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彼と彼女の冷戦事情

 僕には気になる女の子がいます。


「でさ~昨日のドラマのねー…」

「あーうん見たよ。僕はそこのシーンが…」


 今日もその子は僕の視界ぎりぎりで外の雨を眺めている。




 ▽無関心を装った彼女の心臓が欲しい。



「ねえ、何してんの?」

「……ああ」


 ああ、? まさか僕を認識した声か?…おいおい勘弁してくれよ、いつになったらまともに僕の名前呼ぶわけ?


「別に、天気予報通り雨だなーって思っただけ」

「成程…。所で相沢さんさ、いつもその本読んでるけど好きなの?シリーズ本だよね?よかったら僕にどんな内容か教えてくれないかな?」

「君には合わないと思うよ」


 にこりともせずにそう告げる唇。愛想笑いさえも取り繕わない目。


「…何で?そんなの読んでみなきゃわかんないでしょ」

「それもそうだけど……」

「あーわかった!だったら内容を軽く説明してよ、無理そうだったら正直に言うから」


 僕は彼女の前の席に座って居た男子生徒に断って譲って貰った。彼女の机に肘をついてにこりと笑うと、僅かに彼女の目端が動く。

 ……嫌がってんなあ。


 その行為に僕は更に笑みを深くした。


「……この物語にはね……」


 やや間があって彼女は観念したのか話し始めた。僕は彼女の話なんか耳に入っていない。彼女の目を伏せて淡々と語る姿、内容を思い出そうと僅かな間止まる口、さらさらと流れる艶やかな髪、そして何よりも――。


「波川~何で今日サッカーこなかったんだよ!!」

「あいたっ」


 ずどん、と横からクラスメイトのアタックが炸裂した。大きな音を立てて右側に雪崩込んだ僕らに周囲の人間がけらけらと笑い声を立てた。


「あははははは!何してんだよ~」

「くそうける」


 和やかな喧騒に包まるクラス。他のクラスからの羨望の眼差しで見つめられるクラスなのに、彼女は……。


 再び自分の世界に入り込んでいた。


「……は、……ふ、あははは!」


 カラカラと笑う愛しき友人達。にこりともしない彼女の口元。


 このクラスで唯一、僕に靡かない彼女が僕は欲しい。


絶対に彼女の心も奪ってみせよう。





▽ささやかな幸せ



 私は全ての人に愛されるようなことを望んでいない。なぜなら私は全ての人を愛していないから。

 人はきっと無意識の内に好きな人と苦手な人の線引きをしている。ならば、それに従えばいい。苦手な人間はどこまで行っても苦手でしかありえないのだ。それも興味のない人も然り。


 なのに、私のクラスのは一人変人がいる。いや……欲張りもの、というべきか。

 彼は確実に――自分が気に入っている人物に己が持つ同程度の想いの見返りを求めている。


 嗚呼、愚か。嗚呼、滑稽。クラスの他愛無い人間たちはまんまと騙されている。

 よく物語で言うじゃないか。


 君、誰にでも優しいんだね。何があっても怒ったりしないね。

 ねえ、それってさ――誰にも期待してないってことでしょ?


 嗚呼、愚か。まさに見世物。


「相沢ー、古典の宿題みせてちょうだい……」

「また?仕方ないなあ…」

「ありがとう相沢愛してるっ!!」

「はいはい」


 むぎゅう、と友人に抱きしめられる。ふふ、悪い気はしない。

 …何?私だって好きな友人くらいいるの。その人に想いを返されるのは悪い気はしない。ねえ、そこは波川くんと気が合うね?


 ああ、でも――。


 一方的に想われるのは、嫌いじゃないわ。





男の子は恋愛感情があるのでしょうか?わかりません←

ただ、靡かない彼女に以上に執着しています!!!


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