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19.突撃! 魔法天文台 〜リリアンの職場訪問〜①


「まあ、こんなところか」


 アルベルトは手に着いた土を払った。目の前には土を抉っただけのトンネル、それに立派な門扉が設けられている。

 ここは、少し前にアルベルトが掘った大穴だ。山二つを貫き、途中で森を抜けて辿り着いた先は、通常であれば馬車で三カ月ほどかかる遠く離れた国。かつては交流のなかったそこへ、とある理由で急がねばならなかったアルベルトは、禁断の地とされる山にトンネルを掘って向かった。

 無事用件は済んだものの、この山は不可侵の土地。トンネルをそのままにはできない。早く塞ぐようにとアルベルトはグレンリヒトに言われてしまった。便利になって良いじゃないかという言い分は通用しなかった。国際的に問題があるからだ。

 なので渋々、アルベルトは工事を引き受けた。終わるまで絶対に王都に戻らないからと言えば、今度はグレンリヒトが渋々という顔になった。政治になんの関与もしないアルベルトが居なくても何も問題ないはずだがと思いはしたが、興味が無いからそれ以上は考えなかった。

 そういうわけで、ヴァーミリオン領で存分にリリアンとの生活を楽しみながら、少しずつ穴を塞ぐ作業をしていたアルベルト。工事を始めてから早いもので、もうひと月になる。リリアンが毎朝送り出してくれるから気合いが入ってあっという間に済ませてしまった。本当なら半年、なんなんら一年かけてじっくり進めるつもりだったのだが。


「これで魔物が侵入して来る心配は無くなりましたな」

「元よりそんなもの居なかっただろう」


 そう言えば、ベンジャミンはふるふると首を横に振る。


「ただの人である領民は、そう言われても心配なのですよ。彼らの不安は取り除いてやらねば」


 そんなものか、とアルベルトは肩を竦めた。


「あとはあちらの結果待ちだな」


 大きな扉は金属の板、生半可な力では開かないが、封はしておかないと有事の際に困る。今は仮の鍵が取り付けられているが、これは取り替える予定だ。

 扉の向こう、ナルマフ王国側では、ヴァーミリオン領から出向している技術者がミスリルの研究をしている。

 わざわざナルマフ王国で研究をしているのには理由があった。当初アルベルトがナルマフ王国に向かった時、偶然にもかの地で聖地に酷似した環境を見付けたからだ。

 聖地アジルテ・ベオ。広大な大地と山脈のすべてが魔石で出来ているとも言われるその土地は、人の地ではない。魔力に群がる魔物が跋扈しているのだ。

 魔力は人にとっても重要なエネルギーだが、その魔力を利用したくとも魔物の巣の中に人は居られない。高い魔力を使っての実験なんてもっての外だ、魔物の餌食になるに決まっている。

 その聖地とほとんど変わらない環境がナルマフ王国にあったのだ。これ幸いとアルベルトはそれを利用する事にした。

 今は使われていない小屋を綺麗に改装し、ヴァーミリオン家から技術者を派遣した。諸々の許可は、ナルマフ王がその場で即出したという。「ヴァーミリオン公の好きなように、如何様でも」との言葉付きなので遠慮はしなかった。アルベルトに遠慮するつもりは毛頭無かったが。

 潤沢な魔力を有した土地の中で、豊富な魔力を宿すミスリルの加工。どんな結果となるかアルベルトも気になっている。柄にもなく報告書を待ち遠しく感じるくらいには楽しみだ。

 魔力を付与し、加工を施したミスリルであれば、簡単には壊れない。鍵の方にも細工すればそう破られる事もないだろう。

 その開発にはそれなりに時間が掛かるはずだ。アルベルトの作業は終わっている。あとは堂々と領地で過ごせるというわけだ。

 グレンリヒトからの指示は、本来は『アジルテ・ベオの大穴を完璧に塞げ』というものだ。それは聖域から万一魔物が侵入して来きたら困るからという他に、他国から、あるいは他国への侵入路をそのままにしておけないからという理由がある。だから本当なら、扉で塞ぐ、というのは対策としては不十分だ。埋め戻すくらいはしないといけないだろう。だがアルベルトは、最初から埋め戻す気なんてなかった。せっかく掘ったのだし有効活用した方がいいと、要所要所に扉を作ったわけである。

 一番外側になる扉には隠蔽の細工をして、一見扉に見えないようにしてある。聖域に面した扉は特に頑丈にして、魔物に破られない強度にした。これはベンジャミンからの要望だった。もしもの事があったら一大事だから、と。

 そんなもしもなんて起こらないとアルベルトは思ったが、リリアンが領地に居る時に魔物がやって来たら大変だ。万が一、いや億分の一でも可能性があるなら対策しておくに越した事はない。扉に強い衝撃が加わり破損したら、強い土魔法と火魔法とが発動する仕組みを組み込んだ。扉部分を壊して侵入しようという輩を生き埋めにするものだ。山の魔力も相まって相当な火力となる見込みである。これなら仕留め切れるだろう、山の形状が変わってしまうかもしれないが。

