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王都ダンジョン

主人公の実質的なダンジョン・マスターとしてのデビューです。

「おー。先ずは冒険者が次々に通路を進んで行くぞ。」

「結構、団体で来ているね。」

「そうだな。ん? 次は装備品がイマイチだな。つまりは、新米以上の1人前以下の冒険者だな。」

「今日が初日という事で、分けたのかしら?」

「そうだろうな。一応は、ギルドマスターには研修用階層の説明をしているからな。」

「あら、緊張した面持ちの小さい子供達がちょっと年配の冒険者の後を付いて来ているわ。」

「全てという訳にはいかないが、声を拾える様にしている。」

「本当なの?」

「ほら。」


『ねえ、おじちゃん。わたしたちはここで、草をちぎって持ってかえれば、お母さんがよろこぶの?』

『おじちゃんでは無く、ザックお兄さんだ。』

『ザックおじちゃん?』

『ザックお兄……、ザックおじちゃんで良いよ。そうだよ。持って帰る草は、オレが教えるから大丈夫だ。』

『でも、お父さんが前にダンジョンはあぶないって言ってたよ?』

『大丈夫だよ。おじちゃんとした約束を守れば大丈夫って偉い人と約束したからな。』

『ほんとうに?』

『ああ。本当だ。たがら、皆もおじちゃんとの約束を守る事。良いな?』

『は~い。』


「何か、微笑ましいわ。」

「そうだな。きちんと、説明通りに行っているな。」

「そろそろ冒険者が、7階層の本命のダンジョンに到着するみたいよ。」

「7階層からのダンジョンの構成はどうなっているの?」

「7階層からのダンジョンはな。」


俺は7階層からのダンジョンの説明をした。


「7階層はごく普通の迷宮のダンジョンだ。出るモンスターもゴブリンが3~5匹とか、コボルト3~5匹とか、ウルフ3~5匹だな。宝箱の中身は回復系のポーションか鋼鉄の武器のいずれかだな。」

「他には何か無いのかしら?」

「最初の階層から飛ばす訳にはいかないからな。軽くだ。」

「じゃあ、8階層はどうなの?」

「8階層は上の階層の内容に足して、遠距離攻撃が出来るモンスターが混じって来る。」

「どんなモンスターかしら?」

「ゴブリンとコボルトには、アーチャーが加わる。」

「宝箱はどうなの?」

「宝箱は上と同じだな。階層が変わる毎に中身を変えていたらキリが無いからな。」

「では、9階層は何が有るのかしら?」

「9階層にはゴブリン・ソーサラーが加わる。」

「他には無いの?」

「迷宮の規模が上の階層よりも大きくなっている。」

「それで良いのかしら?」

「ああ。変に1階層毎に難易度を変えると、結果的に冒険者が入らなくなるんだ。だから、洞窟から密林に変えるだけなら、それ程の問題にはならないけど、同じ洞窟で上下で必要な強さに開きが有ると駄目なんだ。」

「そうなのね。」

「そうなんだよ。後は、10階層は9階層と同じ迷宮だけど、この階層には『エリア・ボス』が居る。これを倒さないと下の階層に行けない様になっている。」

「エリア・ボスは必要かしら?」

「この『エリア・ボス』は、区切りで有り目標になるんだ。」

「そっか!」

「ミア、分かったのかしら?」

「うん。区切りや目標にする事で、冒険者達をより長くダンジョンに拘束させる為に必要だし、冒険者達の強さの底上げの為だね。」

「ミア、正解だ。たがら、『エリア・ボス』を倒すと宝箱を出す。この階層迄では、手に入らない少し価値の有る内容の宝箱を出す。これが目標の1つになり、更なる下の階層への呼び水になるんだ。」

「因みにどんな宝箱かしら?」

「金貨10枚と各ポーション人数分。」

「エリア・ボスは何を出すの?」

「ゴブリン・キングとゴブリン・アーチャーとゴブリン・ソーサラーとゴブリン20匹。」

「多くない?」

「でも、これを突破出来れば、冒険者Cランク確定の実力の保持者だよ。これを突破出来ればCランクだし、突破出来るのがCランク以上という訳だ。つまり、突破出来ない冒険者は肩書きが何であれ、Cランク以下という証明になる。」

