私は公爵令嬢ですから。
(だいぶ)遅くなりました。
かなりな長文です。
後、この先の話の布石が隠れています。
お楽しみに!
久し振りに、俺は嫁3人と王都を歩いている。
「こうやって4人で歩くのは久し振りね。」
「そうね。ミアがリスのダンジョンと張り合うから。」
「シア。私としては楽しいから大丈夫よ。」
「そう?」
「ダンジョンを作るのは楽しいの。しかも競う相手もいるから最高よ。」
「そうなのよ。こうなると、此処にダンジョンを設置したシオンには感謝よね。」
「どうも。」
「とりあえず、冒険者ギルドに行ってみるか?」
「そうね。私達って自分達のダンジョンか、シオンのダンジョンか、王宮しか行かないものね。」
「ミアの言う通りだわ。」
「私も賛成よ。」
「じゃあ、行き先は冒険者ギルドな。」
「「「はい。」」」
因みに、俺達のギルドカードは、普通に所持していると、年齢の所とかが300歳とかになるから、定期的に潜り込ませた眷属に改竄をして貰っている。
つまり、俺達は永遠の17才という訳だ。
(おいおい。)
(どういう意味だ?)
(分からない人には教えませ~ん。)
(おい! ……返事をしろ!)
黙りか。
意味が分からん。
「どうしたの、シオン。」
「いや、何でも無い。」
「そう。」
「それにしてもシオン、ありがとう。ミアやシアとお揃いの装備~。」
まあ、俺達の装備もリメイクした。
俺は今風にした黒基調の侍系和服に、足装甲に、腰に1本の日本刀。
ミアも、今風にした緑基調の狩人系で、背中に弓、腰の左右に短剣。
シアも、今風にした青基調の大正時代系袴で、背中に薙刀。
リスも、今風にした赤基調の軽皮鎧の騎士風と腕装甲と足装甲で、背中に長剣。
「シオン様、遅くなりました。」
「セチア、待っていたぞ。」
セチアも、今風にした紫基調の忍装束風で、腰の左右に小太刀。
……と、いう外見になっている。
「これで全員揃ったし、冒険者ギルドに向かうぞ。」
「はい。」×皆
冒険者ギルドに到着して中に入る。
相変わらず、冒険者ギルドは不思議な間取りだな。
簡単に言えば、市役所と酒場が隣同士だ。
俺達は、依頼書が貼られている所に行ってみたが、美味しい依頼は当然、無かった。
まあ、今、午前10時だもんな。
……日本の場合だとな。
「やっぱり、大した依頼は無いな。」
「そうですね。」
「それじゃあ、森の中を適当に彷徨いて狩るか。」
「はい。」×皆
適当に東の森に来たが、ゴブリンしか出て来ないぞ。
どうなっているんだ?
「シオン、可笑しいわ。」
「そうだな、ミア。シアはどう思う?」
「確かめる必要は有るわ。リスはどう思う?」
「私もそう思います。もっと奥まで行くと分かるかも。」
「そうですね。私もそう思います。」
「リス、セチア。俺も同意見だ。奥に行ってみよう。」
「はい。」×皆
俺達は奥に行ってみたが、そこには1000を越えるゴブリンが居た。
「スタンピード級な規模の集落だな。」
「ええ。どうする、シオン。」
「勿論、殲滅だ。たまには、実戦をしないとな。」
「久しぶりに動くわよ。」
「私、大丈夫かな?」
「リス、大丈夫よ。比較対象が私達だから分かり難いでしょうけど、貴女の強さは地上なら上位に入る強さよ。」
「分かったわ、シア。」
「それじゃあ、行くぜ!」
「はい!」×皆
ミアは、魔法弓で魔法矢を放ち、途中で分裂させて一射で軽く50匹以上は射止めている。
シアは、普通に歩きながら、薙刀を縦横無尽に回転させて、ゴブリンを切り刻んでいる。
リスは、戦国武将の無双ゲームみたいに突っ込みながら、剣の届く範囲のゴブリンを屠っている。
セチアは、ゴブリンの集団に隠れている回復役のクレリックゴブリン、魔法攻撃役のソーサラーゴブリン、遠距離攻撃役のアーチャーゴブリンを見つけては、静に後ろに回り首をかき切っている。
