0章 終わりと始まり
「くっ……」
そう言いながら十人いたら十人が平凡だと言いそうな顔をした少年は歯を食いしばっていた。
「チッ」
無理矢理剣を弾かれたことによってグラリと体勢が崩れた。
「ハアっ!!」
少年と戦っていた青年は勝起とばかりに斬りかかってきた……が
「ジャミング」
とや少年が呪文を唱えると青年の視界が一瞬ブレた。
「なっ!?」
青年は急に視界がブレたことに驚き剣に精細さを無くしてしまった。
そして…
「甘い」
それを見逃す少年ではなくすかさず青年の首を斬り飛ばした。
「さすがは帝国で団長をやってるだけあったな」
少しばかり手間取ってしまったとさっきまでの戦いをまるで世間話でもする様な軽さで振り返っていた。
「最後のやつにあいつが引っかからなかったらやばかったな」
最後のやつというのは少年がわざと作った隙のことである。これはある一定の強さを持っている者にしか分からない非常に高度駆け引きであった。
しかし、青年はなかなか攻め切れず焦っていた所に隙が出来たのでわざと作った隙だと分からずに斬りかかってしまったのだ。
「さて、ほかの奴らはどうなったかっ!!」
少年を責めるのは酷だろう。
帝国で十指に入る男を倒した後で、少し、ほんの少しだけ気を抜いてしまったのだ。
だが、それが命取りとなった。
そう、少年と青年の戦いを密かに見ていた者が少年に向かって火属性魔法最上位の一つであるバーンウェーブを放って来たのだ。
「ジャミング!!」
少年は反射的に唯一自分が満足に使える魔法を全魔力を使って放った。
だが、最上位の魔法の前には余りにも非力であり、既に放たれている魔法に対しては無駄のように思えた。
そして、少年の肉体は灰となった。
しかし、少年は勘違いをしていた。
「ジャミング」というのはその名の通り妨害をする魔法である。
そのため相手にしか、かける意味が無いと思っていた。
だが、少年は無意識のうちに「自分の魂」に魔法をかけていた。
そう、全魔力でだ。 .
そのため、相手が放ったバーンウェーブによって魂が消滅するのを妨害していたのだ。
しかし、魂というものは肉体が無ければ意味が無い。
少年の魂は新たな肉体を求め時空の狭間をさまよった。
そして…
ある赤ん坊の肉体に少年の魂が宿った。