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魔女の気まま暮らし~元勇者は不老で最強になってました~  作者: ゆっき
第1章 元勇者と元貴族
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洞窟の危機

 森の深くにはいって月明かりもほとんど入ってこなくなった先にたどり着くと、そこには洞窟があった。

 熊が作り出した道の上を歩いてきたから間違ってはいないはず。地面に視線を向けてみると、しっかりと踏み込まれてできた熊の足跡もある。

 洞窟の入口の周りを見ていると、布の切れ端がまた見つかった。


「火の魔法か光魔法は覚えるべきだったわ」


 ランタンも発火石も持ってきてない。ただ、洞窟の中はさすがに光源がないと危険すぎる。


「どうしようかしらね……」


 そんな時、足元で何かが動いているのを発見した。それは洞窟に入ろうとしている。


「スライム……たしか、スライムって体の一部油だったような」


 確証はない。ただ、可能性があるならやってみよう。

 幸いにも武器がなくてもスライムなら倒せる程度に力はついていた。あたしは申し訳ないと思いつつもそのスライムを蹴りで倒す。


「よし……上手くいってよ」


 あたしは辺りから小石と太めの木の枝を見つけてみる。そして服の一部を破って先端に巻きつけて松明風の棒を作る。更に靴についていた鉄の装飾の一部を無理やりとる。

 後は、鉄に石をぶつけて火花をちらして火がつくのを祈るのみだ。

 スライムの体は油のみじゃない。水の部分に火花が落ちてすぐに消えていく。そして何度も何度も続けていると、偶然か必然かその時はやってきた。

 粘液の油部分についたのか、ゆっくりと火がつく。あたしはそれに対して粘液も一緒にくっつくように気をつけつつ、木の棒に火をつけた。


「どんだけもつかわからないけど。やってみるしかないわね」


 松明ができたことを確認してから、地面のそれには土をかぶせて火を消す。森に燃え移られても困る。

 洞窟は結構広く、人が数人並んで歩いても問題はなさそうだ。

 念のために壁に左手を付きながら進んでいく。松明が消えた時に、何もない暗闇の中心で立ち尽くすのを防ぐためにやっておいたほうがいい対策の1つになる。

 こうすれば、よっぽど入り組んだ洞窟やダンジョンじゃない限りは、入口までは戻ることが出来る。


 そのまま洞窟の中を進んでいくと、開けた場所にたどりついた。

 ただ、どれだけの広さかは残念ながらわからない。あくまで松明が照らしてくれる範囲に壁がないから広いとわかるだけだ。


 しかし、ここにきて異様な魔力を感じる。この感じは魔物だけど、森で感じたことは一度もないほどに大きい。

 あたしは警戒しながらその広さをまずは壁に触れながら大雑把確認する。

 ゆっくりと歩いていると、何かが動く音が聞こえた。足跡というよりは引きずるような音だ。

 それこそスライムがゆっくりと動く時に、地面を這いずるような音を大きくしたみたいな。


 感覚的に壁が曲がっていてこの空間が円形になっているのがわかった。そして半分に到達したと言う時だった。

 視界の端に何かをとらえる。


「今の……スライム?」


 それを意識した時、暗闇の中にうっすらとした巨大な影が見えた。

 そしてゆっくりとこちらへ移動してくる。

 光が照らす範囲に入って確認したそれはたしかにスライムだ。


「いや、でもこれ……」


 しかし、その大きさが異常だった。

 見上げなければ一番てっぺんを捉えられないほどの大きさで、松明が照らす範囲に見えてるのはおそらく体の3分の1といったところだろう。


「やばい……どうしよう」


 空間的には、入ってきた場所へ真っ直ぐ行く道がスライムによって邪魔されてる。

 あっちがこっちを狙っているかはわからないけど、今声を出しちゃってからあきらかに視線のような何かを感じる。

 スライムに目がないから、視線かはわからないけど確実に警戒されてる。

 そして、その場でどうするか考えていると先にそのスライムが動き出した。普通のスライムもやってくる体当たりだ。

 ただ、この大きさでやられたらたまったもんじゃない。飲み込まれるか最悪スライムの体が弾力でももってれば押しつぶされる。


「『グランド・ウォール』!!」


 あたしは拳を地面に叩きつけて、あたしを覆うように土の壁を作った。そして、さらに後ろの壁に反対の手で触れる。


「『グランド・クッション』……念のためよ。念のため」


 そして、次の瞬間、土の壁に何かがぶつかって、空間が揺れた。

 数秒後。壁が崩れると、広かった空間は天井とも言える部分が崩れ落ちて地面に岩が転がり、さらに開放感のある状態になっていた。

 月明かりがその場を照らしてスライムの全身を初めて見ることが出来る。

 そしてその透き通った体の中には、何かが浮かんでいた。

 目を凝らして、それが何かを確認した時、思わずあたしは叫んでしまった。


「リリアちゃん!?」


 スライムの体の中で意識を失ってるリリアちゃんの姿をその目でみてしまった。

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