俺は、移動しながらゴブリンを斬り、単体で強いジェネラルゴブリンを斬り殺し、ゴブリンキングを探している。
探している内に、集落に居たゴブリンは殲滅したようだな。
残りは、集落の奥に有る洞窟だ。
今の所、集落には犠牲になった女性は居ない。
「うぇ~。」
「凄い匂いだわ。」
「凄く臭いです。」
「……居ますね。」
「そうだな。」
洞窟内を進むと、大きく開けた場所が有り、そこには、ジェネラルゴブリン8匹とゴブリンキング1匹が居た。
「ミア、シア、リス、セチアは、ジェネラルゴブリン2匹ずつな。俺は、ゴブリンキングを貰うからな。」
「どうぞ。」×皆
勿論、俺達の圧勝だ。
俺達は、ゴブリンの集落の後始末の処理が終わると、冒険者ギルドに報告すると、受付嬢には驚き、冷静な顔になったと思ったら叱られた。
そんなスタンピード級のゴブリンの集落をたった5人で行くなんて、と。
そして、ギルドマスターからの呼び出しを受けた。
「2階の執務室にまで響いたよ、彼女の怒鳴り声は。」
「それで用件は? するべき報告は全て済んでいるぞ。」
「いや、普通にギルドマスターとしてお礼が言いたくてな。スタンピード級のゴブリンの集落を殲滅してくれてありがとう。」
「気にするな。発見した以上は無視するなんて出来ないからな。」
「そう言ってくれて助かる。それでお礼だが、これを受け取って欲しい。」
「コレは?」
「ギルドマスターの裁量権で出せるギリギリの報酬だ。」
「分かった、受け取ろう。」
俺は受け取った小袋をマジックバッグに仕舞う。
そして、俺達は冒険者ギルドを後にして、折角、手に入れたお金も有る事で、美味しい料理を食べる事にした。
それにどうせならと、一旦王城に戻って使いを出し、俺達は店のドレスコードに合わせた服を来て、王城から馬車で向かった。
少し早いがディナーにした。
「ようこそ、お越しくださいました。シオン=ラングァーデ様とお連れ様ですね。」
「ああ、そうだ。」
「席の用意は出来ております。ご案内いたします。」
俺達は受付に案内されて席に着く。
そして、雑談しながら出された料理に舌鼓していると、周りからは感嘆な声が漏れていた。
「何て素敵なドレスなんでしょう。」
「宝飾品も素晴らしいですわ。」
「それに、食事の洗練された所作は惚れ惚れしますわ。」
「全くですな。それに、同席されている男性が羨ましいかぎりです。」
「私も同感ですな。もし、決まった方が居られないのなら、是非ともお話をしたいものですな。」
帰り際に、揉め事になりそうになったが、店の者が防いでくれたので、事なきを得た。
後で、店の者達で使ってくれとお礼の白金貨3枚渡したら驚いていた。
そして、シアが俺達の雑談の中から聞いた前世の「学校」に興味を持って、色々な下準備をして3年後に、名目を上げて王都に出来ていたスラム街を潰して、周りの建物とかも買収して必要な土地等を確保した。
スラム街に居た者達は、学園を建てる時の作業員として雇い、学園が出来たらテスターとして雇った。
更に、採用された教員から実際に読み書き計算を教えて、充分なデータが取れた後は、噂を聞いて集まった様々な業界から雇用の話が舞い込んだ。
勿論、このまま学園の用務員を希望する者もいた。
まあ、読み書き計算が出来る平民は、良い意味で使い勝手が良いからな。
当然、こんな「公共事業」とも言える事に王族から許可を取らないいけないから通した。
そんで学園規則は俺達と王族で作ったから、これで調子に乗った馬鹿貴族も黙るだろう。
こういう時に邪魔されたくないから、重役には俺の関係者を潜り込ませている。
宰相補佐とか、財務次官とか、近衛騎士副団長とか、何処其処な公爵家執事とか、何処其処な辺境伯の戦友とか、な。
