紅い桜が咲く頃に
はじめまして、雲ノ賀介です。
何年も小説家になろうは利用させて頂いてたのですが、今回はじめての投稿です。
今後、書き溜めていたものを積極的に投稿していきたいと思います。
暖かい目で読んで頂けると幸いです。
とある小さな島にはたくさんの自然とその中で一生懸命に生きる人々がいた。人々は大変な生活の中でも幸せを見つけ笑顔を絶やすことはなかった。
そんなある日、謎の伝染病によって人々が次々に病に倒れるとゆう事件が起こった。島の医師総出で原因を突き止めようとしたが、その医師達も病に侵されついに原因も治療法も見つからないままたくさんの人々が死んでいった。
それから数年後ついに病を治す方法が見つかった。それはある男が売っている薬だった。
島の人々は『医者でもない男が何故そんな薬を?』と不思議に思ったが、病が治るならと皆その薬を欲しがった。
しかし、その薬は高額で普通の村人には手も足も出ないほどの高級な薬であったため一部の金持ちしか手に入れることはできなかった。死を恐れた村人は窃盗や人殺しをしてでも金を手に入れようとする者もあらわれ、あれほど美しかった島は人々の心が汚れていくのと同じように廃れていった。
薬を売った男はとゆうと儲けた金で大きな城を建て王と名乗った。その傲慢でケチな王に腹を立てるものもいたが病を治せるのは王の薬しかなかったので誰も逆らうことはできなかった。
出来上がった城を見て人々は不思議に思うことがあった。
あの城の奥に建てられた塔には一体なにがあるのだろ?
高く高く聳え頑丈そうな石でできたその塔は不気味な雰囲気を醸し出し、誰も近づくことはなく実際王以外は入ることを許されなかった。
―――それから数年後。
姫は塔の最上階から月を眺めていた。鎖につながれ扉には鍵をかけられ何一つ自由のないこの部屋で月を見ることだけが姫の数少ない楽しみであった。
今夜の月は・・・・・・なんだか恐いわ。
丸い月は少し赤みがかっており、どこか不気味に光っていた。
それでも、この少しの違いが姫には新鮮で嬉しい出来事だった。
姫はずっと月を見つめていた。すると、月の真ん中に黒い鳥が飛んでいるのが見えた。その鳥は何故かこちらに飛んできているのがわかった。近づいてくるにつれてその鳥の正体がはっきり分かった。姫は恐ろしくなって窓から離れた。
漆黒の翼に癖のある黒い髪、黄色く光った瞳、肌は屍のように青白い。爪は尖っていて上半身は裸、下半身は分厚い毛で覆われている。少年のような背丈であったが姫は知っていた。
「悪魔!?」
姫が叫ぶと悪魔はすっと壁をすり抜け姫の目の前に現れた。姫が壁の隅で怯えていると悪魔はゆっくり近づいてきて姫の顔をジロジロと見つめてきた。耐えられなくなった姫は叫んだ。
「魂を食らいに来たのか! それなら早くやっておくれ! こんな自由のない命無くしても後悔はない」
悪魔はキョトンとした顔で首を傾げた。その幼い子供のような姿を見て姫は叫ぶのをやめた。
「お前は私の魂を食いに来たのではないのか?」
すると悪魔は首を横に振った。
「違うよ。そんなものいらないよ」
と言った悪魔は八重歯を見せて笑った。その姿に少し安心した姫はゆっくり手を伸ばして悪魔の手に触ってみた。とても冷たい手だった。
「では、お前は何故ここに来た? 悪魔は人に悪さをすると聞いたことがあるぞ」
「そうだね。僕の仲間はそうするし人間の魂も大好きさ。だけど僕はそんなものに興味はないよ。」
悪魔はウロウロと部屋を眺めて歩くと鍵のかかった扉をすり抜け消えてはまた戻ってきた。
「何故、君はこんなところに一人でいるの?」
「え?」
意外な質問に姫は困惑した。それと同時に嫌な記憶が蘇る。