 ナルマフ王国側の扉にも隠蔽の細工が施されている。そちら側の鍵は、ナルマフ王室が保管している。交換するもしないも自由、合鍵は作っていない。完全に管理をナルマフ王国に任せた形だ。国王がかなり狼狽していたそうだが、どうにでも好きなようにすればいいと思う。

 少し早い時間だが、作業が終わったので帰路に着く。屋敷ではリリアンがお茶をしている頃だろう、そこに混ぜて貰おうと、アルベルトは浮き足立っていた。



◆◆◆



「まあ、お父様ったら」


 くすくすと笑うリリアンの可憐な姿に笑顔を浮かべ、アルベルトはご機嫌でお茶を啜る。というのも、さっきリリアンから特別な贈り物があったのだ。なんと仕事に行きたがらないアルベルトの為に、職場に置いて楽しめるものを探したというのだ。それもリリアン自らその足で探したというから、アルベルトの感動はひとしお増した。

 リリアンとレイナードが庭でお茶しているところへ混ざったアルベルトはそれでさえ気分を良くしたのだが、そこへリリアンが「実はお父様に、贈り物を用意しているの」と言い出した時には耳を疑った。

 贈り物は、屋敷から見える庭を描いた絵だった。ヴァーミリオン家の絵師が描いたそれは、今アルベルト達がお茶をしている場所から見た景色と同じ。

 あえて華やかな季節ではなく、春になりかけの今を選んだそうだ。どうしてなのかと問うと、リリアンははにかんで


「春本番を待つ今の時期の方が、わくわくしますでしょ? それに、わたくしはいつもここに居りますから。わたくしと同じ景色を共有して頂こうと思ったの」


と、そう言った。

 アルベルトはそのリリアンの言葉に衝撃を受ける。


「リリアンと……同じ、景色を……?」


 それはまさにアルベルトが望んでいた事だ。できることなら常に側に居たいとは思うが、現実的には難しい。リリアンの行動を阻害してしまうかもしれないし、本当は一人がいいのに邪魔をしているかもしれないから近年は抑えめにしている。そんな中、リリアンの方から同じ風景を見られるようにと差し出された絵画。感涙せずに居られない。


「あ、ありが……ひぐっ!」


 感謝を伝える途中で感情が爆発し、言葉が尻切れになってしまったが、リリアンは気にしていない様子だった。改めてありがとう、大切にすると言えば、リリアンはふわりと微笑んだ。その笑顔を絵にして飾った方が、とも思ったが、それでは仕事が手に付かないだろう。リリアンの選択は理に適っていて最適で素晴らしい。

 ただ、ひとつ問題があった。リリアンに説明していた仕事というのが、もうすでに完了してしまっている点だ。


(なんという事だ……普通にやっていたら、この絵を楽しみに作業できたのか! お、惜しい事をした……)


 絶望を顔に出さないように、アルベルトは懸命に堪える。

 実際の作業は大穴に扉を付けるというものだ、絵画を眺めながらの作業は難しかっただろう。が、作業の途中なんかに眺めるのは、きっと趣があって良かったに違いない。休憩がてらお茶を飲めば、リリアンと一緒にお茶をした事になったのだ。

 どうするべきか、と笑顔の下でアルベルトは思考を巡らせる。仕事が終わったから一緒に居ようと言えば、せっかくの贈り物が台無しになってしまう。かと言ってまだ終わっていないふりをするのも嫌だった。せっかくリリアンと一緒に過ごす為に終わらせたのに、何の用も無い作業場に行くのはどう考えても無駄だろう。

 いかにこの後、無理なくリリアンと一緒に居られる理由を付けるか。それを思案するアルベルトの元に、ベンジャミンが一通の封筒を差し出した。

 いい気分だったところに水を注されて、アルベルトの眉間に皺が寄る。


「なんだ、後にしろ」

「そういうわけには」


 アルベルトが断ったにも関わらず、ずいっと出されたそれ。仕方なく受け取って目をやれば、見慣れた紋章が押されていた。


「天文台から?」


 王城の上空に煌々と星の輝く紋章は、アルベルトが総帥として所属している魔法天文台(まほうてんもんだい)のものだ。とても仰々しく見えるが、それだけ重要な施設なのだから仕方がない。

