ただの犬の話
自分はレオナルド、偉大なる王国の騎士団長であります。
自分の役目は、敬愛する王族の方々をお守りすることであります!
「あ~ヴ~」
やや、そこにいるのは王子ではありませんか、いかがなさいました?
「レーオー」
「はい、であります」《ウォン》
「だぁー」
ちょ! 王子私に乗っかるのはやめてほしいであります!
重いであります!
やっ、やめっ、耳は食べ物じゃないであります!
「ビュ~」
しっぽ! しっぽを掴むのもやめてほしいであります!
「あら~? 優、レオに遊んで貰っている? いいわね~」
ああ! そこにいらっしゃるのは王妃様!
「助けてほしいであります」《ウォ~ン》
「レオが面倒見てくれるのね? 助かるわ~」
え? 違う! 違うであります!
王子から助けてほしいのであります!
「じゃあちょっと、私洗濯物干してくるから、優の事お願いね~」
王妃! 王妃様! 待ってほしいであります!
自分を置いていかないでほしいであります!
「あぶぶぶぶ~」
ああ、王子やめてほしいであります!
ちょっ! そこはそこは……。
「たすけて~~~」《ワウーーーン》
ふう、ひどい目にあったであります。
あれから、さんざん王子にもてあそばれてしまいました……。
なんとか、戻ってきた王妃様に助けていただきましたが、
「もっと早く助けていただきたかったであります」《わうわう》
しかし、王子にも困ったものであります。
自分はおもちゃじゃないであります。
けれど、邪険にして王子に泣かれると、王妃様が怖いであります。
・・・・・・ブルブル。
王妃様のお仕置きを思い出してしまったであります。
今思い出しても、震えが来るのであります。
「なにやってんだい、まったく」《にゃ~~お》
やや! そこにおらっしゃるのは、
「ミケランジェロ殿ではありませんか!」《ワンワン》
「その名で私を呼ぶんじゃないよ!」《ニャーーー!》
びくっ!
「どうしたでありますか!? 何を怒っているでありますか!?」《キャンキャン》
自分と同じく、偉大なる王国に仕えるミケランジェロ殿はなぜかすぐに怒るであります。
怒ってるミケランジェロ殿はとっても怖いであります。
それにしても、いつみても貫禄のあるお姿であります。
「なんだい?」《にゃーお》
「いつみてもご立派なお姿でありますな」《わう~~ん》
「太ってて悪かったね!」《シャーーー!》
なんで怒るでありますか!?
「こ~らミケ、またレオの事威嚇して、だめでしょ?」
この声は……、
「姫様!」《ワン!》
「レオ、大丈夫?」
「姫様!姫様!」《ワン!ワン!》
「わっ、ちょっと落ち着きなさいってば」
姫様であります!
自分が最も敬愛する姫様がいらっしゃったであります!
姫様、いままでどちらにいらっしゃったでありますか!?
なにか怪我はしてないでありますか!?
「ちょっ! 飛びつかないの、ってパンツに頭突っ込むんじゃないわよっ!」
「姫様!姫様!姫様!」《ワン!ワン!ワン!》
「もうこうなったら、……ほりゃ!」
わっ! 姫様、なんでひっくり返すでありますか?
お腹が見えてて恥ずかしいであります!
「ほーら、わしゃわしゃわしゃー」
あははははは!
くすぐったいであります!
でも、もっとしてほしいであります!
「はあ、まったくあほらしい……」《ニャ~お》
ふんふふーーーん。
姫様にいっぱいなでなでしてもらったであります。
うれしいであります。
「お? レオナルドご機嫌だな」
おお! そこにおらっしゃいますのは、偉大なる主!
「国王陛下!」《ワン!》
自分の牙を捧げし、この国を総べる国王!
「いかがなさいました国王!」《ウォフウォフ!》
このレオナルド、国王に使える身として、いかなる命令にも従う所存であります!
「おーおー、嬉しそうに尻尾振っちゃってくれてまあ」
国王陛下が撫でてくれたであります。
うれしいであります!
「はぁ~、レオだけだよ、俺相手に嬉しそうにしてくれるのは……」
「どうしたでありますか?」《わふ?》
「娘は思春期に入ってから、近づいてきてくれないし、母さんは息子に係きりで全然相手してくれないし、息子は俺が抱くと泣くし……ハァ~」
国王陛下どうしたでありますか?
元気出すであります!
「俺の癒しはレオナルドだけだーーー!」
だきっ!
こ、国王陛下苦しいであります!