あの日、姫は桜を見つめていた。廃れていった島で唯一咲き誇っていた桜の木は生まれた時から独りぼっちの姫にとって親のような存在であった。春の暖かい陽射しを共に浴び、夏にはよく茂った緑の葉の木陰で過ごし寒くなれば木の穴の中で温めてくれた。そんな一生を終えるのだと姫は思っていたし感じていた。しかし、あの男が現れたことによって姫は桜の木と離れ離れになってしまい、以後数年間もこの狭い部屋に閉じ込められている。
姫はゆっくり口を開いた。
「私はここから出ることができないの」
「どうしてだい?」
「私はこの島にとって無くてはならない存在だからよ」
「それはどうゆう意味だい?」
悪魔の目は純粋に答えを求めている目だった。
姫は悪魔の手をとって鋭く伸びた爪を自分の掌に刺した。ドクドクと血が溢れ出し床に滴り落ちる。そんな行動を驚くこともなく悪魔はじっと傷を見つめている。爪を掌から離すと、不思議なことに傷はみるみるうちに塞がってゆき元に戻った。
「私は不死身なの」
「不死身?」
「死なないってこと。」
廃れてゆく島の中で唯一咲き誇っていたあの桜の木は、姫の力によっていつまでも美しかったのだ。それを知った王は姫のあらゆる“カケラ”から薬を作り出しそれを売って今この島の王になった。
「だから、私にもしものことがあったら大変だって・・・・・・どうしようもないのよ。これが私の運命なんだわ。そう思うしかないの。でも平気よ。だって私は皆から必要とされているのだもの。世の中には生まれてから最期の時まで必要とされない人もいるんですって。だから私は幸せなの。そう・・・・・・幸せなの」
姫はそう言い聞かせたが心は落ち込むばかりだった。俯いた姫は自分の掌を見つめた。酷くめちゃくちゃにしてやりたい衝動が心の底からふつふつと湧いてきて気が狂いそうになる。よくあることだ。しかし、どんなにめちゃくちゃにしたってまた元に戻る体。傷が塞がってゆくのを感じながら惨めな気持ちになり何度も涙を流した。
「ねぇ悪魔・・・・・・。また来てくれるなら私の魂をあげてもいいわ」
俯きながらそう言う。
なんてみっともない姿だろう。この島の姫だとゆうのに・・・・・・
「僕は・・・・・・」
「わかってる。魂は欲しくないのでしょ? それなら何が欲しい? あげられるものなら何でもあげるわ。だから、また来て欲しいの」
悪魔は腕を組首をかしげたあと
「それなら」
と言った。
「それなら、君の一番大切なものを頂戴!」
「一番大切なもの?」
「そうさ。それをくれるならまた来てもいい」
姫は困った。ここには姫の大切にしているものなんて何もない。
どうしよう・・・これでは悪魔はもう二度と来てはくれない
その時ふとあの時の桜を思い出した。
「ここにはないの」
「え?」
「ここには大切にしているものはないの。だけど、この塔の後ろに丘があってそこに一本だけ桜の木があるわ。その木が私にとって一番大切なものよ」
「じゃあ、それをくれるかい?」
「えぇ。あげてもいいわ。でも私はここから出ることはできないからその桜をこの部屋に持ってきて欲しいの。持ってきて本当に私の大切な桜の木か確かめるの。いい? 丘に立つ美しい桜の木よ」
「わかった」
悪魔はにっこり笑うとまた壁をすり抜け暗闇に消えていった。
次の日、悪魔は頭をかきむしりながらやってきた。
「どう? あったかしら」
と姫が尋ねると悪魔は頭を横に振った。
「美しい桜の木なんてなかったよ。あるのは荒地だけさ」
その言葉に姫はクスっと笑った。姫はこうなることを知っていたからだ。
美しい桜の木などあるはずがない。何故ならこの季節に桜の花は咲かない。立っているのは裸の木一本だけだ。姫はどうしてもまた悪魔に会いたくて嘘をついたのだ。
悪魔は何度も何度も頭をかきむしって部屋の中をうろついた。しばらくして悪魔は突然立ち止まり一つ頷くと姫の方をまっすぐ見て
