補充
翌朝、煤と火薬の匂いがわずかに残る倉庫跡を背に、私は《錆の市》の一角、鍛冶工房兼ジャンクディーラーの店へと向かった。
「よぉ、姐さん。また血まみれの“お宝”かい?」
革の前掛けと煤に染まった腕を持つ職人が、奥から顔を出す。先日ショットガンの整備を任せた男だ。血や火薬の匂いにも眉ひとつ動かさないその職人気質は、戦場帰りの者にはありがたい。
「昨夜の戦場跡からの“お土産”だ。使えるものは整備、それ以外は売ってくれ」
私は袋から装備を一つずつ並べていった。
《回収装備一覧》
・蒸気式防盾ユニット(小型・蒸気バルブ損傷)
・旧式軍用ライフル ×2
・拡張マガジン ×1
・衝撃吸収インナーアーマー(破損あり)
・暗視付きゴーグル(レンズ損耗)
・小金袋(銅貨37枚、銀貨4枚)
職人はライフルを手に取って、軽くボルトを引いた。
「ふむ、撃鉄は生きてる。腐食も少ない……調整すりゃ現役だが──」
「いや、要らない。突撃銃がある。ライフルは全部売ってくれ」
「……ああ、あのアサルトか。なら納得だ」
私は先日手に入れた突撃銃──蒸気圧駆動式の軽量高火力モデル《AR-M89〈スレイヴ・ラプチャー〉》のことを思い出す。近中距離はこれでカバーできる。今さら旧式に戻る気はない。
「防盾は?」
「壊れてる。部品取り用にでもしてくれ」
「よし。全部で銀貨7枚、ってとこだな。……ま、常連価格ってことで」
【装備更新】
・売却品:ライフル×2、防盾ユニット、損傷ゴーグル
・所持武装:突撃銃《MT-A7》、ショットガン《SBT-4(改造済)》、近接ナイフ
【資金更新】
・入手金:銀貨7枚
・所持金:銀貨12枚、銅貨3枚
その足で私は補給店に移動し、薬剤棚の前に立つ。並ぶカートリッジのラベルを一瞥しながら、声をかける。
「中圧カートリッジを──《TC-β2:熱圧安定型》と《TC-δ1:噴出圧上昇型》を1本ずつ。それと白煙の《SC-γ3》も」
◆購入リスト
・中圧カートリッジ《TC-β2:スラストブースト》 ×1
下半身筋力を強化。発動後1分間、移動速度を倍増し、高所からの落下衝撃にも耐性を得る。
・中圧カートリッジ《TC-δ1:リフレクス》 ×1
神経伝達を高速化し、反射神経と回避性能を向上。発動時間は30秒。
・散布カートリッジ《SC-γ3:スモーク・エミッタ》 ×1
高密度の白煙を短時間で散布。奇襲・離脱・撹乱用として有効。
【支払:銀貨6枚/残資金:銀貨6枚、銅貨3枚】
【カートリッジ総数更新】
・《TC-β2:スラストブースト》 ×2
・《TC-δ1:リフレクス》 ×2
・《SC-γ3:白煙煙幕》 ×2
《ユグド》:「補給完了。作戦対応幅:拡張。即応性:向上」
補給を終え、私は再び《錆の市》の通りへ戻る。火薬と金属と油の匂いが混じった空気の中、突撃銃の重量が背中で心地よい。
“撃ち抜く準備”は、整っている。
あとは、次の任務を待つだけだ。




