第15話 ビーストの姉妹
ノヴァ傭兵団が宇宙海賊カリブスとの戦闘に勝利をおさめてから数分後。ギャレンはディアマンテを操作して宇宙海賊カリブスのアジトにやってきた。
『お~い。軍人さんを連れてきたぞ~』
宇宙海賊カリブスのアジトを占拠したバーグたちはセミス大臣の娘であるロアちゃんなどの安全を確保し、裏にいる者の証拠を見つけるとレイドール国のセミス大臣に報告。カリブスたちを連行する軍を送ってもらった。その案内をギャレンが行ったということ。
宇宙海賊カリブスの船員が思った以上に多いために複数の戦艦でやってきた軍はアジトに到着すると驚きの声を上げる。
「まさかこんな場所がすぐ近くにあるとは」
それと同じく降り立ったノヴァ傭兵団の団長であるギャレン。その周囲には三つ子がやってきた。
「「「団長!すごかったっすね!強いとは思ってたけどあんなに強かったんすね!」」」
興奮したようにギャレンに話しかける三つ子。しかしそれにはギャレンは困惑。
「あ、ああ。ありがとう。でも今は早くロアちゃんのもとに案内してほしいな。セミス大臣の奥様も来てるし」
そう、実は宇宙海賊カリブスを連行する戦艦にはセミス大臣の奥さんがともに乗り込んでいた。その名前をチェリー・スタバール(34歳)。
「ぜひお願いします!安全がわかっているとはいえずっとひとりぼっちで怖かったでしょうから!」
「「「は、はい。わかりました」」」
その娘を心配する母親の圧力に屈した三つ子はギャレンとチェリーを含めた数名をロアちゃんのいる場所まで案内した。
ちなみにこの場にはいないセミス大臣だが本人はすごい来たがっていたが安全が確保されているという事と、バーグから送られてくる紙の資料やとある議員とのやり取りを記録していた映像が送られてきたため迎えに行くのをチェリーに任せ自身は議員糾弾のために動き出していた。
「あの!ロアはどんな様子ですか?怪我をしていたりしていたりは?」
「怪我とかはないみたいですよ。それに思いのほか元気ですね」
「一緒に収監されてたビーストの姉妹がいるんですけど元からの友達みたいですよ」
「ヒューマンに捕まってたからか助け出した俺たちもまだ警戒されてるっぽいですけどね」
「ロアとお友達のビーストの姉妹って……まさか……」
聞いた限りでは娘は怪我もなく無事と分かり安堵のチェリー。しかしギギの口にした"元からの友達にビーストの姉妹"という単語に思いつくのはとある家族のみ。
ちなみにチェリーと共に三つ子からの報告から聞いているギャレンはその話を聞いて足を止めてしまう。
「(いまギギの奴なんて言った?ビーストって言った?ビーストってあのビースト?ファンタジー種族のビースト?ケモ耳にしっぽの生えている獣人と呼称する作品もあるあのビースト?あれが追い求めていたビースト?)」
予想外の報告による思考がグルグルと回り続ける。そんな思考が変になっているが故に足が止まっているギャレンを三つ子のガガが気が付いて呼びかける。
「団長?どうかしたんすか?」
「あ!?ああいや。なんでもない。行こう」
そうやって表向きにはなにも変化がないように演じながら三つ子の後ろを歩く。しかし内心ではやっとファンタジー種族の1つに会えるという状況に狂喜乱舞していた。
そうして歩くこと数分。とうとうギャレン念願の時が訪れる。
「ここです。ここにロアちゃんもビーストの姉妹も一緒にいますよ」
「ロア!」
ガガの声に一目散に部屋の中へと入っていく。ギャレンは逸る気持ちを落ち着かせて歩くスピードを変えないことを意識して部屋の中へ。するとそこには部屋の中央で抱き合う母娘がいてバーグやリーシャなどのゴードンのメンバーも何人かいて。そして内心で狂喜乱舞していたギャレンの感情が限界突破したビーストの姉妹がいた。
「(うっひょおおおおおおおおおお!?!?!?ケモ耳最高!!!!????)」
しかしそんな心情を決して表に出さずに平静を装うことができているのがギャレンのアンドアーマーの操縦技術の次にすごいことかもしれない。
「バーグ。この子たちがロアちゃんと一緒に捕まってた?」
「ああ。どうやら奴らは定期的に人身売買もやってたみてえでな。ほかにも捕まってたやつらがいたぜ」
「とのことです、チェリーさん」
「わかりました。我が国民を救出していただき感謝いたします」
深々とお辞儀をした後はロアちゃんと手をつなぎながらも軍に対して指示を出すチェリー。ロアちゃんは元気だったという報告もあったがさすがに母親を見て安心したのか涙を流していた。
そしてギャレンは急かす心をなんとか制御してゆっくりとビーストの姉妹に近寄る。
「(年のころは中学生か小学校高学年ほどのお姉ちゃんと妹は小学校中学年ほどか?)」
そんなことを悩みながらも近寄るギャレンを警戒し妹を守るように立っている姉というビースト姉妹のもと到着。ギャレンは目線を同じにして質問。
「君たちも一緒に捕まっていたようだね。お名前は?」
「……ミーヤ……ミーヤ・ザルサール……」
ミーヤと名乗った姉はギャレンを警戒しながらも救出されたということがあるからか名前は名乗った。しかし妹はといえば、
「フィアだよ!」
「ちょっとフィア!?前に出ないで!?」
フィアと名乗った妹は物怖じしない感じでギャレンに近寄る。
「(これは!?いいのか!?頭を撫でてもいいのだろうか!?)」
手を伸ばせば夢にまで見たビーストの頭を撫でられるという状況に戸惑っていると指示を出し終えたチェリーが話し出す。
「やはりミーヤちゃんにフィアちゃんだったのですね」
「……知り合いですか?チェリーさん?……」
話し出したチェリーによってフィアがそちらに行ったため離れていったケモ耳に残念に思っているなどとは決して表には出さずに問う。
「ええ……どうやらまだほかの方々にも素性を明かしていない様子なので私から。この子たちは我が国とも友好的に接していただいているガーノン国の現大統領のご息女の方々ですよ」
「(なっ!?ガーノン国ってあのビーストの国の!?夢の楽園の!?)」
この出会いがギャレンの終生のライバルと出会わせることになる。
ちなみにギャレンは団員に宇宙に出た理由としてオルタシア帝国が窮屈だった。宇宙を自分の目で見たかった的なことを言ってます。
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