「もういいや。」
と言った。
姫はあまりにも悪魔の諦めの速さに驚いて慌てて出ていこうとする彼の腕をつかんだ。
「ちょっと待って! もしかしたら、桜は元気がないのかもしれない」
「元気がない?」
悪魔は立ち止まり姫を見つめた。
「そう。元気がないのよ。だから花が咲かないんだわ。荒地でも裸の木くらいあったでしょ?」
「うん。何本かあった。」
「その中のどれかが私の大切な桜の木よ」
悪魔の顔はまた幼い子供のように輝いた。
「わかった。じゃあそれを持ってくればいいんだね」
すぐにでも外に行こうとする悪魔の腕をもう一度つかんで引き止める。
「待って! 何本も木を持ってこられたら困るわ」
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
「・・・・・・木の樹液を取って持ってきて。そうすれば匂いでわかるから」
「わかった。じゃあそれを持ってくればいいんだね」
悪魔は同じ言葉を繰り返し、壁をすり抜け出て行った。
次の日、悪魔はやってきて茶色い液体の入った小瓶を七本姫に差し出した。
「さぁ、どれが君の大切な桜だい?」
ワクワクした顔の悪魔とは対照的に姫は困っていた。
本当に樹液の匂いだけでわかるだろうか
自信のない姫はとりあえず一本目の小瓶の匂いを嗅いだ―――。
嗅ぎ分けることもできないまま最後の一本を鼻に近づけた。心臓の音が頭の中で響いているように近くに感じ、とても不安だった。
もしこれでわからなかった時はなんて悪魔に言おう。正直に言ってしまったらきっと昨日のようにあっさり諦めて出て行ってしまい二度と来てくれないかもしれない。そうなればまた独りぼっちの日々だ。
姫は最後の樹液の匂いを思いっきり吸った。すると、とても懐かしい気分になりまるで目の前にあの頃の桜の木が立っているような気持ちになった。姫はあまりの懐かしさに涙を流した。
「これよ。これが私の大切なものよ」
泣いている姫を見て悪魔は顔を近づけて笑った。
「やっぱりね。そうだと思った」
意外な言葉に姫は目を見開いた。
「・・・・・・どうして? どうしてわかったの?」
「だって」
と言うと悪魔は姫の長い髪の匂いを嗅いだ。
「君と同じ匂いがするもん」
姫はその時、自分はおかしくなってしまったのだと思った。
目の前で微笑む悪魔が姫には天使に見えたからだ。
姫はこの天使のような悪魔に恋をした。
姫はそれからどうにか悪魔の気を惹こうと考え、あることを思いついた。
「匂いだけでは不安だからその桜をこの部屋に持ってきて欲しいの」
これには流石の悪魔も困るであろうと姫は思ったが悪魔は次の日、桜の切り株を持ってきた。姫は一目でこの桜だと確信したが、それでは悪魔はこの切り株を持っていなくなってしまう。姫はまた考えに考えて今度は
「これでは、あの美しい桜かどうかわからないわ。」
と言った。
「それじゃあ、どうしたらいいんだい?」
「この桜を元気にすればいいのよ。そしたら美しい桜の花が咲くわ」
姫がそう言うと悪魔は首を傾げ悩んだ。それから何か思いついたのか手を叩き突然、笑い出した。
「悪魔?」
とうとう気がおかしくなったのかと心配した姫だったが悪魔はすぐに笑うのをやめて立ち上がると
「わかった。必ず桜の木を元気にしてみせるね」
と言っていつものように出て行った。
これはいい考えだと思った姫の心はまた不安でいっぱいになった。桜の木が自然に咲き誇るまで一生一緒にいられると思っていたのに、悪魔は何か思いついてしまったようだ。
姫は桜の木の株を抱いた。
それから数週間が過ぎた。あれから一度も悪魔は来ていない。姫は寂しくて仕方がなかった。
悪魔はどうして来てくれない? こんなにも待っているのに!