 その紋章の隣に緊急の文字があった。なんだろう、と封を破く。


「…………」


 そうして読み進めるとアルベルトの眉間の皺はより一層深いものになった。その様子にどこか既視感を覚えて、リリアンは眉を下げる。


「お父様、なにか悪い知らせ?」


 気遣うような声に、アルベルトはハッとして視線を上げた。


「ああいや、違う。そういうものじゃないから、安心していい」

「そうなの?」

「大したものじゃない。一度顔を出せと、そう書かれているだけだよ」


 リリアンに説明したのは嘘ではない。書かれていたのはそろそろ来て欲しいという要望だった。

 アルベルトが魔法天文台を訪れるのは数ヶ月に一回がせいぜいだ。なぜならほとんど用が無いから。それでもあちらはそうはいかない。アルベルトは魔法天文台の総帥で、何か新しい事をしようと申請すればトップの許可が必要だからだ。天文台へ顔を出したついでに裁可していたが、それを待っていられないらしい。まあ、今は期末だし、それもあるのだろう。予算のあれこれの書類が溜まっているに違いない。


「面倒だな」

「さっさと済ませて来ればいいのでは」


 レイナードの正論をスルーしたアルベルトは、手にしていた手紙をそっとテーブルの端に置いた。このまま記憶の端にも追いやってスルーしようという腹である。それに気が付いたベンジャミンが重苦しい息を吐いたが、アルベルトはそれすらも無視した。

 一方リリアンは、魔法天文台からの封筒をまじまじと見ている。


「あの、大体は知っていますけれども。魔法天文台は、普段はなにをしている施設なのですか?」

「研究機関だな。知っての通り、魔法を用いた様々な道具の開発をしている」


 現在魔法天文台は魔道具の開発と量産を行なっている。近年で大きく市場を騒がせたのは、アルベルトが開発した洗面台だろう。普通に水道を引いたそれに火の魔石を組み込む事で湯を出せるようにした。温度調整が簡単なこともあって、真冬などは重宝するから、今では貴族の屋敷には必ず設置されている。多少魔石を使うのにコストが掛かるが、気にならないくらい便利なのだ。

 その他にも、魔石を使う事で温度調整が簡単になったオーブンなんかも量産されている。薪を使った従来のものは火加減が難しく、慣れていないと中のものを焦がしてしまう。それでよくリリアンがお菓子作りに失敗してしまっていたので、安定した火力のものを設計した。料理人に好評となってあっという間に広まった。それの量産も魔法天文台で行われている。オーブン本体はともかく、魔石を組み込むのは魔導士にしかできないからだ。

 幼少期から魔法の研究をしていたアルベルトだったが、リリアンが産まれてからはリリアンの為の魔道具開発が中心になっていった。

 そんな風に、アルベルトが造った様々なものは魔法天文台へ持ち込まれる。そこで量産の為の改良が施されて世に出されるのだ。今の魔法天文台はそういう組織だった。

 正確に言えば、魔法天文台は魔道具を作るだけの場所ではない。魔法そのものの研究も行なっているのだ。

 既存の魔法の解析や成り立ち、魔法の呪文のなにがどのように、なにに作用するかなど。どちらかというと天文台の本質はそちらなのだが、現在それを研究している魔導士は少ない。実はアルベルトの本来の研究もこちらが主だ。魔道具の開発はあくまでリリアンの為に行なっているに過ぎない。

 魔法天文台は、ある時期まではただ魔導士達の集まりというだけの組織だった。それが変わったきっかけが、アルベルトだった。

 魔導士は基本的に魔法陣を用いて魔法を起こす。が、彼らはその魔法陣に使われている紋様のなにが、どういう効果をもたらすのかを理解していなかった。彼らは本当に、ただ教えられた知識だけを継承していたのだ。

 アルベルトはその魔法陣を分析した。そうしてその魔法陣に使用されている紋様が、どういった意味なのかを割り出した。その作業を進め数々の紋様を解析した。

 その結果として紋様を組み替え、新たな魔法陣を魔導士が自由に創れるようになった。

 元々魔法陣とはそういうものだ。構成を組み替えて様々な魔法を発動させる。なのに現在では、誰もそれが出来なかった。

 組み合わせ次第では、既存の魔法を別のものへ変化できる。それが分かったら魔法そのものに対する意識が変わっていった。魔導士達は魔法の可能性に気付き、それでようやく研究内容が本来のものへ移行していったのだ。

 その結果を纏めただけだったというのに、それが魔法業界に激震を与えるものだったせいで、アルベルトは魔法天文台のトップ、総帥なんてものにさせられてしまったわけだ。

 ただそれでも、基本的にはなにも変わらなかった。魔導士は自分の興味のあるものしか探求しない。今までと変わらず、ただ自分の研究を続けるだけだ。

 そういうわけでアルベルトも思う存分、リリアンの為の魔道具開発に勤しんでいる。魔法天文台の総帥、という立場はそれなりに活用できる場面もあった。とは言っても面倒なものは面倒なので、実際の運営は部下に代わって貰い、アルベルトが口出しする事はない。名目上のトップを決め込んでいる。

