プロローグ
ーーーなんでこんな事になってしまったんだろう。
息を切らせながら必死に走る。
ーーー僕は家族の期待周りの期待に応えてきただけなのに、神様って奴が本当にいるのなら教えて欲しい。
どうして僕にばかり辛い事を押し付けるのだろう。
肺の中の息が空っぽになろうと走るのを止めることが出来ない。奴らに見つかれば間違いないなく殺されてしまう。
ーーー悲観しても仕方ない。とにかく逃げて誰か人を探さないと。
ふと足を止め物陰に身を隠す。ノイズが入る掛かったかのような不快な言語が、聞こえる。
物陰から少し体を出し、その姿を確認する。
それは、カタチだけならば人型とも呼ばなくはないが不自然程飛び出た腹にそれとは裏腹に信じられないような細い手足、ギョロリとした赤い目玉に噛まれればひとたまりもないだろう鋭く大きいキバ、そして極め付けには赤黒い液体のついた、棍棒を担ぎ徘徊していた。
まるで、物語に出てくる鬼のようだ。
ーーークソッ。ここにもいたのか、一体なんなんだあの怪物は。それにーーーこの世界だ。
先ほど逃げているときに分かったがどうやらここは、自分の住んでいる町に酷似していることが分かった。だが、あくまで似ているだけで全く違う。
ーーーここまで、人っ子一人見ておらずいるのはあの鬼のような怪物だけーーーそしてなによりも……
空を見上げる空は薄暗い。それならまだ夜だという事で説明がつくかも知れない。
だが今は、まだ12時になったばかりこんなに薄暗いはずがない。
なによりも、太陽の色が黒いのだ。
ーーー何かから何までわからないことだらけだ。さっきまで転校生と町を歩いていて、そこからの記憶が曖昧だ。
恐らくこの欠落した記憶に何か手掛かりがあるのかも知れない。
ふと、腕時計を確認する。ここに入ってからどのくらい経過したかを確かめようとすると…時計の針がいきなりすごいスピードで回転しだす。
ーーーなんだこれ!?こわ、れたってわけじゃないよな?
そして午後6時へと針が止まった瞬間けたたましい程の鐘が鳴り響く。とても不快な音だ、まるで濁った太い大声のようだ、そしてあの鬼どものようなノイズらしいものも聞こえる。
次の瞬間、咆哮が鳴り響く。今までとは違い、より一層ノイズのような音が強くなる。
ーーー頭が割れそうだ。一体何が?
自分の家があるであろう方向から何か、影のようなものが飛んでくる。その影は自分の近くへと飛んできてそのままぼくを目掛けて突っ込んできた。
ーーーやばい。
咄嗟に避けようとはするが黒い影の方が早く、着地の衝撃で吹き飛ばされてしまう。全身を強く打つが、今の影の方へと目を向ける。
ーーーなん、だよ。あれ?
影はやがて姿を変えていく。その姿は、今までの怪物とは異なり大きなツノに、スーツを着ていてメガネをかけている。そして、大きさが5メートルはゆうに超えたいだろう。なによりもーーー異質なのは、手に持った、期待と、赤黒い文字でかかれた。2メートルはあろう棍棒を持っている事だ。
スーツを着た大鬼は、こちらを見ると、
『◼️限も◼️れん◼️か?お前は、◼️れば出来る◼️だ。私の、◼️◼️りにしてれば良いんだ。』
ーーーしゃ、喋った?
「お、お前は、お前らは一体なんなんだ!?」
やっと口から出た言葉、これまでの疑問をなげつける。もしかしたら意思の疎通が取れるのではないかと一抹の希望を抱き。
だが、
『◼️に向かって、なん◼️いう◼️葉だ。お仕置き◼️!』
大鬼は、いきなり激昂し僕の首を締め上げる。
ーーーあっ。これは、もうだめだ。
本能でわかる自分はこの大鬼に、首をへし折られ死ぬのだろう。
走馬灯が駆け巡る。今まで生きて、見て、聞いたものが頭の中を駆け巡る。
ーーーでも。これで、や…っとかいほう、さ、れ、