やりきれない気持ちをぶつけるかのように姫は暴れた。部屋をめちゃくちゃにし自分の髪を切ったり部屋に入ってくる者にわざとワガママな態度を取って困らせたりした。
その豹変ぶりを見た王はとても心配した。このままもし姫に何かあれば今の自分の地位が脅かされるからだ。
そしてある日、王は思い切って姫に直接聞くことにした。
「姫よ。何故暴れるのか」
姫の目はうつろで何度も泣いた痕があった。
「寂しいからです。悲しいからです。憎いからです。恨めしいからです」
かすれた姫の声は口にした感情全てを物語った。
「それではわかるまい。原因を教えてくれまいか?」
と王が言っても姫は同じことを繰り返すばかりだった。ついに王は姫は気をおかしくしたのだ思うようになった。
ふと部屋の隅に目をやると木の切り株が置いてあるのに気がついた。
「姫・・・あれをどうしたのだ?」
切り株を指差すと姫は目を丸くして切り株の上に覆いかぶさった。
「ダメです!これは絶対渡しません!」
姫の発狂ぶりを怪しく思った王は部屋に入り家来たちに姫を抑えるように命令し切り株に近づいた。その間ずっと姫は暴れている。王はゆっくり切り株を観察したがなんてことない切り株だった。しかし、王にとって切り株なんてなんの問題にもならない。問題はこれをどうやって姫は手に入れたかだ。姫は暴れるばかりで誰からもらったのか言わない。その態度に腹を立てた王はとんでもないことを思いついた。
その日の夜、姫はまた悪魔が来るのを待って月を眺めていた。すると夜も遅いとゆうのに王が家来をつれて姫の前に後ろで手を縛られた男を三人座らせた。何が始まるの不思議に思った姫だったが暗闇から現れた男を見てすぐにこれは酷いことが始まると気づいた。男の手には大きな斧が握られていたからだ。
「姫よ。お前が口を割らないとゆうならこちらから順に聞いていこうと思う。」
「何を始められるのですか? その方々は・・・・・・・」
三人の家来たちは皆跪き震えている。
「さぁ、聞こうか。姫にあの切り株を与えたのはお前か?」
一番左にいる家来に王が聞くのと同時に斧は家来の首をはねた。
「おいおい。まだ答えを聞いていないのに何をしているのだ」
そう言う王の口は笑っていた。なんて下品で汚い笑いだろうと姫は思った。
「やめて下さい!なんて酷いことを」
姫は耐えられなくなりそう叫んだ。
「それならば、早くその株を誰からもらったのか言いなさい!」
「いいえ。言いません」
言ってしまったら、悪魔とは本当に二度と会えなくなってしまう。姫はどうしても悪魔に会いたかった。
「それでは」
と王が言うとまた家来の首が飛んだ。
「早く言いなさい! お前のせいでこの男の首も飛ぶのだ!」
すごい剣幕で王は怒鳴った。姫は耐えられなくなり悪魔のことを話した。
「な、なんと悪魔がこの塔にいるだと? それはいかん。早く祓い屋を呼ばねば」
王は慌てて階段を下りていった。
姫はわっと泣き出し切り株にすがりついて一晩中泣いた。
朝、泣き疲れて寝てしまった姫が目を覚ました。目の前がぼやけてよく見えない。しかし明らかに変わった所があるのに気がついていた。
「桜の木が・・・・・・」
あの桜の切り株が一夜にして元の大木に戻っていたのだ。
「私の涙で元に戻ったのね」
姫はとても桜の木が愛おしくなって抱きついた。あの頃と同じように穴があり入ってみるととても落ち着く。姫はその穴の中でまた丸くなって眠った。
