第一話(作成途中)
草野球同好会に入会した「僕」たちは、初の合同練習を敢行した。
鵜飼潤喜。右投げ左打ち。ポジションはショート。守備の要。
和気一翔。右投げ右打ち。ポジションは内野と外野。甲子園出場経験も自身は記録員だった。
僕、右投げ右打ち、ポジションは内野と外野。ジョギング愛好家でもある。
藤澤克樹、右投げ右打ち、ポジションは捕手と内野。安定感のあるスローイングに信頼を寄せる。
印南隼太、左投げ左打ち、ポジションは投手。和気の中学の後輩でクロスファイヤーな投球が持ち味。
とりあえずこの5人ではあるが、個としては光るものがあった。その個性を磨くため、野球はもちろんのこと、キャラを濃くしていこうと様々な練習に取り組む。ある時、2塁ベース上に旗を立てた。ビーチフラッグ・イン・ダイヤモンドと命名した。スタートラインはバックネットにくっついて、背中を向けてうつ伏せの姿勢になる。ここで5人並ぶわけだが問題が発生する。2塁ベースに向かって丁度まっすぐの人が僅かではあるが一番近いという問題だ。理由は三平方の定理で片付けられるがここでは省略しよう。じゃんけんで一番勝った人が真ん中。2番目3番目がその両隣、4番5番は更にその両隣。全員位置についてスタートした。
ドドドドド。何の効果音か。一応走り込みです。
「よっしゃー!!」
鵜飼が一番のりで旗を掴んだ。後から作者、和気、印南と続く。
「うっわー体力落ちたわー」
「鵜飼さん速すぎっしょ」
1人遅れて藤澤がゴールした。
勝負は見え見えだった。
決して彼は太いとか足が極端に遅いというわけではない。
キャッチャー用具をつけていたからだ。
重みがある分ハンディキャップを背負っていた。
「おい、待って」
「何や克樹、お前プロ野球選手親戚に持ってて(ry」
「いや、それは関係ないって。そもそもさ、何俺だけこれって・・・」
克樹は苦笑いしながら自分のキャッチャー用具に指を刺した。
鵜飼は笑いながら大きな声で言った。
「こら、言い訳すな!」
止まらない笑いをさることながらこう続ける。
「この5人の中で唯一のキャッチャーやねん。貴重な存在やねん・・・。」
克樹も笑いながら反論する。
「だったらさー、潤喜さんがやればいいじゃないですかー(笑)。俺一応ショートも守れますよ。」
「守れるだけなら素人でもできるわ。」
「そんなこと言ってたらキャッチャーだって素人でもいいじゃないですかー。」
「ちゃうねん!そういう意味やないで。キャッチャーはあかん、経験者やないとケガしてまうからな」
「そんなこと言ってたらどこ守ってもケガしますよ。単純に同じグラウンドにいる限りはしやすいしにくい関係ないんじゃないですか。」
「つくづくあんたは理屈屋やなぁ。ほんならいっぺん守ってみせるわ。」
鵜飼は指示を出した。和気と僕がトスバッティング担当、印南はファーストの守備位置についた。鵜飼と藤澤はショートの守備についた。じゃんけんで僕が打つことになった。和気がトスを投げる。
一応僕は引っ張りで三遊間を抜けるゴロヒットを打つイメージは描いていた。鵜飼は僕の雰囲気を察してくれたのか、ショートを守る藤澤の後ろに移動した。
「もしかすると後ろに抜けるかもしれへんからレフトにおるよー!」
藤澤は何となく嫌味ったらしく聞こえた。トンネルするわけねーじゃんと心で思っていた。結局難なく守備をこなしたが。
「なんや、つまらんかったなぁ。手加減せんでもええのに。」
と僕にポツリと呟いた。次は鵜飼の番だ。僕は鵜飼の実力をある程度把握していた。
甲子園で魅せた数々のファインプレー。当時二塁手で控えだった彼だが、大学では準硬式の道に進み、本格的に遊撃手となる。そこでも幾多のファインプレーでチームを救ってきた。プロ志望届を提出したものの、課題の打撃と体格を克服できたとは言えず、獲得する球団は現れなかった。今は一般人としての道を歩んでおり、プライベートでは草野球のキャプテン、という肩書きで活動している。