 そんなアルベルトの元に届いたのは、その運営を任せている部下からの手紙だった。そろそろ決裁の必要な書類が山になっているから、顔を出して欲しいとあった。

 仕事が済んだからリリアンと過ごすつもりだったアルベルトとしては、できれば出掛けたくない。が、魔法天文台は国営の施設だ、しかも今では魔道具開発の要所として、経済的にも国力に直結するまでになってしまっている。後回しにすると、国王である兄からの小言が増えるだろう。

 どうすればリリアンと過ごしつつこの余計な要件を済ませられるだろうかとアルベルトが思案していると、リリアンが瞳を輝かせているのが目に入った。


「リリアン?」

「お父様、魔法天文台は、無関係の人間でも見学のできる場所でしょうか?」


 思わぬ言葉にアルベルトは瞬く。


「何か気になるものでもあったか?」

「ええ。いつもお父様が魔道具を作って下さっているでしょう? それがどういう風に作られているのか、いつか見てみたいと思っていたの」

「なんだ、それなら私の工房に来るといい。なんなら今からでもいいぞ、リリアンならいつでも大歓迎だ。好きなだけ見学するといい」

「そんな、お父様の作業を邪魔するなんて出来ません」


 本気で心の底からそう思っているのに、真面目なリリアンはつれなかった。が、そんな心根は素晴らしく尊い。


(ああリリアン、そんな風に気を遣ってくれなくたって良いのに! く、くそ。どうしてもっと我儘を言ってくれないんだ、リリアン。聞き分けが良過ぎて辛い。娘が淑女の鑑過ぎて、辛い)


 リリアンの尊い精神に触れ、浄化される思いでアルベルトは拳を握り締める。素直なリリアンは言わずもがな素晴らしいが、周囲を顧みない要望に振り回されたいと思うのも事実。普段リリアンの言動に翻弄されまくっている自覚の無いアルベルトは、ただただリリアンの為になにかしたいという思いだけでそんな事を考えていた。


「別に邪魔だなんてことないぞ」

「だめです。お父様の気が散ってしまうでしょう?」

「うぐっ」

「さすがリリー。その通りだな」


 頷くレイナードをぎろりと睨み付けるが、息子はどこ吹く風だ。


「それで、魔法天文台の見学をと?」

「そうよ、お兄様。それならばわたくしの目的も達成出来るし、お父様の邪魔にもならないでしょう?」


 いい考えでは、と首を傾げるリリアンに、アルベルトは真剣な表情で大いに頷く。


「素晴らしい。じゃあ早速行くか」

「えっ?」

「魔法天文台だ。見学したいんだろう?」

「そう……ですけれど。えっと、お父様が案内して下さるの?」

「勿論」


 当然だろう、と今度はアルベルトが首を傾げたものだから、リリアンはぱちぱちと瞬く。アルベルトの邪魔をしないようにと思っての事だったのに、そのアルベルトが案内をしてはあまり意味がないような。

 それを言おうにも、それ以外になにがあるんだと言わんばかりの父親の表情に言葉が出て来ない。


「見学自体は問題ないんですか?」

「問題ない。この私が許可するんだ、何が問題になる?」


 兄と父の会話もなんだかおかしい。


「妙な輩であれば許可できんが、リリアンであれば問題ない。それにどの道、申請書に印を押すのは私だ。押さないはずがないだろう」


 そういう事を聞きたいのではない。施設に関係の無い部外者が立ち入っていいのか、それが知りたいのだが。


「確かに」


 確かに、だけどそうじゃない。リリアンはレイナードの横顔をちらりと伺った。兄も、やはりそれ以上になにかあるかという顔で頷いている。いつもの事とは言え、いいのかしらと思わなくもないリリアンである。


「早く来いと言われているし、準備してすぐに出掛けよう。リリアン、それで良いか?」

「ええと、わたくしは構いませんが……」

「なら急ごう。持ち物を纏めてくれ、慌てなくていいからな」

「ええ、はい」


 席を立つアルベルトにリリアンが頷くと、レイナードもまた椅子から立ち上がった。


「僕も同行しても?」

「好きにしろ」


 言い捨てるようにして、アルベルトは部屋を出て行ってしまう。諸々準備をするのだろうと、リリアンはそれを見送った。代わりに兄を振り返る。

「お兄様、結局週の半分は王都ですわね」

「そうだな。マクスがあれじゃ仕方がないから」


 吸血鬼騒ぎの際、王城からレイナードが居なくなった影響でマクスウェルの業務がパンクした。それ自体はレイナードのせいではないが、居ない期間が長くなるとそういう事態が起きてしまうと分かったから、たまに城へ顔を出す事にした。それはいいのだが、一週間不在で書類の塔が三つ、五日で塔が二つ出来上がってしまう。せめて五日に一度は来て欲しいと言われたレイナードはその通りにしたのだが、塔となった書類を片付けるのに丸一日かかる。移動を合わせると三日は外出している計算だ。

