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9話 Mission Ⅱ

「転校生?」

「うん、また新しく転校生が来るって京也が言ってたの」

「京也君が…」

ふと昨夜の葵との会話を思い出す。

(サプライズ…まさか…)

「転校生って京也君と同じクラスなのよね?」

「そうだけど…」

玖由の質問に疑問を持ちながらも綾乃はそう答えると、玖由はいきなり駆け出す。慌てて追いかけようとする綾乃だったが玖由の素早さに追いつけず置いていかれる。

「はぁ…」

京也は何も考えたくないというように大きなため息を付き窓を見た。その時、素早く走り校門をくぐった玖由を見かけた。それと同時に教室の扉が開き

「どうもーはじめましてー!」

と有り余る元気を撒き散らすように挨拶をする少女が姿を現す。

「待って…」

止めようとする蒼嵐をかわし少女は教卓の前に立つ。クラスの視線が少女に集中する。それを感じながら少女は自己紹介をする。

「私!月夜(つきや)(れい)です!」

「ちょっと待ったっ!」

玖由は霊を見つけ教室に入り手を伸ばす。

「玖由!?」

「蒼嵐、ちょっとこの子借りる!」

と引っ張り教室を出る。

「どうしたんですか先輩?」

「せんぱ…いつまで演技してるのよ葵」

「あ、バレちゃいました?」

「バレバレよ…って言いたいけど昨日の言葉を思い出さなかったら分からなかったかも」

長髪はそのままだったが青色の髪から黒髪に染めており雰囲気も以前の葵と違いどこか懐かしい雰囲気をしていた。

「…なんだか前に会ったような雰囲気なのよね…」

その言葉を聞いた瞬間、霊がびくりと何かに驚いたように身体を震わせる。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないです」

「葵ってチャレンジャーね、わざわざ蒼嵐の前に現れるんだから、バレたらどうするのよ」

「バレませんよ…絶対に」

と霊はいたずらを思いついた子供の様な笑みを浮かべ人差し指を自分唇に当てる。

「それじゃあまた!」

「ちょっと待って!」

霊を呼び止め玖由はある物を突き出し霊の手に置いた。

「これは」

「分かるでしょ?」

「仕方ありませんね分かりました」

と玖由に向けられた表情を見て今まで引っ掛かっていたものがとれると同時に自分の目を疑った。

ーーーーー

ゆっくりと扉を開け霊は音を立てないように入る。

「やっと戻ってきた、」

「あはは、ごめんなさい」

「席は京也君の隣でいいわよね?」

「はい!」

(マジか…)

元気よく答え一番後ろに座る京也の隣に座る。

「君が京也君ね、よろしく!」

「あぁ…」

京也は霊に苦手意識を持っていた。

(極力関わらないようにしよう…)

そう思った矢先に

「ねぇねぇ!」

と霊から話しかけてくる。

「君はなんでアームズになったのですか?」

いきなりこの質問だ…京也は軽く睨むように霊を見る。その表情には好奇心では無く京也に不快な思いをさせるということを理解した上で聞いているというのが感じられた。

「…強くなりたいから」

そう呟くと霊は拳を突き出し中から紐に括りつけられた結晶が姿を見せる。

「なら、これを手放したら駄目ですよ」

「どうしてそれを…さっき玖由さんに呼ばれた理由はこれを俺に渡して欲しいと言われて…」

「いや、先輩は何も言ってないわよ何も言わずにこれを突き出してきただけですね」

「月夜さん…」

「普通に霊って呼んでいいですよ」

「なら霊は何故それが俺のだと分かったんだ?」

「秘密です」

子供っぽい笑みを見せる霊にため息を付きながらその結晶を受け取った。

ーーーーー

「玖由どうしたのですか?」

険しい表情で外を眺める玖由を心配し松根が声をかける。

「学校に来てからずっとなのよね…いい加減教えてよ!」

「教えられない理由があるのですか?例えば私達には言えない事とか」

そう言いながら松根は玖由を揺さぶるため質問をする。しかし玖由は表情一つ変えずに否定する。

(玖由が隠す程のこと…玖由な本当に重要な事なら確実な情報をくれる…確実な…まさか)

綾乃は玖由を見て

「迷い…」

「……」

「確信を持てない事だから、私達を混乱させないように黙っている、違う?」

その言葉に反応するように玖由は立ち上がる。

「その通りよ、作戦前にあなた達を混乱させるわけにいかないから黙ってるの、満足した?」

混乱する感情を玖由は綾乃と松根にぶつける。我に返り玖由は二人に

「ごめんなさい」

と言い教室を出ていく。その後ろ姿を見て

(まただ…玖由に認めてもらえて無いから教えてくれないんだ…)

ーーーーー

放課後玖由と綾乃は憐斗に今日の作戦の詳細を伝える。

「分かった、くれぐれも無理はするな」

「了解」

「分かりました」

二人はそう返答し司令室を出ていく。

「転生論か…この世の謎が増えたな」

その言葉を口にする憐斗に蒼嵐は

「それよりあの二人あのままで大丈夫かな、喧嘩もしていたみたいだったけど…」

「俺たちには何も出来ない、これは二人が解決しないといけない事だからな」

「随分玖由に厳しくなったね」

くすりと笑いながらからかうような口調で話す。

(なにもなければ…ね…)

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