その日の夜のことだった。姫が目を覚ますと下の方で水が流れる音がした。穴から下を覗いてみるとそこには待ち焦がれていた悪魔がいて龜の中に入っている赤い水を木の根元に流していた。
姫は嬉しくて嬉しくて木から飛び降り悪魔に抱きついた。
「待っていたよ。とても会いたかった」
悪魔は目をパチクリさせると笑って龜を姫に見せた。
「これを手に入れるのに時間を食ったんだ」
「これは?」
「この水を与えるとどんな植物も元気になるんだ」
そう言って悪魔はまた木に赤い水を注ぎ始めた。すると桜の木は更に大きくなり塔の天井を突き抜けた。あっけに取られていると下から兵隊が駆けつける足音がした。
「これでは大きすぎる! 切られてしまうわ」
姫は慌てて悪魔の持っていた龜を取り上げた。しかし中身は既に空っぽだった。
今度は王の慌てふためく声が聞こえてきた。
「どうしよう」
「それなら僕がこの木を守るよ」
その言葉がとても逞しく思えた姫はゆっくり頷いた。すると悪魔はすっと闇に溶けていった。
「なんだこれは!?」
王が塔を突き破った木を見て叫んだ。
「お願いです。この木を切らないで」
しかし、そんな姫の言葉を無視して王は兵隊達に木を直ちに切るように命令した。
兵隊が一斉に部屋に入ってくる。姫は悪魔の言葉を信じてじっと待った。その時何かが飛んでくるのを感じた。それは真っ黒な煙を全身に浴びたかのような感覚ですぐに体が重くなり思うように動かなくなった。すると自分の意思とは全く関係なく兵隊達をを次々に倒してゆく。まるで大男になったような気分だ。
これが悪魔の力?
姫ははじめて悪魔の恐ろしさを知った。
あっとゆう間に兵隊を倒すと目の前で何が起こったか分かっていない王が立ち尽くしていた。王の方を見ると小さく悲鳴を上げて一人の男の背に隠れた。その男は長い袖の服を着ていて首には十字のネックレスをぶら下げている。
「あ、あ、悪魔だ! 本当に姫は悪魔に呪われている。祓い屋よ。早くあいつをなんとかしてくれ!」
祓い屋がゆっくりと十字架をこちらにむけて近づいてくる。そして何やらボソボソと呟き始めた。
途端に体に激痛が走った。姫は悪魔が苦しんでいるのを感じると一度自分の体から出るように言った。 悪魔が抜けると姫はその場に倒れ込んだ。動かしたくても体が鉛のように重く痛い。
「おぉ! よかった。悪魔が去って姫が解放された。これでこの島はまた救われるのだ」
王が万歳をして喜んでいるのを見て姫は今までの憎しみが一気に溢れ出した。
「お前がいる限り世界は救われない!」
そう怒鳴ると王は血相を変えて激怒し姫の頬を叩いた。それでも姫は怯むことなく王を罵倒しその度に王は怒り狂い暴力をふるった。
その様子を見ていた祓い屋が突然王の肩をつかみ思いっきり投げ飛ばした。それは人間では有り得ないほどの力で王はそのまま桜の木の穴に吸い込まれるように入っていった。
姫は祓い屋の黄色く光る目を見てすぐに悪魔だと気づいた。
突如王が悲鳴を上げたのでそちらに目をやると驚いたことに桜の木が動いている。王が入った穴はまるで口のように動き王を飲み込んでいった。それだけでは飽き足らず地面で寝ている兵も自らの枝を使って次々に口に運びすべて飲みほした。
その光景を唖然と見つめる姫は祓い屋に乗り移った悪魔の顔を見た。悪魔はいつものようにニッコリと笑って
「これでどうだい?」
と言った。
塔からはみ出た桜の木は満開の真っ赤な花を咲かせていた。
ありがとうございました
今後とも雲ノをよろしくお願いします