表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/73

10話 Mission Ⅲ

「ごめん、待った?」

「待ちました、もう置いていこうかと思っていたぐらいです」

本音を隠すこと無く言い松根はスマホから2人に目を移す。

「あ、みんな揃ってますね!」

どこからともなく現れた葵は3人を見る。

「気になってたんだけどその髪は染めてるの?」

と気になっていた質問を葵に尋ねる。

「そうね、もう戻す事は無いですけどね」

と笑いながら答え葵は小型のモニターを展開する。

「今日攻めるのはここ」

「確かここは電子系の会社じゃなかった?」

「正解、そしてワーストの研究所でもあります」

その言葉を聞き綾乃は苦笑いを浮かべ

「電子会社での研究ってまさか電子兵器でも作ろうとしてるの?」

「正確には電磁兵器ですけど…それはどうでもいいですね」

と小型のマイクを取り出し

「準備できた?」

とマイクの先に居る明歌に問いかける。

『バッチリよ、今からセキュリティ一にハッキングをかけるわ、30分間は何とかするから!』

「了解!」

葵は駆け出しガラスの扉を蹴り破る。

「お邪魔しまーすっ!」

『マップ転送するわ』

葵の端末に送られたマップを元に4人は目的地に向かう。

「やっぱり来たの…」

玖由達の姿を見下ろす人影に4人は気づかなかった。

ーーーーー

その頃京也は再び手元に戻ってきた結晶を見ながら言われた言葉を思い出す。

「これが…なんの力になるんだよ…」

一向に理解できない自分に腹が立ち結晶を投げ飛ばそうとするがそうする事が出来ず、そのままベッドに倒れる。

『なぜ力が欲しい』

と、影を纏った人物に問いかけられる

「守られる側から守る側には力が必要なんだ!」

と、その問いかけに答える。

『守りたいものの為になんでもすると…』

「当たり前だ」

『お前もあいつと同じなのか…』

京也にはその一言を聞き取れなかったがそれは京也を飲み込むように広がり次の瞬間、京也はベッドから起き上がる。京也はなにかに引き寄せられるように窓に歩み寄り夜空を見上げた。

「…っ!?」

我に返った京也は右目に激しい痛みを感じ抑える。するとなにか手のひらに液体が触れたような感覚を感じ恐る恐るその手のひらを見る。そこには赤い血が付着していた。そのまま窓ガラスに映る自分の瞳を見る。黒い瞳が縦に二つに割れ中から赤い瞳が現れていた。

「なんだよ…これは…」

その様子を遠くから見て居た夕立は

「これは…面白い展開になってきましたわ」

今の状況を楽しむかのような表情でそう呟き姿を消した。

ーーーーー

「!?」

気配を感じた瑞鶴は周囲を見渡す。

「どうしたの?」

「なんか気配を感じたから、なんの気配かまでは分からないけど」

「そう…」

考える玖由の無線に綾乃の声が入る

「こっちは大丈夫よ」

「了解っ」

部屋の確認をした綾乃の合図で素早く玖由が部屋を探る。しかし何も無いのを、確認すると首を横に振り部屋を出る。

「ここも駄目…」

綾乃はそう言い次の部屋に向かおうとするが綾乃の腕を玖由が掴む。

「なに?」

「2人と集合するわ…」

「どうして…」

「おかしいと思わない…?全ての部屋に鍵がかかっていない、まるで誘い込まれているように感じがする…」

「…分かったわ」

(私…目の前の事で精一杯だったのに玖由はこんな時でも周りを見ていた…)