そして、箔付けで皇太子の年齢に合わして開校する。
従来の伝統を重んじながらも、前世での学校の良さも取り入れた学園は、皇太子もやり甲斐を感じたみたいで大いに楽しみ学生として過ごしたみたいだ。
別棟には平民用も建てた。
貴族用の棟と平民用の棟の間に、講堂とか食堂等を用意した。
食堂は2階建てで、上は貴族用で下が平民用になっているが、貴族に呼ばれた場合は、その平民は2階に行く事が出来るし、下の席が空いている場合に限り、貴族も下で食事が出来る。
そんな中、シアは君臨すれど実務は丸投げ。
総理事長シアを知っているのは、学園内では理事会の者達だけになっていて、「総理事長は誰?」みたいになり、学園の七不思議扱いだ。
後、俺達は、その都度の調整が大変だったが、6歳児から始めて王家の隠し子として、公爵家にはシアが、侯爵家には俺が、辺境伯家にはミアが、伯爵家にはリスが、子爵家にはセチアが書類上の養子になった。
そんで、数年後にはセチアは早々に俺の侍女見習いとして俺の専属候補に収まった。
ミアも、1人だけ遠いのは嫌だと言って、リスの家に居候している。
しかし、そんな子供の頃からやってきたお陰で、引き取ってくれた各家の人達とは仲良くしているし、ミア達も堅苦しい王族以外の暮らしを楽しんでいたり、お互いの領地に行って遊んだりした。
そして、面倒事を引き受けた各家には当然、色々な特典を渡した。
要職優先権や、皇太子の子供との婚約優先権とかな。
そんな中、恋愛物語が好きだったシアには、書類上で11歳の時に同じ年の第3王子と婚約して貰った。
実は、内々で国王に泣き付かれた。
第3王子を矯正して欲しい、と。
そこで俺は、第3王子の矯正が駄目だったら、毒杯や病死でも良いという了解を貰った訳だが、流石に、もう自分達と血が繋がっているという感覚は無かった。
そして、創造神の秘蔵データから異世界恋愛物語にすっかりハマったシアは、張り切っていた。
そして、学園を建てて8年後に俺達は入学して学生気分を楽しんでいた。
因みにシアは、表では生徒会会計で、裏では「総理事長」をしている。
俺は、副会長で、ミアは書記で、リスが庶務で、セチアが風紀委員長だ。
それで、第3王子は、名前だけの生徒会会長なのだが、見事に異世界恋愛物語の馬鹿王子を素でやっている。
家庭教師は、少しでも厳しく言われると解雇し、それを繰り返し12歳で真面目な家庭教師は居なくなった。
それ以降はシアが「一緒に頑張りましょう。」という感じでしたが、3ヶ月も持たずに完全ボイコット。
その後は、お決まりの下位貴族の劣等令息とつるみ、王族としての業務はシアに丸投げ。
しかし、シアは、「そういえば、あの頃もこんな風にやらされていたなぁ。」とか言いながら馬鹿王子の代行をしていた。
シアも一応は、矯正を目指して真摯に馬鹿王子に接していたが、宿命でも背負っているのか、シアの頑張りは徒労に終わってばかりだった。
そして、俺達が書類上14歳になる年に学園に入学すると、運命と言わんばかりに、男爵家の養女になった「ケータヴァーナ=ハーマ=タァーヘクンピ」と男女の関係になり、一応は気を付けているのかキスまで使い、宰相の三男とか、王宮騎士団副団長の次男とか、宮廷楽師長の長男とか、学園の独身教員とか、王子の取り巻きを自分の信者に加えた。
ケータヴァーナが信者を増やしていくと、それに肖ろうとする馬鹿貴族の令息令嬢が増え、終いには何人かの平民まで居た。
それでもシアは1年半頑張ったが、心肺停止2時間後からの蘇生が不可能に近い様に、馬鹿王子の矯正は打ち切られた。
そして、それを待っていたかの様に生徒会主催のダンスパーティーで、馬鹿王子は隣にケータヴァーナを呼び腰に手をやり、宣言した。