 レイナードとしても、リリアンと離れていられるギリギリのライン。当初の予定から休暇は長引いているが、リリアンが王都に戻らないんだから仕方がない。そういう意味でも双方妥協した範囲だった。マクスウェルにじとりと睨まれたが、文句は口に出さない。言えばレイナードが王都へ来なくなると分かっているからだ。

 それに対して、レイナードは一切悪いと思った事はない。だいたい結構前から言っているのだ、レイナード以外にも、信頼出来て腕の立つ補佐官を置け、と。もしもレイナードが身動き出来なくなる事態が起きたら、こんなものでは済まないのだ。


「わたくしもお城へご挨拶に行きたいわ」

「いいんじゃないか? 後で父上に伝えよう」

「ええ」


 そうして一家揃って王都へ戻った。リリアンを中心とした会話で馬車の中は実に穏やかだ、いつもの光景だった。



◆◆◆



 リリアンが城へ行くというので、アルベルトはそれに着いて行く事にした。領地からの土産を手に王城の廊下を進む。

 王族のプライベートなこの通路には官僚は立ち入れず、従者だけが同行出来る。今はヴァーミリオンの一家と、ベンジャミン、シルヴィアだけが付き従うのみなので静かなものだ。

 そのまま何にも邪魔されず、王と王妃の元へ向かう。来訪を告げてあったからか、二人はテーブルについてお茶していた。そこに三人も加わる。


「リリアン、領地での生活はどうかしら」

「わたくしは、つつがなく過ごしておりますわ」


 たったのひと月だが、これだけの期間リリアンが王都を離れるのは珍しい。レッスンをしないのもなかなか無かったから、王妃シエラと会わない期間があるのもほぼ初めてだ。たったひと月だったけれど、なんだかそれよりも長い間、会えていなかった心地がする。伯母の変わらない様子に、リリアンはどこかほっとした。


「王都もあれ以来、落ち着いているようで良かったです」

「そうね。随分な騒ぎだったけれど」


 シエラはリリアンの言葉に微笑んだ後で肩を竦める。リリアンの言った「あれ以来」というのは、ひと月前にあった吸血鬼騒ぎの事だ。被害はそれなりにあったし、騒動自体もなかなかの規模だった。

 もしやアルベルトが関与しているのでは、と疑われたが、実際には魔物による無差別の襲撃事件だったと分かり、元凶の魔物が討伐された事で事件はすぐに集結した。が、だからと言ってそれで終わり、というものでもない。


「色々対応に追われたわ。マクスが、だけど」

「そうですわよね……」

「やはり魔物が出るとなると、どうしてもね」

「お父様とお兄様に伺った限りでは、大きな魔物だったとか。どうしてそんなものが王都に?」

「それは分からず仕舞いよ、残念ながらね」


 シエラは小さく首を横に振った。それに、「まあ」とリリアンは眉を下げる。リリアンの不安そうな様子を案じたアルベルトは、努めて優しく声を掛けた。


「大丈夫だリリアン、あんなもの、そう現れないから」

「だと、いいのですけれど」


 リリアンは白い頰に手を添える。


「巨大な蝗に、大きなコウモリ。そんなものが立て続けに現れたとあっては、やはり民は不安に思うことでしょう。せめて原因が判れば、と思ったのですが」


 それに答えたのは王のグレンリヒトだ。持っていたカップを皿に戻し、姪に向かった。


「魔法天文台の魔導士に調査を命じているが、これといった原因は見つかっていないそうだ。強力な魔物が縄張りを移動したとか、そういう痕跡も無いとか」


 グレンリヒトがそう言ったのに、へえ、そうなんだ、とアルベルトは心の中で相槌を打った。そんな指示が出ていたとは初耳だ。


「まあ。魔法天文台の魔導士でも、分からないのですか」

「そうだな、残念な事に」


 と、そこで一斉に視線がアルベルトに集まる。


「私は何も知らん」


 そう事実を述べると視線が外れる。同時に全員が溜め息を吐いた。なぜだ。


「なんなんだ」

「いや、何か掴んでいないかなと思ったんだが」

「兄上がそんな命を出していたというのを、私は今知ったんだが」

「それはそれで問題がある」


 はあ、ともう一度、グレンリヒトが溜め息を吐く。なんだかお疲れのようだ、顔色は悪くなさそうだが。

 ならばこれで元気になるだろう。話も一段落したようだしと、アルベルトは持参した土産を取り出した。


「兄上にこれを」

「これは?」


 机にごとりと載せられたのは布地で包まれた長いなにかだ。置かれた時の音から、重量があるのは理解できる。少しめくれた布地の下に見えるのは金属の光沢だ、なんだか青い気がする。