綾乃は玖由との差を感じながらもそれを悟られないように演技をして松根達と連絡をとる。

『何かありましたか?』

応答した松根に一度集まるように連絡する。

『ちょうど良かったです、私達も伝えたい事があったので』

霊が会話に入りそう言う。

「見せたいもの?」

『言葉で説明するよりも見た方が早いかと…』

数分後、松根達と合流した玖由は手の平に収まるぐらいの四角い個体を見る。

「これは…」

「侵入した部屋の机を調べたら転がって出てきたのでなにか分かれば良いなと思ったので…」

「ちょっと見せて」

と綾乃は霊からそれを受け取りそれを調べる。

「なにこれ…」

一つの面に描かれた閉じた瞳を見て綾乃は気味が悪そうに呟く。

「何かの模様だと思ったのですけど…」

「そ、そうなんだ…」

と綾乃は霊に返そうとした瞬間、その瞳が開く。

「!?」

素早く玖由は綾乃から個体を奪い取り投げ飛ばす。しかしそれは地に接する直前に浮遊し瞳が玖由を捉え同時に個体から銃口のようなものが突き出される。それを見た瞬間玖由は

「走って!」

すると個体からレーザーが放たれる。すかさず玖由は壁を盾にするように立ち回るがレーザーは壁を溶かし貫く。

「ちっ!」

「すいません…あんなものだと知らずに…」

「謝る事は無いわ」

玖由は謝る霊にそう言い後ろを振り返る。一定の距離を保ったまま向かってくる。それを確認し斜め後ろを走る瑞鶴に声をかける。

「…いいの?」

「一か八かの掛けだけど試す価値はあるでしょ」

「分かったわ」

個体は再びレーザーを放つ。

「左に曲がって!」

そう叫び玖由は近くの窓ガラスを叩き割りガラスの破片を宙に浮かせる。玖指示通りに左の通路に入った綾乃達を見届け玖由は右側の通路に滑り込む。放たれたレーザーは舞ったガラスに反射し四方に逸れる。個体は迷いなく突き進み右に曲がる。すると伸びた手が個体を掴み刃先に押し付けられ個体は機能を停止する。

「はぁ…はぁ…」

個体を刃先から振り払うように横に振り個体を投げ飛ばす。

「玖由…」

「みんな大丈夫?」

「それは私達の台詞ですよ」

と松根は玖由の右手を見る。ガラスの破片が突き刺さり血が流れていた。

「問題ないわ、下手な抜き方をしたら悪化するからほって置いた方が良いから」

と視線を個体に向ける。同時に甲高いサイレンがなり響く。

「派手にやりすぎたわね…」

瑞鶴がそう呟いた瞬間、天井の軋む音とアルマの気配を感じる。

「玖由…アルマの気配よ」

「何体?」

その言葉を聞き瑞鶴は不審そうな表情で

「それが妙なの…二体しか感じ取れないの、それも少し距離はあるのよ」

「…とにかく今は放っておいても問題ないわね、一応警戒をお願い」

「了解」

軋む音の発信源を探す為に周りを見る。すると頭上から砂ほこり舞い落ちるのが視界に入り上を見上げる。

(まさか…)

左右の壁に亀裂が入っているのを見て玖由は

「走るわよ?!天井が落下してくるわ!」

玖由が走り出すのを見て状況を判断する前に綾乃達も走り出す。

その直後壁が崩壊し天井が瓦礫をすり潰す。

「っ…!」

衝撃波が玖由達を襲い吹き飛ばそうとする。

「こうなったらっ!」

綾乃は武装を纏い床に向けて砲撃する。

「みんなこっち!」

綾乃は飛び降り下の様子を見て玖由達に呼びかける。

「助かりました」

「まだよ…」

すると今度は壁の一部がせり出してくる。

「まるで洞窟じゃないですか…」

壁をかわした霊はそう呟く。

「とにかく周囲を警戒しつつ出口に向かうわ!」と出口に向かう。その時綾乃の無線から声が聞こえる。

「…の!……あや……の!……綾乃っ!」

「明歌?」

「やっと繋がった!」

「電波が悪いみたい…」

「それより綾乃気おつけて…そ……」

再び無線が切れる。

「明歌!…また切れた…」

「綾乃っ、横!」

無線に気を取られ綾乃は横から迫る壁に気づくのが遅れた。次の瞬間、自身の腕を捕まれ投げ飛ばされる。綾乃を自分に引き寄せる為に前に出てしまった玖由のベルトがせり出す壁に引っかかりそのまま打ち付けられる。

「玖由!?」

「大丈夫…それよりはやく出口に…」

玖由が指さす方向には光が差し込む出口があった。

「玖由も行くよ!」

玖由を支えながら綾乃は出口に向かう。その時壁が軋む音が聞こえ2人は恐る恐る見上げる。

壁に亀裂が入りそれは徐々に大きくなっていた。

「2人とも、はやく!」

「私は…良いから…綾乃ははやく…!」

「……っ…出来るわけないでしょ!」

綾乃は玖由を突き飛ばす。

「瑞鶴!玖由をお願いっ!」

(これで良いの…)

突き飛ばされた玖由は綾乃を見る。

(嫌…目の前で…誰かが死ぬのは…嫌…誰か…お願い…誰かっ!)

次の瞬間、人影が玖由達の横を横切り押し潰されかける綾乃を引っ張りその場から離れる。玖由と綾乃にはその瞬間だけ時間の動きが止まったような感覚になった。天井が地に付き衝撃波が玖由達を襲い砂ほこりが舞う。その砂ほこりの中から綾乃を抱き上げた人が現れる。衣服を見に纏っていないその人物を見て玖由は自分の目を疑った。

身長等は年相応たが雰囲気や見た目からその疑問が確信になる。

「結彩……なの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