情報と夕食
ハンツ含めて何人かの冒険者と仲良くなって話をしているうちに空はオレンジ色に変わっていた。
挨拶をしてギルドを後にして、あたしは再び城の前に来ている。
さて、よく考えれば普通はそうなることだったけど、頭から抜けていたことがあった。
お昼と夕方じゃ城前の警備している兵士の人も変わる可能性はあったよね。
話はちゃんと通っているのかな。
「あの、どうかいたしましたか?」
城の前で顎に手を当てて唸っていたら話しかけられてしまった。流石に怪しかったか。
まあ、結果的に話せるならいいかな。
「昼にアリア・ミリアーナさんに伝言を頼んだアンジュ・シエーラといいます。何か聞いてたりしませんか?」
「ああ、あなたがそうでしたか。日が暮れたあとならば直接会えるけれど、そこまで待てないなら3日後ならお昼に時間があるとのことですが」
日が暮れたあとになっちゃうのか。家に帰れなくもないけどかなり遅くなるな。夕食含めて全部リリアちゃんに任せて良いものか。
でも、問題は早めに解決するに越したことはない。
ここはリリアちゃんを信じてみることにしよう。誰かすぐに連絡を可能にする道具とか魔法作ってくれないかな。
「じゃあ、もし可能だったらギルドの2階で待ってるって伝えておいてもらえませんか?」
「わかりました! おまかせください」
「ありがとうございます」
お礼を言ったあとに体を反転させてきた道を戻る。
当たり前だけどギルドに戻ると「あれ? 用事はどうしたんだ?」とか「姉さん、しばらく待つなら一杯どうですか?」とか色々と誘われてしまった。
というか誰が姉さんだ。
***
「お待たせしました……って、なんですかこの惨状は?」
「いや、気にしないでいいわよ」
アリアさんがギルドに来る頃には、飲みに誘ってきた2人は潰れていた。まあ、交互にじゃなくて3人で同時に飲み始めたからそれほど飲んではいないんだけどね。
「ご飯まだだけど、ここでもいい?」
「私は構いませんよ」
ギルドの2階は夜やお昼時だと食堂や酒場に近い役割も持っている。ナイトセットと書かれていた夕飯を注文しながら話を始める。
ちなみに、内容が危険かもしれないので端の席を用意してもらった。
「それで、私に何のごようでしたか?」
「先にちょっと聞きたいんだけど、魔族とのあれのことって城下町なりとかにはどれくらい話でてるの?」
「まだあんまりだしてませんね。というか広がらないというのが正しいですね。実績もないので」
「そうなんだ……いや、ちょっとね。うちに今魔族いるのよ」
「ぶっ!」
アリアさんが水を吹き出した。
「ごほっ……そ、それホントですか?」
「うん。色々あって拾っちゃってね……ただ、なんか魔族内のいざこざに巻き込まれてるみたいなんだけど。アリアさん交流してみる?」
「ぜひ、といいたいですが時間の都合が忙しいんですよね。でも連れてくるわけにも行きませんもんね」
「まあね。尻尾が目立つ子だから隠しきれそうにないわね」
「わかりました。今度街に来る予定っていつごろとかありますか?」
「特に決めてないけど、連絡聞きに来ようか?」
「3日前後たったら一度城にきていただけるとうれしいです。予定を調整しておきます」
「わかったわ。じゃあ、まあ一応相手の知ってる限りの状態だけど――」
あたしは現状知ってる限りの情報を渡しておいた。それと、上の人には可能なら伝えないでまずはアリアさんだけでとお願いしてから家路につく。
家に帰る頃には夜も更けていてふたりとも寝ていたけれど、なんか尻尾に埋もれながら寝てるのが見えて羨ましかった。
ただ、自分でわからないのがどっちに羨ましく思っているんだろう。




