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第三十一章 天にも届く恩義

 うちの親父があれだけ強気に出たもんだから、李じさんも、奥さんと虎子を連れて前に出てきた。


「そうだ、この件はこの件で俺にも非はある。でもな、手ぇ出したのは完全にアウトだろ!警察が帰ったあと、また殴られたらどうすんだ?今すぐ病院行って診断書取ろうぜ!」


 今の時代はありがたいことに、みんな法を知ってる。昔みたいに、土いじってる農民だからって、黙って殴られて済ますような時代じゃねぇんだ。


 ちなみに中国の刑法には、ちゃんとこう書いてある。


 第二百三十四条【故意傷害罪】——故意に他人を傷つけた場合、三年以下の懲役、拘留、または監視処分。もし重傷を負わせたら三年以上十年以下、死人が出たり、特に残酷な手段で重度の障害を与えた場合は十年以上、場合によっちゃ無期懲役か死刑!


 つまりだ、殴ったやつはちゃんと罰を受けろって話!


「その通りだ、じゃあ実際に手を出したのは誰なんだ?さっさと出てこい!」


 警察がそう言うと、あの男の親戚連中、一気に静かになった。目ぇ逸らして後ろにズルズル下がってく様子は、まるで火のついた爆竹から逃げるネズミみたいだったな。さっきの威勢はどこ行ったんだよ?


 でも警察も容赦なかった。「今日暴力を振った四人が出てこないなら、俺たちは帰らん」って、ガチで詰め寄ってた。


 それにしても、うちの親父が怒るのも無理はねぇ。自分の嫁さんと息子がボコボコにされたんだぜ?家の主として、黙ってるわけがねぇだろ。


「俺はもういい、金なんざ一銭もいらねぇ!ただし、お前らは刑務所行きだ。ケンカが好きなんだろ?だったら中で好きなだけやり合ってこい!」


 ……正直、あのとき場の空気が一瞬止まった。


 暴力を振ったあの四人、今ごろマジで内心ガクブルだったろうな。


 最初は李じさんにしつこく金せびって、少しでも小遣い稼ごうとしてたのに、今や親父に喧嘩売ったせいで、カネどころかシャバともお別れだ。


 んで、こいつらの次の一手がヤバかった。


 出してきたのがなんと、ガリガリで見るからにヒョロヒョロなガキ四人!


 は?まさかとは思ったけど、ほんとに子どもに罪かぶせようとしてやがった。


 言っとくけどな、あの子どもたち四人が束になってかかってきても、俺はビクともしねぇぞ?下手すりゃ、指一本でねじ伏せてやれるレベルだ。


「おいおい、そこまで根性ねぇのかよ?人を殴った時の威勢はどこ行ったんだ?今さら子どもに罪なすりつけるとか、お前らマジで終わってんな!」


 刑法第三百一十条にはこう書いてある:


【犯人蔵匿及び証拠隠滅罪】——犯人であると知りながら、隠れ場所や金品を提供したり、逃走を助けたり、虚偽の証言をしてかばった場合、三年以下の懲役、拘留、または監視処分。状況が悪質な場合は、三年以上十年以下の懲役。


「ちゃんと考えた方がいいぞ。うちには高画質の監視カメラついてるからな。今のうちに正直に出てくりゃ、まだ間に合う!もし警察が証拠掴んだら、お前ら一族全員まとめてブチ込まれることになるぞ。よーく考えろよ!」


 俺も前に出て、やつらの前でそう言ってやった。


 あの四人のゴリラ野郎、うちに監視カメラがあると聞いた瞬間、もう頭の中で地雷踏みまくったような顔してたよ。もし最初からカメラあるって知ってたら、絶対あんなイキった真似しなかったに決まってる。


 で、結局その四人が観念して前に出てきた。警察が「被害者に確認してもらいます」とか言って、俺たちに顔見せてきたが、間違いない、こいつらだ。


「ご家族の方、ご希望される処置があれば、お聞かせください。」


 そう言って警察が親父に意見を求める。俺もつい顔を見た。……まさかとは思うけど、本当に刑務所送りにするつもりじゃないよな?


