工夫した戦闘方法
あたしはひとまず回避に専念しながら勝利する方法を考える。
相手の鎧は全身を覆っている。
あたしの武器はダガーと、可能な魔法の候補としては限定的に木から離れている数箇所での超至近距離の火属性魔法になる。
土属性魔法は森と比べて開けていても、根っこを考えれば地面の中がどうなってるかわかったものじゃない。
整備された道でもないから、絡まりもひどくなっている可能性も考えて使用しない方向で行こう。
そして、攻撃力不足は一点集中攻撃でカバーする。関節部分や首周りの隙間にダガーを差し込んで、行動不能か一撃で倒すのがベストだ。
ただし関節部分も露骨な金属でないだけで薄い鎖帷子だったりの場合もあるから、油断はしないことが大切だ。
「よし、それじゃあまずは1人を狙いやすくする」
あたしは自分にしか聞こえないような小声でそう呟く。
やることが決まったら口に出してしまったほうが、行動に躊躇がなくなると自分で思っているからだ。
これは前世からやってきていること。つまり体には染み付いてなくとも経験という記憶に染み付いている習慣だ。
前回のスライムのときは久しぶりだったり人を助ける事とか思考が乱れる事が多くてできてなかったが、戦う覚悟が決まっている今回なら別だ。
あたしは有言実行するべく回避に専念する考えは変えずに、立ち位置を意識する。
剣を持った2人を相打ち気味に動きにくい立ち位置まで誘導して攻撃させてから、最後に槍を持ったやつの攻撃を回避してそのまま一気に詰め寄る――のがベストな方法。
ただ、そう簡単にうまくいくわけもなく、やはり立ち位置に誘導は難しい。
「そしたら……転ばせるかな」
あたしは方法を変更する。
鎧をあれだけ着込めば動きは鈍くなる。
剣の攻撃を回避しつつまずは1人の膝裏に回し蹴りを入れた。
「ぐぅっ!!」
流石にこれは効いたみたいで膝をつく。そのままそいつを踏み台にするようにしてもうひとりの剣を持ったやつまで飛び込んで、兜に手のひらを押し付けて勢いのまま体重をのせて押し倒した。
「貴様!」
「言葉はわかるのよね」
そして残った槍が剣2人が体勢を整えるまでの時間を稼ごうと強引に攻撃してきた。
「理想通りの展開にできたわね!」
あたしはその槍の攻撃を回避してから一気に詰め寄る。
槍の形状や持ち方からして、こいつは超近距離まで近づけばこちらが有利だ。
「なっ!」
「さて、耐えられるかしらね」
あたしはその後、少しかがんで足のバネを使いながら敵の顎を下から突き上げる。
そして生まれた兜と胴鎧の隙間に、すかさずダガーを突き入れて引き抜く。
「うぐぅっ!」
少なくとも感触はあったしダガーに血がついてるから死なずとも戦闘不能にはできたはず。
よし、残りは剣の2人だ。




