上半身と下半身を貫かれ二つに割れる。しかし地面に落ちる前に上半身と下半身が融合を始め人の形になろうとするが京也達から受けたダメージが原因となり歪な形をした人型になる。

「完全堕ちた わね…」

「ア…グァ…」

よろよろと歩くそれは唐突に加速し結彩と距離を縮める。そして手に隠された砲口を向ける。咄嗟に身体を仰け反らせた目の前を砲弾が通過する。結彩は身体を起こし拳を突き出すがそれを受け止められ纏う結晶を握り潰す。その隙を狙い二人の間に割って入った京也がそれの腕を切り落とす。しかし切り落とした直後に新たな腕が生え京也の持つ結晶の剣を握り砕く。すかさず京也はそれを蹴り飛ばすが後ろに僅かに下がるだけでダメージを与えた感覚は無かった。

「離れて!」

結彩は床に手を当てる。するとそれの周りから先端が尖った結晶が飛び出しそれを突き刺し貫く。それでも尚それは動き向かってくる。

(急所を当てないようにかわした…!?なんて反応速度なの…)

それの動きを捉えていた玖由はそれの動きに驚く。

(やっぱりあれを使うしか…)

決心した玖由は横に立つビーニに

「お願い、あそこに引っかかってるカバン取ってきて欲しいのだけど良いかな」

「!?……っ…!」

特に口を開く事は無かったが小さく頷きカバンに向けて走る。その動きを見たそれはターゲットをビーニに変える。

「っ……!?」

「させないっ!」

放たれた衝撃波を京也は結晶の盾を創り出し防ぐ。それでも尚放とうとするそれの腕を結彩は複数の刃放ち切り裂く。

カバンを掴んだビーニを見て

「投げて!」

「っ!」

精一杯の力を込めカバンを玖由に向けて投げる。同時に放たれた衝撃波がビーニに直撃し吹き飛ばされる。カバンが開き中から陽電子銃が飛び出し精一杯手を伸ばし玖由はそれを手にする。

(お願い…耐えてこの身体っ!)

銃を地面に当て更に少しでも身体にかかるダメージを軽くする為に寝転んだ状態のまま足を壁に付ける。深呼吸をし息を止める。

(…っ!)

引き金を引く。銃内部から光が膨らみそれは一瞬で収束し、放つ。同時に巨大な衝撃が玖由を襲い寝転がる床がひび割れ壁にも同じく亀裂が入り足が僅かにめり込む。光の一閃はそれに向けて突き進む。光はそれを貫く。

しかしそれは命中し右上半身が蒸発していたが動き絶命させていなかった。

(身をよじって直撃をかわしていた…なんて反射能力なの)

「「まだだっ!」」

京也と結彩が左右から結晶の刃を突き出す。しかしそれすら回避し残った片腕が刃に変化し振り回す。その攻撃は二人を切り裂く。血を流しなから吹き飛ばされた二人のうち結彩を狙いを定め飛びかかる。

「結彩っ!」

身動きの取れない身体を動かそうとするが気合いではどうする事もできず結彩を見殺しにしてしまう自分を恨んだ。その時天井が崩れその中から憐斗が飛び出しそれを打ち倒しそれは地面を滑る。

「みんな大丈夫か」

「憐斗…」

自身の姿を見て安心したのか意識が朦朧としている玖由を見て歩み寄る。

「もう大丈夫だ、安心しろ」

と優しく頭を撫で言葉をかける。

玖由は小さく『うん』と呟き気を失った。玖由を見届け憐斗は立ち上がりそれを睨む。

「君がそうなってしまったのは君の本性を見抜けなかった俺の責任だ…だから責めて俺が倒してやる」

そう言い憐斗は刀の鞘を手に身構える。

「すまないが時間が無いだから一撃終わらせる」

すると憐斗の瞳が炎のような赤い瞳に変わり髪も僅かに赤く染まる。大きく息を吐き一歩大きく踏み込んだ瞬間、憐斗の姿が消え衝撃波と化した憐斗がそれに突き刺さる。それの反応速度を更に上回る突撃でそれを建物から放り出す。宙を舞いながらそれは自分の状況を理解した。

『ナゼ…ダ…』

自分の身体の中心に穴が空いている事に気づく。

『マサカ…イチゲキ…デ…アイツハ…イッタイ』

落下しながら消滅するそれを見下ろし消えるのを見届け刀を仕舞う。

「一撃で…!? 」

自分達が苦戦しそれでも倒せなかった敵を一撃で倒した憐斗を目の当たりにし実力の差を実感した。

「3人も大丈夫か?」

元の目、髪色に戻った憐斗は京也達を見て尋ねる。

「はい…」

「私も大丈夫よ」

ビーニも無言で頷き無事を伝える。

「瑞鶴、みんなを連れて先に帰投してくれ」

遅れて上がってきた露と冬菜がその場所の惨状に戦いの激しさを感じ唖然とする。

「分かったわ」

すれ違いで瑞鶴達は建物を降りていく。

「人がアルマ化…したのですね」

そう呟き露は祈るように目をつぶる。

「あとは任せて良いかな?」

「分かりました…気をつけて下さいね」

「あぁ」

と憐斗は建物に開いた大穴から飛び出して行った。

ーーーーー

「っ…!」

綾乃は相手の攻撃を避け相手を蹴り距離をとる。葵は時間切れになり試合の流れから判定勝ちをした。二戦目では綾乃達の意図を読まれたのか相手の自ら攻撃を受けに行く立ち回りに松根は対応が出来ず勝利してしまっていた。

(自ら攻撃を受けに来るとなれば砲撃はNG…)

綾乃は大型モニターに映るタイマーを見る。

(後2分30秒…憐斗はやく…!)

目の前から放たれた砲撃に気づき回避しようと試みるが反応が遅れたため砲撃が直撃してしまう。

「ぐっ…」

更に追撃の砲撃をしようと試み砲口をこちらに向けたまま距離を詰めていた。

「なにやってるの!」

観客席から響く声に綾乃はその声を聞き目を見開きそちらを見る。そこには瑞鶴に背負われた玖由の姿があった。

「そんな奴らなんか余裕でしょ!」

その言葉に綾乃は笑みを浮かべる。

「まったく…誰のせいでこうなったと思ってるのかしら!」

「なぜだ!?まさかボスが負けたのか」

動揺する相手の砲塔を綾乃は掴み身動きのとれなくなった相手に近距離での砲撃をする。黒煙の中から吹き飛ばされ相手は気絶する。同時にモニターにWINNERという文字と共に綾乃達の姿が映される。

「綾乃やりましたね!」

松根と葵は綾乃に抱きつき喜ぶその姿に玖由も笑みを見せた。別室にて固唾を呑んで試合を見ていた小冬は決着を見て安堵の溜息を零して座り込んだ。

ーーーーー

同時刻にて蒼嵐と流星、大和、夕立は一人の敵と対峙していた。

「まさか本当に釣れるなんて…ね…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