 まさか、とグレンリヒトは思わず腰を浮かした。


「ミスリルか!?」

「ああ。ミスリルで作った剣だ」


 グレンリヒトは「おお」と声を上げて、布地ごとそれを手にした。その反動で、ばさりと布地が落ちる。そこから現れたのは青い輝き。その輝きはもうリリアンは見慣れてしまったが、王城のシャンデリアの明かりを反射する長剣は見事だった。リリアンの隣、レイナードも息を飲んでいる。

 鞘も、剣の柄も全てがミスリル製。ミスリルの短剣一本で鋼鉄製の長剣が二十本は買える。それを全身、鞘までもをミスリルとしたこの長剣。しかもこの深い青色は、内包した魔力量が多い証拠だ。品質の良い上等なミスリルだけを使っているとなると、どれ程の価値になるか。

 グレンリヒトが柄を握り鞘から刀身を抜けば、彼の魔力に反応して剣が輝く。


「おお……美しいな! それによく手に馴染む」


 シンプルな造りだが、磨かれた刀身は美しい。掲げれば刀身はシャンデリアと陽の光とで複雑に煌めいた。少し眩しいくらいだ。戦場であれば無駄に目立ってしまうかもしれないが、それでもいいと思えるくらいには美しい。これはより多くの者に見せるべきだろう。武具というよりも、もはや芸術品と呼んでも差し支えなく見える。

 刀身には、美しい彫刻が施されている。模様ひとつ取っても見事なものだ。それがまた光の加減を変える。角度を変え、煌めく様はいつまででも眺めて居られた。

 その刀剣から目を離せずにいるグレンリヒトを見たアルベルトは腕を組み、ふふん、と得意げにしている。


「私がこの手で作ったものだからな、当然だ」

「魔力も良く通りそうだな」

「それは保証する。ナルマフで造られたミスリルの中でも、特に良いものを使ったから」

「陛下、少し練習された方がいいかと。かなり魔力の通りが良いので」

「そうなのか? それは楽しみだな!」


 レイナードが言うのに笑顔で返したグレンリヒトは、剣をうっとりと眺めている。


「格好いい……」


 その兄の姿にアルベルトは満足して頷いた。

 グレンリヒトの好みは熟知している。この剣は特に彼好みの意匠を組み込んだ。

 全体のデザインは、過去に見た宝剣を参考にしてみた。それは水晶でできた儀礼用のものだったが、粘りのあるミスリルならば問題ないだろうと選んでみた。思いの外うまく形になったので、そのまま採用したのだ。なかなか良く出来たとアルベルトもそう思っていたので、グレンリヒトが気に入るのは当然だろう。

 満足げなアルベルトと、きらきらした剣をきらきらした目で見るグレンリヒト。その様子をジトッと見る者があった。


「ねえ、わたくしのは無いの?」


 シエラだ。彼女は言うとにっこり笑んで、とんとんと人差し指で机を叩く。


「良いわよねぇ、ミスリルの装飾品。今日のリリアンの髪飾りもそうなのでしょう? 他の金属でも宝石でも出せない青色、素敵だわ。既存の物じゃ物足りないなあって思っていた所なの」

「そうなのか」

「ええ、そうなの」


 シエラはにこにことアルベルトを見つめる。そんなシエラを無視していたアルベルトだが、リリアンが伺うようにこちらを見ているので、仕方なく内ポケットから小箱を取り出した。


「あら! ありがとう」

「…………」

「お父様ったら」

「別に、出し渋っていたわけじゃないぞ、リリアン」


 渡したくなかったわけでもない、シエラの圧がなんだか苦手なだけだ。そう弁明するも、娘からは仕方がないなあ、という視線を送られてしまった。遺憾である。


「青い薔薇のブローチ……! 凄いわ、素敵じゃない!」


 そんな父娘の様子はさておき、いそいそと小箱を開けたシエラは歓声を上げる。白い箱の中央には、見事な薔薇が咲いていた。花弁を作るのはミスリルで間違いない。


「ね、どう、リリアン」

「ええ。シエラ様にとっても良くお似合いですわ」


 差し出された箱を覗き込むリリアンも、素晴らしいわと頰を紅潮させる。

 咲き掛けの、花弁が綻ぶ間際の薔薇は控え目ながら美しい。光沢は金属そのものだが、それが花弁の瑞々しさを表しているようで良かった。

 このブローチは、リリアンが受け取った鈴蘭のものよりもボリュームがあった。手のひらよりも一回り小さいが、細工が見事なのもあってより豪奢に見える。


「これも、お父様が?」

「ああ、まあな。仮にも王妃に半端な物を渡すわけにもいかないだろう」


 半ば呆れた心地で、リリアンはそうなの、と溢す。鈴蘭のブローチも今着けている髪飾りも、とても綺麗で溜め息を漏らしてしまうくらいだ。けれど、この薔薇はそれ以上に美しい。アルベルトのこういった魔道具製作の腕前は分かっているつもりだったが、実際はリリアンの想像以上だったようだ。