「俺の考えは変わらん。うちは金に困ってねぇし、こんな奴らから一銭もいらん。人を殴ったら、その代償はブタ箱だ。俺の要求はそれだけだ!」


 親父、ブレねぇ……有言実行ってやつだ。


「俺も同じ意見だ。刑務所行きでよろしく。うちなんかとっくにド貧乏だし、これ以上貧乏になりようがねぇわ!」


 ……親父熱血タイプだが、李じさんの方は「どうせもう失うもんなんてねぇよ」ってタイプ。言葉は乱暴だが、言ってることは間違ってない。てか、これ以上貧乏って、どうなるんだよ逆に。


 四人のゴリラ、とうとう崩れ落ちた。


 まるで子どもみてぇに、鼻水たらしながら「家に年寄りがいて、子どももいて、自分が捕まったら一家共倒れなんですぅ〜」って、泣き落とし大作戦開始。あんだけ威勢よかったくせに、なんなんだよ。


「王さん……だよな?金のことなら心配するな。いくらでも出すから、言ってくれ!俺、一文句も言わずに払うから!」


 四人のうちのリーダー格っぽいのが、泣きながらうちの親父にすがりつく勢いで交渉しようとしてきた。


 けど、親父は一言も返さず、俺と母ちゃんを連れて、無言で家に入っちまった。残されたのは李じさん一家だけ。


 家に戻ったあと、母ちゃんがようやく口を開いた。


「アンタさ、なんで今あのまま家入っちゃうのよ?ちょっとは金もらっとけばいいじゃない……」

「李さんとはもう何十年の付き合いだ。あいつがどんな人間か、オレたちだって分かってる。今回は本当に困ってたんだよ。だからこれ以上は何も言うな。俺ができるのはここまでだ。それ以上は首突っ込むな。」


 親父は最初から、金を取る気なんてサラサラなかった。ましてや、あの四人を刑務所にブチ込むつもりもなかった。あえてあんな強気な態度を取ったのは、相手に“弱み”を作らせて、それを李じさんに握らせるため。交渉のときに、少しでも有利に進められるようにって寸法だ。


 で、うちとしては——


 一円も払わずに済んだ。


 たとえ「人道的見舞金」みたいなやつすら、びた一文、出さずに済んだ。


 なぜなら――


 俺はあいつら四人に、十分すぎるほど“顔”を立ててやったんだからな!


「そうだ、明日から家に監視カメラもっと増やしておけ!トイレの中も油断できん!」


 玄関を開けて入ろうとした親父が、思い出したように振り返って言った。たぶん、俺の言ったことが妙に説得力あったんだろうな。最近うちに出入りする奴が多すぎて、カメラなしじゃ安心できないってさ。


「鉄男、お前ってホント、気が利く子ねぇ〜〜」


 母ちゃんが俺の頭を撫でながら、ベタ褒めしてくれた。


 その後、あの男側の親戚たちは、皆サーッと自分の家に帰っていって、もう誰も首を突っ込んでこなかった。交渉は李じさんと、男の両親の間で行われることになった。同じ地域の人間同士ってこともあって、言いたいことも通じやすい。


 結局、李じさんは10万元を支払って、一件落着。


 ただ、その10万元、実は李じさんの家には払える余裕がなかった。


 そこで——


 親父が出てきて、ドンと10万元を貸してやったのだ!


 こうして、李叔はうちにデカすぎる恩義を三つも負うことになった。


 一つ目:俺と親父が彼の息子の命を救った。


 二つ目:俺と親父が賠償金を大幅に減らしてやった。


 三つ目:親父が自腹を切って、彼の危機を救った。


 うちの評判は一気に広がった。訪ねてくる客がどんどん増えていって、俺と親父は寝る暇もなく金を数える毎日。いや〜、金を数えて手がつりそうになる感覚って、クセになるな〜これ。


 ただ、うちに来る客のほとんどは、そんなに大事でもない。


 大体が「風水見てくれ」とか、「家具の配置、大丈夫?」とか、「家の装飾、運気下げてない?」みたいな日常レベルの悩みばっかり。


 他にも、縁結び・寿命鑑定・因果の調査・災厄回避とか、そういう類の依頼ばかり。


 俺にとっては、朝飯前だ。


 だからぶっちゃけ、この金は空から降ってきたようなもんだ。


 とはいえ、俺はこの道で飯を食ってる。ときに俺の一言が、お前らの人生を何年も遠回りせずに済ませたり、命だって救えることがある。


 だから、この金、決して無駄じゃねぇぞ?


 ――そう思っていた矢先。


 半月後。


 うちに来たある“お客”のせいで、俺と親父は……マジで頭を抱えることになったんだ――。

風は東に巡り、龍の気が動くとき——このページにたどり着いたのも、きっと「縁」の導きに違いありません。


筆者・蘭亭造は、大陸・龍虎山にて古術を学び、風水・命理・陰陽五行を長年研鑽してまいりました。


干支、八字、五行方位、九星気学など、古より伝わる術数を用い、多くの方の人生に光を灯すお手伝いをしてきました。




本作はフィクションの体裁をとっていますが、登場する風水理論や相術の多くは、実際に伝わる術理をもとに構成されています。


一部は、筆者自身の体験に基づいた内容でもあります。




もし、この物語の中に、あなたの人生に役立つ「何か」があったとしたら——


それもまた、偶然ではなく必然。


このご縁に、心より感謝いたします。

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