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魔女の気まま暮らし~元勇者は不老で最強になってました~  作者: ゆっき
第1章 元勇者と元貴族
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初めての家事

 家に近づくに連れて日が落ちて空は黒に染まっていく。星が綺麗と観賞してもいいかもしれないけれど、それは家に帰ってからだ。

 家までの道を周りの気配に気を配りながら帰っている途中の事だった。

 目の前に小さな影が現れる。


「スライム……だから、来ないでって。ほら、あっちにいきなさい」


 水色をした液体のようで個体の魔物のスライムだ。

 小さいものならそれほどの脅威ではないけれど、非戦闘員からすれば面倒極まりない存在である。

 ただ、この森にいるスライムについてはあたしが散々倒していたために、上下関係に近いものができて、少し威圧して近づけば勝手に逃げていくようになった。


「い、いまのって魔物?」

「そうよ。はじめてみた?」

「う、うん。あんなに突然出てくるのね」

「スライムの場合はね。ただこの辺なら、あたしと一緒にいれば平気だから。あ、でも家の周りで見かけた時は教えてちょうだい。流石にそれは退治するから」

「わかったわ。私にも影響するものね」

「理解が早い子は好きよ。それじゃあ、さっさと帰りましょう」


 でも、妙だな。今日に関しては隠れてたつもりもないから、あっちから襲いかかろうとしてこない限りはあたしの前に出てくるはずないのに。

 よっぽど空腹で魔力が欲しかったとか。

 いや、でもそもそもスライムの主食ってなんなのかしら。一回、魔力を吸われたことがあるからそれが1つだとはわかっているんだけど。


 その後は特に何かと出会うこともなく家にたどり着くことができた。

 夕飯は簡単に作れる焼き物料理で済ませてお風呂を済ませる。


「リリアちゃん。明日の予定なんだけど」

「は、はい……また、森?」

「明日は普通に家事手伝ってもらおうかなって」

「か、家事……わかった」


 この反応はもしかするとやったことがない可能性があるかな。

 まあ、家で使ってる食器は割れたりするようなものじゃないからいいんだけど。

 あたしは明日の予定をそれとなく伝えたあとに、人形たちを一度片付けて眠りについた。

 夜に作業させておくと、どうなってしまっているかわかったものじゃない。

 それにすでに半日近く作業させ続けたから、畑の整備もかなり進んでいたのが確認できた。耕すのはもう少しあとになってからでいいから、今はこのまま放置でいい。



 次の日の朝。

 ひとまず朝食はあたしが作って食器の片付けをさせてみる。


「これくらいは余裕よ!」

 さすがにこれはできるらしいと思ったが、後で確認すると若干しつこくなりやすい汚れは残っていた。流したばっかりの水滴が残ってる時とかだと、光の反射で見逃しやすいのよね。

 続いて洗濯。

 井戸の扱いは流石にできるとして、手洗いだけれど力加減がわからないらしい。

 まあ強すぎて駄目にすることはないけど、弱すぎて洗いきれてなさそうだった。


 掃除はまあ最近したばかりだし、今日は掃き掃除のみ。さすがにこれはリリアちゃんでもできる。


 そして最後に昼ごはんを任せてみた。

 刃物の扱いは危うく、火力や調味料の加減もさっぱりみたい。最終的にレシピを書いて渡したけれども、できたものはお世辞にも美味しいとはいえない。というか多分不味い部類に入る物だった。

 まあ、完食したけどね。こっちから頼んだし、お店と親以外で人に作ってもらうというのが初めてだったから。


 でも、リリアちゃんが自分の意志で作ってくれる料理とかいつか食べてみたいな。

 まあ、そんな関係になれるかどうかが不明な現状だけどね。


「嘘でしょう……私って……私が……」


 ちなみにさすがに自覚症状はあるみたいで、午後になるとリリアちゃんはへこんでいた。

 何から教えるべきなのかな。

 最後にあたしが作った夕食を食べた時に悔しそうな表情をリリアちゃんが見せてこの日は幕を閉じた。


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