「振るいに掛けるのね。」

「当たり前だろ! 俺のダンジョンに寄生は認めない。」

「寄生って何?」

「金や権力等を使って、結果だけ自分の物にして自分の価値を高めようする馬鹿。」

「そういう人が居るのかしら?」

「今は居なくても、いずれは出てくる。だから、『エリア・ボス』には、戦いに参加しないヤツが居たら、集中攻撃する様に命令している。」



こうして、俺達はダンジョンを攻略しようとする冒険者をコア・ルームで、俺に胸をべったり引っ付けているミアとシアの頭を撫でながら見ていた。


「シオン、あそこが何かおかしいわ?」

「何処? ……ああ。此処か!」


シアが指差す先では、トカゲの尻尾切りが発生していた。


『リュイ、このままではヤバい。だから、荷物持ちのお前がおれ達の役に立って貰う。』

『フウル、どういう事だ?』

『だから、お前が此処でモンスターの足止めをしろ! その間におれ達は逃げる。』

『そんな。オレ達は仲間だろ?』

『ああ。仲間だったな。最後におれ達の役に立てよ。』

『お……、グゥっ!』


フウルという冒険者は、リュイという荷物持ちの足にナイフを刺し逃げ出した。

残ったリュイは足の怪我で動け無い様だな。


「ダンジョン・マスターとして命令する。

今、怪我を負った者は無視して逃げ出した冒険者を殺せ!」


今、リュイを襲おうとしたモンスターは俺の命令に従い、逃げ出した冒険者を追い掛けて襲った。


『あの荷物持ち、時間稼ぎも録に出来ないのかよ。』

『そんな事よりどうするんだ?』

『知るか!逃げるしか無いだろうが!』

『グギャッ!』


逃げ出した冒険者は追い掛けて来たモンスターに追い付かれて俺の命令で処分される。


「俺はああいう屑は昔から嫌いなんだよな。」

「そうだったね。」

「あの荷持ちのリュイとかいう人は、どうするのかしら?」

「ほっとく。」

「荷物持ちをさせられているんだ。多分、傷薬とかが有るだろう?」

「本当だ! 荷物から、傷薬と包帯を出しているわ!」



更に、3日経ったダンジョンでは、ミアやシアが眉間に皺寄せる事、……いや、唾棄(だき)すべき事が行われていた。


『おい。大人しくしろ!』

『嫌。離して!』

『おれ達がお前を守ってやる代わりにおれ達に奉仕しろ!』

『嫌よ。私を誘った時と言っている事が全然違うじゃない!』

『そんな事はどうでも良いんだよ。痛い目に遭いたく無ければ、おれ達に従え!』

『絶対嫌っ! 私は冒険者として生きていくんだ! だから、誰があんた達みたいな最低野郎何かに従うもんか!』

『おい! 多少は構わねぇ。手足にナイフを刺して動け無い様にしてしまえ!』

『イヤアアアア!!』


「シオン!」

「分かっている。」

「早く!」

「ダンジョン・マスターとして命令する。

今、悲鳴を上げた女冒険者の周りに居る冒険者を即座に拘束せよ!」


俺の命令に従い近くに居たモンスターが、即座に移動して集まり屑冒険者を拘束した。

今にも女として襲われそうだった女冒険者は困惑していたが、大量のモンスターが現れ、屑冒険者を拘束して充分に拘束すると余ったモンスターは去って行き、屑冒険者は拘束したままで居る事の意味を理解したのか、女冒険者は黒い笑みを向けた。


