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『餓死寸前の最弱アバターからのサバイバル料理 ~現実世界での完全栄養食に絶望したので、VRゲームで失われた「本物の味」を再現して夢の食堂を開きます!~』  作者: ゆっきー
第2章:「最強の護衛と、夢の食堂の予定地」

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第19話:「岩塩か、海塩か。最強のお使い競争」

「レナ、その『塩』とやらはどこにある。俺がこの森を更地にしてでも掘り出してこよう」


 エドが血走った目で大剣を握り直す。


 「森を更地にしてもお塩は出ないよ。一番確実なのは、この森を抜けた先にある『岩塩の洞窟』か、もっと遠くにある『海』に行くことだけど……」


 レナが地図を開くより早く、セリアがバンッとカウンターを叩いて立ち上がった。


 「決まりだな! 私がその『海』とやらへ向かい、海水をすべて煮詰めて塩の結晶を持ち帰ってやろう!」


 「ふざけるな。お前の足では海に着く前にまた迷子になるのがオチだ。俺が洞窟へ行き、純度百パーセントの岩塩を掘り出してくる。レナ、そこのアホ騎士は拠点ここで縛っておけ」


 「なんだとエド貴様ッ! 私の方向音感覚を馬鹿にする気か! 絶対に私の方が早く、極上の『海塩』を持ち帰ってみせるぞ!」


 最強プレイヤー二人の間で、またしてもバチバチと火花が散る。

 彼らにとってレナの料理はすでに命綱であり、その味を引き出す「塩」は、どんなレイドボスのドロップアイテムよりも価値のある至宝となっていた。


 「あ、あの……お二人とも、落ち着いて……」


 ミレがおろおろと仲裁に入ろうとするが、レナはそれを手で制し、ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべた。


 「いいよ、二人とも行ってきて。エドは洞窟で『岩塩』を。セリアは海で『海塩』を。どっちのお塩も、お肉や魚を美味しくするのに絶対必要なんだもん。手分けして持ってきてくれるなら、それが一番助かるかな」


 「……わかった。レナがそう言うなら、最高品質の岩塩を削り出してこよう」


 「ふはははっ! 任せておけレナ! 貴様の料理にふさわしい海の恵みを、私が根こそぎ奪い取ってきてやる!」


 エドが漆黒の外套を翻し、セリアが白銀の鎧を鳴らす。

 次の瞬間、二人の姿は凄まじい突風と共にログハウスから消え去っていた。


 「……行っちゃいましたね。お二人とも、すごく速かったです……」


 ミレがポカンと開いた入り口を見つめて呟く。


 「うん。でも、これで最高のお塩が手に入るよ。……それに、あのお腹を空かせた二人のことだもん。ただお塩だけを持って帰ってくるわけないよね」


 レナはカウンターの奥で、空っぽになった巨大なお皿を撫でながらほくそ笑んだ。

 エドが向かった洞窟には、きっと珍しいキノコや地下のモンスターが。

 セリアが向かった海には、この森にはない新鮮な魚介類がたっぷりと生息しているはずだ。


 「わんっ!」


 パピーが「静かになったね」とばかりに欠伸をする。


 「さてと。二人が帰ってくるまで、私たちは私たちでやれることをやろうか。ミレ、お店の周りで食べられそうな野草や木の実、一緒に探してくれる?」


 最強の護衛二人が不在となった真新しい食堂で。

 最弱の料理人と迷子の初心者は、次なる「極上の宴」の準備に向けて、のんびりと動き出した。

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