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黒峯 帝&サナ=ブルクハルト

今回で超絶暇人さんとのコラボは終了です!

ありがとうございました!!

 帝が早紀に堕とされ、早紀もその後を追いかけて行った先。そこには、2人の女性が居た。といっても、見た目からすると年はかなり離れており、1人は二十歳前後、1人は小学生から中学生といった所だろうか。


 未だ幼さが残る顔の紅い髪を生やした少女、魂魄 妖緋は戦いを突如中断し、帝と早紀が落ちてきた方を向く。

 妖緋と交戦していたサナもまた、落ちてきた2人の方に顔を向けた。


「……あれは、帝か?」

「……またあの人ですか……」


 疑問を抱くサナに対し、ため息を吐く妖緋。それらはそれぞれ別の人物に向けられた物である。


 帝はサナの言葉を遠くから聞いたのか、サナに向けて高速で氷柱が飛んできた。


「死ね! 死ね! 死ね死ね死ね!!」


 錯乱状態に陥り「死ね」を連呼する帝に対し、サナは一言。


「死ね死ねって、小学生かよ……」


 その言葉に、帝は怒気を露わにし、技を宣言する。


「『螺凍閃』!!」


 超極大のビームにして、超高速で向かってくるそれは、標的はサナ=ブルクハルト・ヒガシヤマただ一人。……なのだが、その被害は至近距離でサナと戦っていた妖緋にまで及ぶ。


「『黄金大和大団炎(ブレイジングジパング)』」

「火天『アグニ』」


 サナから放たれる巨大な火の玉が螺凍閃を食い止め、それの中心を食い破るようにして出てきたビームを妖緋は炎の障壁を用いて防ぐ。それはやがて収縮し、妖緋の腕に纏われる。


「……サナさん、ここは一時共闘といきましょう」

「片腕切り落としといて、よく言う!! 悪いが、あっちの青いほうは説得してくれ。もう一人はあんたの知り合いか?」


 サナの問いかけに、妖緋は少し悩む素振りを見せる。そして、口を動かし、言葉を放った。


「いーや? 知りませんね、あんな人」


 魂魄 妖緋は、東風谷 早紀を始末することにした。


◇◆◇◆◇


 まず、今回の戦いにおいて、妖緋たちにとって最重要なこと。それは、帝を説得することである。

 その役割は、サナが受け持つことになった。一番適任だろう、そういう判断らしかったが……結末は今は語らないでおこう。

 サナが説得する間、妖緋は何をするか?


 決まっている。サナの援護と、邪魔者の処分だ。

 帝から放たれる氷柱の弾幕を、妖緋がサナの前に出て全て斬り落とす。

 サナは妖緋に守られながら、帝に少しずつ近寄る。


「……帝!」

「黙れっ!! 屍になってろ!!」


 サナは帝の手厳しい言葉にもめげず、一歩、また一歩と歩み寄る。


「あら? 邪魔しないでいただきたいですね!」

「嫌味ったらしくそんな言い方しなくても、あんたの邪魔なんてみんなしてんのよ!!」


 妖緋は早紀の具現化させようとした奇跡の一つを斬り落とす。


「あなたの奇跡、確か一定数と一定時間を超えると奇跡でもなんでもなくなるんでしたっけ?」


 そう。奇跡を決めるのは、人の感性だ。よって、人が「それを奇跡だと思わなくなった」というのは、早紀の能力に対して、強く効果を発揮し、ダメージを与える。

 それ故、彼女の力が一番働くのは、初対面の、自分のことを知らない相手に対して。

 妖緋にとっては、能力の使えない、多少弾幕の上手い雑魚巫女。妖緋にとって、尊敬する師であり、決して敵わない霊斗や、同年代ながら神域に達する霊奈に比べれば「能力が弱いのに粋がっているゴミ」でしかないのだ。


 容赦なく、妖緋はスペルを唱える。


「斬戒『タケミカヅチ』」


 その言葉と共に、早紀は一定の大きさに区切られた空間に閉じ込められる。そこに突如斬撃が発生し、それは区切られた空間を超えず、跳ね返ってくる。

 早紀はそれを能力で消そうとするが『奇跡』の概念はこの場において、普通とはかけ離れていた。


 そうして、反響する斬撃。自分に当たっても、空間の壁に当たっても跳ね返るそれは、早紀の行動を制限するには十分だった。

 行動を阻害され、動けないことに苛立ちを感じる早紀。一方で、早紀に相対していた妖緋は、心配そうにサナの方を見つめていた。


 サナが帝に対して劣るのは、帝の放った極太ビームによって、妖緋もすぐに分かった。

 剣士とは、相手の技量を見るのが得意な生き物だ。故に、サナとの戦闘で、サナの戦闘能力もなんとなく理解することができていたし、帝の能力もさっき述べたように、極太ビームから察知できた。


 故に、妖緋はサナが心配だ。サナが近づくほどに帝の鼓動が高鳴り、攻撃に容赦がなく、荒くなっていく。

 不意に、帝が攻撃をやめた。これをチャンスと見たサナは、一気に駆け寄る。──その一瞬の判断ミスが、致命傷だった。


「危ない!! 逃げて!!」

「『氷帝降臨(みかどのおなり)』」

 