「ツコンポー=ラングァーデは第3王子として、シアリス=ネーアセリムとの婚約を破棄をする!」
「王族のツコンポー=ラングァーデ第3王子からの婚約破棄を謹んでお受け取りします。」
「良いのか! 婚約破棄だぞ!」
「はい。」
「ふ、ふん。自分の立場は良く分かっている様だな。」
「それで、其方の方は?」
「あ、ああ。ボクは、このケータヴァーナ=タァーヘクンピ男爵令嬢と婚約する事を宣言する!」
「ごめんなさい。貴女の婚約者を奪っちゃって。でも、そんな醜女じゃあ仕方ないわよね~。」
「承知しました。さて。」
シアの纏う空気が変わる。
……小春日から厳冬に。
「これで、私はこの王国の王子の婚約者と言う立場が消えました。因って、これからはネーアセリム公爵家の者として対応します。先ずは、ツコンポー王子殿下には、婚約不履行により慰謝料を請求します。更に、公爵家令嬢の私との『婚約』という繋がりが失った為に王族としての身分を剥奪されます。」
「え!?」
「更に、そこの男爵令嬢のケータヴァーナ=タァーヘクンピにも慰謝料を請求すると同時に退学を言い渡しします。」
「……え!?」
「そして、男爵家令嬢の貴女が公爵家の娘である私を侮辱しました。ですから、そんな娘を養女にした男爵家への資金援助を停止して、今まで提供した資金の即刻返還を請求します。」
「止めて! お義父様は関係無いわ!」
「私にも関係有りませんから。そして、同じく私を侮辱した者達への退学を言い渡し、同じく資金援助を停止して、今まで提供した資金の即刻返還を請求します。」
「ちょっと待て! 何故、公爵家令嬢に過ぎないお前が、ケータヴァーナ嬢やボク達の退学を決定出来るんだ! それに、同じ様に、何故、資金援助の停止と即刻返還を請求する事が出来るんだ!」
「簡単な理由です。この学園の総理事長は私だからです。ねぇ、貴方も見たわよねえ。採用時に理事長の横に座る私を。勿論、教員の責任を忘れている貴方も解雇よ。当然、今日までの給金は無し。」
「そんな……」
「そして、貴方達に資金援助していたのは、私個人から出した資金だからです。」
「そんな大金は何処から……」
「私、幼少の頃に領地でミスリルの鉱脈を発見しまして、発生する権利全てを頂きましたのよ。」
「なっ!?」
「ですから、10程度の貴族家への資金援助は大した事はありませんの。勿論、同調して私を侮辱した平民も退学です。敢えて私からは何もしませんが、公爵家に睨まれた者がまともな仕事にありつけるのかしら?」
「ああ……」
「皆さん。私は公爵令嬢ですから。」
そして、ダンスパーティーは中止になり、学生達は散り散りに去って行った。
「お疲れ様、シア。」
「ありがとう、シオン。」
「シア、頑張ったわね。」
「私、頑張ったわ、ミア。」
「格好良かったわよ、シア。」
「ありがとう、リス。」
「シア、やっと言えたな。」
「ええ。あの時に言えなかった想いを言えたわ。」
俺達はこうなる事を願ってシアに馬鹿王子の婚約者をお願いした。
そして、見事にシアの心にあった唯一の「刺」を取る事が出来た。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
シアの言えなかった想いとは、第13話の「シオンとカルミアの学園生活」を参照してください。
後、当然ですが、資金援助した貴族家は全て没落して、何家かは消滅しました。
同調した平民は、奴隷に堕ちています。
家族は最底辺の仕事にはありつけました。
家族に入学前の娘が居た場合、娘だけは修道院に送られました。
送られた修道院の後援者が主人公達というオチ付きで。
流石に巻き込まれた幼い女の子が可哀想と思ったみたいです。




