第13話 悪魔到来
レイドール国のセミス大臣へ手紙を届けるとその娘さんが宇宙海賊カリブスに誘拐されたことを知ったギャレンたち。だがギャレンたちはその宇宙海賊カリブスのアジトの場所を知っている。それを伝えるとセミス大臣はギャレンたちに頭を下げて頼み込む。
『頼む!娘を助けてくれ!報酬ならいくらでも支払うことができる!だから!だから娘を!』
そう懇願するセミス大臣にギャレンとピナは報酬はいらないという気持ちだったがリーシャが交渉した結果、前金として1.000万Gと成功報酬でその5倍の支払いが約束された。こうしてノヴァ傭兵団はセミス大臣より娘救出の依頼を個人的に受けた。
「助けるのはいいが作戦はどうすんだ?」
ちなみに現在は車にて宇宙エレベーターへと戻っている最中。
「そうだよ!アジトの場所はわかっているとはいえ相手の数が未知数だし!いっそのことセミス大臣と協力して軍を出してもらわないと!」
惑星カイナに来る前に宇宙海賊カリブスに襲撃されたノヴァ傭兵団。その時には20機ほどは確認できておりアジトとなればそれ以上の数は確実と判断できる。それに反してノヴァ傭兵団のアンドアーマーは4機。数が大きく違いすぎる。そのことを気にしてピナがセミス大臣への協力を提案した。しかしその提案はリーシャによって拒否される。
「ダメ。バレる可能性が高い」
そのリーシャの言葉を補足するようにギャレンが口を開く。
「宇宙海賊カリブスの裏にセミス大臣を快く思っていないお偉方がいるんならそこは一番警戒しているはず。もし軍の動きを察知されたらセミス大臣の娘さんの命が危なくなるんじゃないかな?」
「だな。それがわかっているからこそセミス大臣も動くにも動けなかったんだろうしな」
「うう~……だったらどうしたら……この前の20機でもギリギリだったのに……」
悩むピナにバーグ。しかしその時にリーシャがチラリとギャレンを見る。その視線の意味をギャレンは理解した。それはギャレン自身も考えていたことだったから。
「……作戦は―――」
ノヴァ傭兵団はセミス大臣の娘ロア・スタバール(9歳)の救出作戦を実行する。
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「……本当にこれでいいのかな?……」
ピナは宇宙戦艦の中で心配そうに言葉をこぼす。
「あいつが行けるって言ったんだ。勝算があって言ったんだろ」
「でも!?宇宙海賊カリブスのアンドアーマーを1人で相手にするなんて!?」
ギャレンの提案した作戦はギャレンがディアマンテに乗ってアジトを強襲。相手はアンドアーマー1機での襲撃と宇宙戦艦が見えないことに怪しむかもしれない。しかしディアマンテの化け物っぷりは痛いほど身に染みて理解している相手は大半の兵力をギャレンに割かざるおえない。
そして宇宙海賊カリブスがギャレンに注視している隙に隠れていたノヴァ傭兵団の宇宙戦艦でアジトを襲撃。ロア・スタバールを救出する。
しかしこの作戦の重要なところはギャレンに集中するだろう何十機ものアンドアーマーをたった1人で相手にする必要があるということと、途中でノヴァ傭兵団の宇宙戦艦に気づくだろう敵の足止めもする必要がある。これらの作戦をたった一人でするのは普通ならば不可能。これを可能とするためには生半可ではない実力と優れた機体が必要。
「……問題ない……枷のない彼を止めることは誰にもできない……」
リーシャの言う通り。枷=守る対象がなくなった自由となったディアマンテをかけるギャレンは……無双していた。
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『何してやがる!?敵は1機だろうが!?何十機やられりゃあ気が済むんだ!?』
『そ!?そんなこと言われても!?相手が化け物すぎるんですっ!?ぎゃああああ!?』
それは宇宙海賊カリブスの船長カリブス・ラングーにとって悪夢のような光景だった。レイドール国のとある政治家と繋がりを持つことが出来てから彼は大儲け。やりたい事を好き放題にやったところで国内の情報は筒抜けのため捕まることもない。
儲けた金で大量にアンドアーマーを購入し見つけづらいアジトを建設しカリブスの人生は好調だった。ウハウハだった……悪魔が来るまでは。
『全員で囲んで殺せ!!数を活かせ!!なんのために安いアンドアーマーを買ったと思ってんだ!!』
『『『うおおおお!!』』』
船長カリブスの指示に従いディアマンテを囲んでレーザーソードなど近接で攻撃しようとする。しかしカリブスの本命は別にある。
「全艦!量子光子砲用意!」
「なっ!?しかし!?いま砲撃しては味方が!?」
「うるさい!?だったらお前がアンドアーマーに乗って奴を殺してこい!?出来ねぇんだったらつべこべ言わずに一斉砲撃だ!!」
宇宙海賊カリブスが所有する3つの宇宙戦艦から主砲としての量子光子砲が放たれる。それによって味方ごと悪魔を討伐しようとカリブスは考えた。
ドドーン!!!
「やったか!?」
放たれた3つの量子光子砲。味方ごとディアマンテを倒せたと思い喜びの声をあげるが煙が晴れたそこには味方の死体が浮かび上がりその中心で悪魔が立っていた。
『助かったよ……手間が省けた……』
その悪魔の目と合ったカリブスは身体を恐怖で震え上がらせる。
「なんなんだ……あれは。 本当に悪魔なんじゃ……」
カリブスは抵抗の気持ちが薄くなっていった。
「ふう……。この分だとあっちに戦力を割くこともなさそうだな……」
ディアマンテをかけるギャレンの無双劇は終了した。
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