 思わず見入っているリリアンの前で、アルベルトが解説を始める。


「魔力を通すと花弁が開く仕組みを施してある」

「本当? 見てみたいわね」


 王妃ではあるが、シエラは魔法が使えない。魔力はあっても術式をうまく行使出来ないのだ。だから魔法が必要な魔道具は使えない。

 が、アルベルトはそれも織り込み済みだ。


「これは君でも使えるように調整している」

「え、そうなの?」

「ああ。このミスリルが思っていた以上に品質が良かったから出来たんだが。花弁のミスリルが君の魔力に反応して、中央の魔石の魔法陣を発動させる。魔石の魔力を放出させる魔法陣だ。その魔力で本来の機能が発動する」

「へえ。良く分からないけれど、凄いじゃない」


 せっかく説明したというのに、シエラはそんな反応しかしない。少しむっとするが、まあ、魔法に興味が無ければこんなものだろう。


「なら、魔力を込めればいいのね?」

「そうだな」

「少しくらいなら、訓練したからなんとかなると思うけれど」


 言ってシエラはブローチを手に乗せ集中する。じわりと熱が移るように、ブローチに魔力が注がれていった。


「まあっ……!」


 それにブローチが反応を示す。淡く花弁が光ったと思ったら、それがゆっくりと外側に倒れていく。本当に花が咲く瞬間のようだ。シエラも正面からその様子を見ているリリアンも、目を丸くして見入る。


「すごい細工……青の薔薇だなんて、本当に素敵」


 そのうちに表情が驚愕から恍惚としたものに変わっていく。ほう、と息を吐くのは、心から魅入っているためだろう。リリアンのこの姿が見られたのなら作って良かった、とアルベルトは頷く。同時に同じものをリリアンの為に準備しようと決めた。この青い薔薇のブローチは試作も兼ねているのだ。うまく機能しているのを確認出来て良かった。

 そんな事とは知らないシエラは、うっとりとブローチを眺めている。


「お世辞抜きに、本当に綺麗だわ……。アルベルト、お礼を言うわ。これは素晴らしいわね」

「まあな」

「しばらくは机に置いて眺めようかしら。ところで、これはどういう魔道具なの? 花弁が開くだけ?」

「そんなわけないだろう」


 言うと、アルベルトはブローチに向けて手をかざす。


「花弁が開くのは第一段階。そこからもう少し魔力を強くすると、本来の機能が発動する。これがその機能だ」


 アルベルトは軽くブローチに魔力を注いだ。すると、ブローチの中央から光が溢れる。


「光った!」

「そうだな」

「…………」

「…………」

「え、それだけ?」


 アルベルトが光らせてから、ブローチには変化が見られない。しばらく待ってみてもそのままだ。何かもっと違う——例えば、色が変わるとか他の花になるとか——変化が見られると思っていたシエラは拍子抜けしてしまう。

 それに対し、アルベルトは意味が分からないと首を傾げた。


「それだけだが?」

「あ、あら、そう」


 凄いが、なんだかがっかりするような。損した気分になってしまったシエラは、光を発するブローチを手にしたまま眉間に皺を寄せる。


「これに、何の意味が……?」

「ブローチ型の非常灯だ。緊急時に便利だろう?」


 言い切るアルベルトはやはり得意げだった。

 用途がかなり限られそうだが、確かに便利は便利かもしれない。常に侍女が付き従い、シエラの周囲の明かりは落とされたりはしないけれど。

 ただ、とにかくこのブローチは美しい。忙しい合間に鑑賞し、気分転換するにはもってこいだ。純粋にありがたく思い、シエラはもう一度感謝を述べた。

 それで要件は済んだので、レイナードを残してアルベルトとリリアンはその場を辞す事になった。挨拶を交わして部屋を出て行く二人を見送る。

 それからグレンリヒトとシエラは、改めて手元に視線を落とした。


「こういうのは、良い仕事をするな、あいつは」

「本当にねぇ」


 その視線の先は、ミスリルの土産だ。うっとりと眺めるその気持ちはレイナードにも理解できた。

 レイナードが使っているミスリル製の武器〝リベラ〟も、二人に贈られた物も、本当に見た目は美しい。ミスリル独特の青はそのままでは深い海の色だが、一度魔力を注げば、内側からそれが変わっていく。明るいそれは空の色だ。ナルマフ王国では魔力を持っている者が少ないらしく、もっぱら魔石を使って属性を付与していたらしい。その場合には、ミスリルはこんな色にはならないそうだ。

