情報伝達
窓の外はすでに日の光はなく、月明かりが照らした状態になっている。
とはいえ、夜が更けるというほどでもないため、相変わらずギルドは賑わい続けていた。
あたしはというと、2階で相も変わらずハンツと話している。
そんな時、後ろから肩を小さく叩かれて振り返るとアリアさんが到着した。
「もー、いきなり呼ばないでくださいよ」
「ごめんなさい。でも、結構急ぎで伝えないといけないことがあったから」
「そうなんですか」
「そうなのよ。ご飯まだなら奢るわ」
「なら、少しだけごちそうになります」
アリアさんとそんな話をしていると、ハンツのほうも「それじゃあ、オレはここらで。また」と気を利かせて席を外してくれた。
いや、むしろ結構長い間拘束しちゃったからよくないな。ハンツにも今度おごったり何か渡そう。
「それで急ぎの御用とはなんですか?」
「ほら、シグニアさんの件についてよ。準備しといてみたいな感じになったじゃない?」
「なりましたね」
「それで、その準備中にちょっと依頼を受けてあの山を通る交易用の道の調査に出たの」
「それは……申し訳ありません。こちらも手が回しきれなくて」
「まあ、それは承知してるわ。それはいいとして、そこで鎧を着た謎のやつらに襲われたの。厳密にはそこを通ろうとしていた魔法道具の商人の馬車ね」
「鎧ですか」
「シグニアさんを襲った奴らに似てたらしいわ」
あたしは新しく頼んだ肉串に手を付けながら話を続ける。
「それで、多分だけど狙いはシグニアさんもだけど、その他にも中立に近い立場にいて逃げた魔族が狙いの可能性が高い感じになったのよ」
「そうですか。流石にそうなると、魔族うんぬんは直接言えなくてもあの道にしばらく警備を付ける必要はあるかもしれませんね。それと山の調査ですか」
「うん、それが良いと思うわ。それで、おそらくあれで終わりじゃないから本拠地を見つけたり親玉を見つけて倒さない限りは今回の件は続くと感じたのよ。だから、可能なら早めに計画立てて済ませたいってことで、急いで伝えに来たってわけね」
「ありがとうございます。ところで、その鎧の人たちはどうしたんですか?」
「……やば。そういえば、放置してきちゃった。全員気絶させちゃってそのままだ」
正直、鎧が重くて運べもしないし、荷車に積んで後で起きられてもあたしが手出しできないしで道から横に放り出したままで忘れてた。
「それいつのことですか?」
「今日のお昼近くだから。さすがに、気絶からも目がさめて夜の闇に消えてるでしょうね」
「そうですか。まあ、でもアンジュさんのことですから情報は引き出そうとしたんですよね?」
「一応したけど、口を簡単に割るタイプじゃなかったから、商人の安全確保の方を優先させちゃったのよ」
「そういうことでしたか。まあ、そういうことならいいです。考えなしに別の方を優先させたわけじゃなさそうですしね。ですが、そうなると付近に居る事はバレたと見ていいですね。準備は早めないと……」
「お願い。あたしだけだとできることは限られるから」
「わかりました」
その後、あたしが持っている鎧のやつの情報を伝えてから家に帰った。さすがに、夜更けもいいところだったので全員寝てるかと思ったが、家に帰るとリリアちゃんが机に突っ伏して寝てた。
「待っててくれたのかしら……ありがとう」
あたしはリリアちゃんを起こさないようにベッドまで運んでから、自分の部屋に戻って寝た。