 虚しく叫ぶ妖緋ももう遅く、帝の体に氷の鎧が形成され──圧倒的な速度で氷弾がサナに飛んできた。

 それを回避しようと跳ぼうとするも、氷が脚を絡め取っていた。


「……あ」


 間抜けなまでに、口を開けてそう言ったサナの腹部を、氷弾が貫いた。

 その様に、サナは愚か、妖緋や早紀までも目を丸くした。サナは目の焦点がブレ、そのまま倒れた。地面にぶつかるギリギリで妖緋が支えなければ、さらに頭のケガで大惨事になったことだろう。

 早紀が途端に荒れ狂う状況の中、冷静に切り傷を体に受けながらもスペルカードを発動する。それは、妖緋を持ってしても奇跡と呼ぶべきもの。なぜなら、それの発動は本来不可能であるのだから。


 早紀がスペルカードを天に掲げると共に、神々しいまでの魔法陣が妖緋の目の前に現れた。妖緋にとっては、馴染みの深い紋様の書かれた魔法陣。

 それを発現させた者は、一滴の汗も垂らさずに冥界に召喚され、激しい覇気を噴出した。

 冥界の石畳すらも剥がすその覇気に耐えながら、妖緋は現れたそいつに問いかける。


「あなたは……!!! 今回は手を出さないはずじゃ……!!?」

「事態が事態なんでな。暇つぶし、なんて言ってられなくなった。……さて。この戦いを……終わらせにきた!!!」


 どこぞの赤髪の海賊のようなことを言って、現れたそいつ……妖緋の師である男、博麗霊斗は自身の持ちうる全ての力を発揮した。


◇◆◇◆◇


 先ず、大ケガをしたサナを回復する。穴の空いた腹部と、斬り落とされた片腕を能力で再生させる。

 それでも、サナは未だに意識を失ったままだが……このままにして、これからのことは見せないほうがいいだろう。


 俺は氷の鎧を纏った、まさしく『狂化(バーサーク)』とでもいうべき姿となった帝を見つめる。

 帝から発射される氷柱を、俺は片腕で弾道を逸らす。


「……おし、やるか」


 俺はそう言って「何も考えられていない」帝に対して、天罰を下す。


「俺の力……それは、主人公補正とでもいうべきものだ。それを見せてやる」


 帝から放たれる氷柱によって発生する冷気を凝縮し、俺の氷柱を作る。

 数多のそれは、帝に対し、一斉に降り注いだ。


「……っ!!」


 帝はそれを氷の障壁を創り出して防御しようとするが、氷柱の勢いに障壁の一番弱い点を貫かれ、障壁はそのまま崩れ落ちる。

 帝は氷柱をバックステップで回避したが、俺の転移からの回し蹴りにあえなくふっとんだ。


 ザザザッという地面を滑る音と共に、帝はこちらを殺意しか籠っていない目で睨みつけてきた。


「『零天氷牙』」


 帝はそこから巨大化した氷柱を俺に対して撃ち出すが、俺はそれを受け止め、そのまま巨大な氷柱は崩れ落ちた。


 俺の視界が防がれていたと思っていたのか、帝はそのまま俺に対してたくさんの氷柱を飛ばしてくる。

 俺はそれらを全て『絶対障壁』で防ぐ。


「……」

「その程度か?」

「『冷蒼の花園(ブルー・ローズ)』」


 帝のその言葉と共に、粉雪が俺の周囲を舞い始めた。


「……これに何か仕掛けがありそうだな」


 俺はそれらを全て、空間の熱を操って溶かす。

 雪が蒸発した水分を一箇所に集め、凝縮して氷弾として帝に撃ち出す。

 帝は亜光速で迫り来るそれに対応しきれず、サナと同じように片腕を失った。


「……キリがねぇな」


 俺はそう言って、帝の意識と記憶を消滅させた。


◇◆◇◆◇


 とある世界の博麗神社。そこには、普段いる博麗霊斗の他に、東風谷早紀、魂魄妖緋と、他の世界のお客様2人が居た。……とは言っても、お客様2人は未だ意識を取り戻さないのだが。


 サナの方は、ただの疲労による昏睡だ。時間が経てば、彼女は目を覚ますだろう。

 問題は、帝だ。意識と記憶を失った彼女は、霊斗が回復したとはいえ、今は非常に脆い状態だ。


「こんだけ呼吸が安定してれば、大丈夫だろう」


 その言葉と共に、霊斗はサナと早紀を、今回の記憶だけ抜いて元の世界に帰還させる。

 霊斗は抜き取った記憶は廃棄処分だな、と思いながら2人を空間の狭間に落とした。


「……さて、今度はあいつかな」


 霊斗ですらも、今まで戦ったことのない彼。

 いったい、彼らはどんな戦闘を見せてくれるのだろうか。

 霊斗は暗くなり、星の瞬く空の下、そう思いながら愛する2人の弟子と共に、空間の狭間を開くのだった。

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