 アルベルトの作った宝剣を手にしたグレンリヒトは、すぐにその威力を把握した。トゥイリアースの国王は周辺諸国と同じく国主であり国守となる。有事があれば民を守る為、最前線に立つ必要があった。グレンリヒト自身、相当な魔法の使い手でもあるので、それなりの武器を持っている。魔導士にとっての杖代わりとなる愛剣は、国一番の鍛治師に造らせたものだ。グレンリヒトの為だけに打たれ、彼の使う魔法の威力を増幅させる。マクスウェル同様、火の魔法を込めて振るう剣。それは王の名に相応しい高火力を誇る。

 それを可能にさせるのが彼の愛剣だった。が、今手にしているミスリルの剣は、それと比べ物にならない魔力を漲らせている。これはミスリルそのものの魔力だ。

 ミスリルの魔力は他の魔力と反応すると、それに取り込まれて増幅する。間違いなく、これを使えば今以上の威力を出せるだろう。

 見た目は綺麗だが、中身はそうではない。これらはまるでアルベルトのようでもあった。見た目に反してその実とんでもないもの、という意味で。


「物は作り手を反映するというのは、本当でしょうか」

「……かもなぁ」


 甥の言葉にグレンリヒトは遠い目になるのを止められなかった。会話を聞いていたシエラも、つい美しい薔薇の向こうを見るように視線を逸らしてしまっている。

 この剣は強力過ぎて、普段使いはできないだろう。見た目がとにかく良いから、儀礼用にしようとグレンリヒトは決めた。決して見せびらかしたいわけではない。


「悪いレイ、待たせた」


 そうしているとようやくマクスウェルがやって来た。レイナードは扉の方へ視線を向ける。


「遅かったな」

「ああ、大臣に捕まって、な……なんっ」


 レイナードを見た後、ちらりと室内を見渡したらしいマクスウェルの視線は、ある一点に向かうとそこから動かなくなった。


「なんだあれ格好いい!!」


 そうして出たのは、率直な思いだった。マクスウェルは彼の父親の手元から視線を動かさず、つかつかと真っ直ぐそちらへ向かう。


「え、何、これ。え? 何これ?」

「凄いだろう、ミスリル製の剣だ」


 グレンリヒトが胸を張るようにしていったのを横目に、マクスウェルは鞘と並べて机に置かれたそれをまじまじと眺める。


「うわ、すげぇ……格好いい……」


 魔法の属性だけでなく感性も同じなのか、マクスウェルとグレンリヒトの趣向は似通っている。グレンリヒトが良いと思うものはマクスウェルも良いと感じるのだ。だからこの剣は、マクスウェルにもとても魅力的に見えた。

 刀身の中央には複雑な紋様が刻まれている。ただの彫刻のように見えるが、この模様はひとつひとつが魔法陣を構成するものなのだ。緻密なそれは一見して魔法陣のようには見えなかった。アルベルトが組むのはただの魔法陣ではない。リリアンの身を飾るのに相応しくしようとした結果、そのまま芸術品にできるくらい美しい細工になったのだ。

 職人顔負けのその細工が刻まれた刀身は、それだけで価値があった。鞘の方の意匠も立派だ。素材がミスリルというだけでなく、細工のおかげでこの剣の価値はかなり高くなっている。


「わたくしのもあるのよ」

「それもミスリル製?」

「ええ」


 ブローチを見せつけてくる母親は得意そうに頷いた。美しい花弁を持った花は王妃の風格に相応しかった。これにも緻密な彫り物がされているのだろう。

 両親それぞれが青く輝く工芸品を手にしている中、ぽつりとマクスウェルは呟いた。


「え、俺のは?」

「さあ」


 レイナードは首を傾げる。


「さあ、ってなんだよ。レイ、何か聞いてないか?」


 そんな事を言われても、レイナードにはまったく心当たりがなかった。


「僕は何も。多分、マクスの分は無いんじゃないかな」

「なんでだよー! なんで俺のだけ無いんだよー!」


 マクスウェルが頭を抱えて嘆く。こんなに凄いものを見せられて、自分だけ何もないというのは耐え難い。

 このひと月の間で、レイナードが貰ったという新型の武器もマクスウェルは見ている。残念ながらその〝リベラ〟はマクスウェルには扱えなかったが、自在に使いこなすレイナードが羨ましかった。

 どう考えても、形状が変化する剣は格好いい。それからこの机の上の剣も。


「なあレイ、叔父上に言っておいてくれよ。俺も新しいすごい剣が欲しい!」

「言ってもいいけど、無駄だと思う。マクスの剣を作る理由が無いから」

「なんでだよー!」


 その後も、欲しい欲しいとマクスウェルは煩かった。そんな息子を窘めるでもなく、各々アルベルトからの土産を眺めるグレンリヒトとシエラ。

 混沌とする空間で、一人レイナードはこの後の予定を思い返していた。



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