離してほしいであります!
じたばた!
「おお、悪い悪い、強く抱きしめすぎたな」
ふう~、死ぬかと思ったであります。
「そうだレオ、夕飯まで時間あるし、俺と遊ぶか?」
「遊ぶ?」《わう?》
「ほーーれ、とってこーい」
「はいでありまーーす!」《ワンワン》
ボールを追いかけるであります!
捕まえたであります!
国王陛下ー! とってきたでありまーす!
「よーし、いいこだレオ」
国王陛下が褒めてくれたであります!
もう一回!もう一回投げてほしいであります!
「レオもようやくボール遊びを覚えたな、……初めはボール咥えたまま走り回ってたのになー」
? 投げてくれないでありますか?
「よし! レオナルド!」
!!
「はい! であります!」《ワン!ワン》
「お手!」
お手? 右パンチでありますね!
「おかわり!」
左パンチであります!
「ちんちん」
……せーーのーー!
「ファイティングポーズであります!」《わんわんわん!》
「よーしよし、いい子だ」
褒められたであります! うれしいであります!
しかしながら国王陛下、遊戯の途中で戦闘訓練を入れるとは、常に戦いの心を忘れないそのお姿。
感服であります!
「そろそろ夕飯にするわよー」
「お? 夕飯か、そろそろ戻るぞレオ」
「はい!であります!」《わん!》
「ほーらレオナルド、お肉だぞー」
!! お肉!
「食べたいであります!」《わん!》
「お、食べたいか、じゃあこっちこーい」
すぐに行くであります!
「ほーら、おたべー」
うまうま、お肉おいしいであります。
「お父さん、またレオに餌あげて、太ったらどうするのよ」
「いや、でも欲しがってるんだし、挙げたくなるだろ?」
「そんなことして、ミケみたいになっちゃうわよ」
「……いや、ミケランジェロは俺があげなくても、勝手に食って太ったんだよ、レオナルドは大丈夫さ」
「また根拠のないこといって、……それにそのレオナルドとか、ミケランジェロとか恥ずかしいからやめなさいよ」
「かっこいいじゃないか、……な! レオナルド」
お肉うまうま。
「なんでありますか?」《わふ?》
「……ほーら、レオナルドもこういってるぞ」
「どこがよ……、はあ、太りすぎはよくないっていうし、ご飯の量減らそうかしら……?」
!! ご飯が減る!?
「王妃様、王妃様やめてほしいであります!」《ワンワンワン!》
「わっ? レオいきなりどうしたのよ」
「ご飯の量減らされるって聞いて焦ってるんじゃないの?」
「悪いことが直しますので、ご飯を減らさないでほしいであります!」《わんわんわんわんわん!》
「わかった、わかったから、減らさないから落ち着きなさい」
「ご飯!ご飯!ご飯!」《わん!ワン!わん!》
「もー、ほらこれあげるから!」
お肉であります!
うまうまなのであります!
「……餌って言葉に反応しただけなのかしら?」
お肉おいしいであります!
ご飯がいっぱい食べられて大満足であります!
お腹もいっぱいだし、そろそろ寝るであります!
「あれ?」《わふ?》
ミケランジェロ殿であります。
「どこに行くのでありますか?」《わふわふ?》
「まあ、ちょっと集会にね」《にゃーお》
ミケランジェロ殿は時たま、外に出かけて行って朝まで帰ってこないことがあるであります。
きっと夜通し家の周辺の警護をしているでありますな。
「いってらっしゃいであります!」《わん!》
任務頑張ってきてください!
「……まあ、いってくるよ」《にゃ~お~》
自分も見習わないといけないでありますな。
とりあえず、国王陛下と王妃様の部屋で二人の警護をするであります!
「あらレオ、もう寝るの?」
「違うであります! 警護であります」《わんわん》
「そう、じゃあ……はーい」
? なんでベットに乗っけるでありますか?
ああ、でもお布団が柔らかくて気持ちいいであります。
……眠くなってきたであります。
……zzz。
今日はいい日でありました。
明日もいい日であるといいでありますな。
「あ~ぶ~」
ちょっ! 王子耳は……、ああ、そこはそこは……。
「だめえええええええええ~」《キャウ~~~~~~~ン》
「「レオ(ナルド)煩い!」」
怒られたであります……。
別の短編を書いてたら、ふと思いついて書き上げてしまった……。
ちょっと、ボリュームに不満が残る感じになったので、もしかしたらもう一話作るかも?
次はミケ視点かな?