表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE・新聞配達員  作者: スコウス
1/2

第1話 進路



やっと高校を卒業した19歳の秋。

留年したのに、そのまま友達で居てくれる

同い年の友人達。




特に進路も決めていなかった。

親にも先生にも友人にも飼っている金魚にも

誰にも私が次に何をするべきかを言う者は

現れなかった。




幸運だ。

信じられている証拠。

もしくは諦められている証拠。

何をしても良いし、何もしなくても良い状態。




そんな責任と責任のちょうど間に

「何もしなくても良い」という隙間が

あったなんて。

居心地が良いので、しばらくそこで考えに

考える。





「次は何をしようか?」





じっくり腰を据えて考える。

石のように布団にくるまって考える。

寝て起きたらまた考える。




寝てるだけなのにお腹が空く。




でも私はまだ若くて、

自分には色んな事が出来ると

まだ思っていた。まだまだ信じていた!

何もしていないのだから当然である。

頭の中では何でも出来る!




やれることは無限にあるのに、

まだ何一つやっていなかった。




今日も次は何をしようかと考えるだけの

一日になるだろう。

きっと明日も。





天気の良い日は公園でギターを弾き

一人に飽きたら友達の家に行く。

刺激が欲しくなったら電車に乗って遠くへ行き

傷ついたら家に帰る。

そして母親の手料理を断って、外で牛丼を食べた。





「物心」とは無縁の日々。

しかし先立つ物が必要になるのが人生のことわり。

自分の全財産が入っている缶を開けた。

五千円札が小銭達の上で、Sの字になって眠っていた。






そんな毎日。





私は友人達と車の中でビールを飲みながら歌い

そして歌い飽き、

タバコを吸って吸い飽きて

お腹が空いたけど空い飽きたので、

コンビニに入った。




「そうだ、バイトでもしよう。」




大きな独り言を唱えた。




行動的になっていた私の波に

タイミングよくアルバイト情報誌の発売日が

重なってきた。




コンビニの入り口付近に堆く

山積みのアルバイト求人雑誌。

1冊200円。




この200円の投資がまさか、

この後の人生を大きく変えるとは

思っても見なかった。




そんな人生の幕がようやく上がったような

気がしただけの、始まりのお話。




〜つづく〜


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