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第四章 牢屋送り

 翌朝、俺は親父と一緒に村の紙細工屋に向かった。


 親父が店に入るなり、声を張り上げた。

「李じい!女の子の紙人形を二体くれ!急ぎだ!」


「親父、王じいさんは若くて美人なやつをって、わざわざ名指しで言ってたからね。普通のじゃ気に入らないってば」

 俺はすかさず口を挟んだ。約束した以上、適当には済ませられない。


 親父は眉間にシワを寄せて、蚊でも潰しそうな勢いで一言。

「何もわかってねぇな!年食った紙人形の方が“熱”を抑えてくれるんだよ!若すぎたら逆にアイツが持たねぇだろ!下手したら向こうで浮気だなんだって揉めるぞ?」


 俺は固まった。

 ……おい、なんでそんなに断言できるんだよ?

 まさか、あんたと王じいさん、前線で肩並べた仲とか?


「これは大事なことなんだ。俺が請け負ったからには、ちゃんと納得してもらえるもんを送らにゃならん」

 親父のこだわりがすごすぎて、仕方なく俺は「王家のメンツ」の一言で黙らせるしかなかった。

 ……身体のことなんて、補薬送れば済むだろ、なんで女にこだわるんだよ。


 親父もしぶしぶ折れた。


 李じいさんは手際がよくて、ピチピチで笑顔が眩しい紙人形を二体仕上げてくれた。

 さらに俺の強い主張で、腎を強める漢方薬の「六味地黄丸」二車分と、「腎宝片」一車分を一緒にセットにしてお焚き上げ。

 これで文句ないだろうと、俺は胸を張った。


 いざ人形を燃やすと、王じいさんの墓の草がディスコみたいに揺れまくり、あの世で大喜びしてるっぽかった。

 だが――補薬を燃やし始めた瞬間、様子が激変。


 墓の草がピタッと止まり、地面全体がしおれて見える。さらに風が吹き荒れ、八級の暴風に俺と親父が吹き飛ばされかけた!


「なんで怒ってんだよ、王じい!」

 親父が必死で説得。

「金出して買ったもんだぞ、もったいねぇから受け取れよ!」


 その甲斐あってか、草は再び元気を取り戻し、薬も綺麗に燃え尽きた。


 ……と思ったら、その夜から、俺は連夜王じいさんの夢を見るようになった。

 顔は真っ赤、鼻血を噴きながら、無言で俺をじーっと見つめてくる……なんとも気味が悪い。


 なあ、あんた熱でも出た? 退熱剤でも送っとくか?


「いらん!!」


 ……なんだよ、けっこう怒ってんじゃん。

「俺の誠意、月に照らされてドブに落ちる」ってやつだな。


 しばらくして、村中で噂が立った。

 王じいは冥界で大成功して、「冥界のカリスマ富豪」になったって。


 夢に現れた最後の日、俺の耳元でひとこと、冷たく言い放った。

「お前の送った嫁、二人とも欠陥品だったぞ。空気漏れてたんだよ!」


 俺、ガクッとなった。

 李じい……お前、どうやったら紙人形で不良品作れるんだよ!?


 新たに嫁を送ってやろうかと思ったら、断られた。


 曰く、「お前がくれた補薬で薬屋始めて、今は大繁盛。冥界一の富豪になったし、別荘も建てて、ちゃんと嫁ももらったからもういい」とのこと。


 ……しかもその嫁、あのお化け芝居で俺をジッと見てた、八十超えのシワくちゃのババアだったっていうじゃないか。


 俺……ようやく悟ったよ。

 親父と李じいの目は確かだった。王じい、やっぱり“そっち系”が好みだったんだな。


 あっという間に、俺は二十歳になった。

 父ちゃんの言葉どおり、やっと自由に外出できるようになる日。誕生日、オレは浮かれてたけど、父ちゃんはずっと難しい顔して、どこか「旅立ちを見送る親」みたいな切なげな表情だった。

 オレは「離れるのが寂しいんだろう」と思って、慰めた。

「心配すんなよ、そんな遠く行かねぇって。毎日顔見せるからさ!」

 ……が、それは完全な誤解だった。

 この「二十までは外出禁止」って家訓、実はちゃんとした理由があったんだ!

 その夜、警察がドアをぶち破って押し入り、何も言わずにオレを地面に押さえつけ、手錠をかけて連行!

 オレは完全にポカーン。誕生日って罪になるんだっけ?

 振り返ると、父ちゃんが玄関で煙草ふかして、やけに落ち着いた顔で立ってた。

 その瞬間、ピンときた。こいつ……前から全部知ってた。警察の話によると、俺は「盗掘グループの一員」だって。

 確かに、ちょっとだけ関わったことはある。だが、墓には入ってないし、何も盗んでない!

 それがなぜ、「盗掘犯」になってんだ!?しかも、死人まで出たって話になってる!?俺の心の声はこうだった:

「はぁ!?俺、濡れ衣もいいとこだろ!!冤罪にもほどがあるわ!!」

 原因は、あの盗掘グループの連中だった。数年後、彼らは山分けした金で豪邸建てたり、高級車乗り回したりして、親戚に自慢しまくってたらしい。

 それが気に食わなかった親戚の一人が、ある日ブチ切れて「正義の告発」。

 結果、警察にチクられ、全員しょっぴかれた。そしたら連中、自分の罪を軽くするために一斉に俺の名前を出した。

「全部あいつの指示だった!俺たちは命令されただけだ!」おい、俺まだ18のガキだったんだぞ?

 どうやってあんたらベテランの盗掘師たちを“指揮”するんだよ?

 警察も流石に怪しんで、村へ調査に来た。そしたら誰だよ、ある長舌ババアが

「あの子は小さい頃から親父に変な術を教わってたし、頭もキレるから怪しい」って。その一言で、オレは壁に磔状態。

 もっとひどいのは——

 あの女の幽霊が、夜中にこっそり俺の家の前に、なんと大量の副葬品を埋めていきやがったのだ!警察がスコップ持ってきて掘ったら、もう“決定的証拠”のオンパレード。

 これには俺もノックアウト。いくら「無実だ!」って叫んでも、証人も証拠も向こうに揃ってたら、俺の口なんて、まるでチャックでも付いてるみたいに無力だった。

風は東に巡り、龍の気が動くとき——このページにたどり着いたのも、きっと「縁」の導きに違いありません。


筆者・蘭亭造は、大陸・龍虎山にて古術を学び、風水・命理・陰陽五行を長年研鑽してまいりました。


干支、八字、五行方位、九星気学など、古より伝わる術数を用い、多くの方の人生に光を灯すお手伝いをしてきました。




本作はフィクションの体裁をとっていますが、登場する風水理論や相術の多くは、実際に伝わる術理をもとに構成されています。


一部は、筆者自身の体験に基づいた内容でもあります。




もし、この物語の中に、あなたの人生に役立つ「何か」があったとしたら——


それもまた、偶然ではなく必然。


このご縁に、心より感謝いたします。

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