『おい。何だよ? 何でモンスターがおれ達を拘束するんだ?』

『そうか。お前、テイマーの力を隠していたな?』

『そんな訳無いでしょ。自身の危機に才能が目覚めて無事に困難に打ち勝ちました。……なんて、物語でも有るまいし。』

『じゃあ、何故だ?』

『知らないわよ。でも、このダンジョンの支配者はえらく紳士のようね。』

『どういう事だ?』

『あんた達みたいな最低野郎は、お嫌いみたいよ。』

『なあ、さっきの事は謝るから仲直りしないか?』

『そうだぜ。あれは、おれ達の軽い冗談だ。』

『アレが……ね。ふざけんじゃないわよ! ダンジョンの支配者さん。もう暫くお待ち下さいませ。直ぐにゴミを黙らせ処分しますので。』

『おい。おれ達、仲間だろ?』

『軽い冗談だったんだ。本当だ!』

『五月蝿い。死ね!』


屑冒険者は色々と喚いていたが、女冒険者に首を順次斬られて沈黙した。

屑冒険者を拘束していたモンスターは処分が終了した時点でこの場から去って行った。

女冒険者は、屑冒険者から所持金や自身が使えそうな装備を剥ぎ取り、冒険者の証を全員分を自身の袋に入れた後、都合良く俺達の目線が合う形で向きを変えてお辞儀をした。

見えている訳が無いだろうが、目線が合うのでドキっとした。

お辞儀を済ました女冒険者は、ダンジョンの出口に向かって歩き始めた。


「ダンジョン内では、ああいう屑冒険者が居なくならないのが、辛い所だな。」

「シオン、ありがとう。」

「当たり前だ。俺自身が、ああいう最低野郎が嫌いだからな。」

「あの女冒険者はほっといて良いの?」

「特に問題無い。周りに言っても誰も信じない内容だからな。それに恩を感じている事を有象無象には話さないだろう。」

「そうね。これで、更に冒険者の数が増えるわね。」

「シアには解るか?」

「ええ。あの女冒険者は信頼出来る同性の冒険者には話すでしょうね。そうなれば、このダンジョンに女冒険者が増える事になり、それに釣られる形で男冒険者が増える事になるわ。」

「流石はシアだな。」

「へ~、そうなんだぁ。」

「ミア、責任有る立場を背負う事が無くなってからは頭の回転が遅くなってないかしら?」

「そうかも~。」

「ミア、ボケるのは早すぎるぞ。」

「ボケじゃないもん!頑張る義務が無いからしないだけだもん。」

「先は長いからまだまだ頑張らないといけないぞ、ミア。」

「分かりましたぁ!」


ミアは、王家の重圧から解放されて以来、初めて会った頃に戻っていたが、シア1人で頑張っているのでミアに発破を掛けた。



アレから数週間が経ち、ダンジョン経営は順調だった。

小さな子供達も大分慣れたのか、キレイに薬草を採取し始めていて、恐らくは孤児院の子やスラムの子供達も参加し始めていた。


『メアリーお姉ちゃん。このやくそうはこのねもとからちぎれば良いの?』

『そうだよ。そうそう、上手に出来たね。』

『えへへ。ありがとうメアリーお姉ちゃん。』

『さあ、皆。頑張ろうね。沢山持って行けば沢山お金を貰えるわ。そうしたら、お母さんが喜ぶわよ。』

『は~い。』

『勿論、丁寧にキレイに採れればもっとお金が貰えるわ。』

『わかってま~す。』

『宜しい。』


今回来ている孤児院の年長者が、指揮を取っている様だな。

少しご褒美をあげようかな。


『……あれ? 見た事が無い薬草だわ。』

『ザックのお兄さん。この薬草は何?』

『これは!? 幻花草だよ。良く見つけたな。』

『この薬草は高いの?』

『ああ。この1本で銀貨20枚には成る。』

『……!?』

『どうやら、このダンジョン・マスターはダンジョンを監視しているという噂は本当みたいだな。』

『え? 監視?』

『そうだよ。メアリーが頑張っている所を見たダンジョン・マスターからのご褒美だな。』

『ありがとうございます、ダンジョン・マスター! これで、マザーを少しでも楽させてあげられるわ!』



因みに、ミアとシアはとうとう我慢出来ずに、共同で王都を挟んで反対側にダンジョンを作成中だ。

どんなダンジョンを造るか聞いてみると、女性だけのダンジョンを造るらしい。

一応、出来上がってダンジョンの出入口を開ける前に俺がチェックする事になっている。

どんなダンジョンを造るか楽しみだな。


さて、11階層からのダンジョンだが、同じく洞窟の迷宮のゴブリン系やコボルト系のモンスターが出現するがこの階層からは、魔法を使うモンスターの出現率を1.5倍にして有る。

真っ直ぐにモンスターを倒しながら、下の階層に繋がる階段を見つけるだけでは、15階層のエリア・ボスのドアを開けれ無い様にしてある。

各階層の宝箱からランダムに出るアイテム『鍵』を各階層に1つずつ出る様にしてある。

この各階層の5個の『鍵』が無いと15階層の扉は開かない。

効率厨等の奴等には楽に行かせてやらん。

その代わりにこの各階層の宝箱の出現率を上げているから、損はしない筈だ。


それで、15階層のエリア・ボスは、ハイ・オーク5匹とジェネラル・オーク3匹とオーク・キングが1匹だ。

散々、ダンジョン内を駆けずり回った鬱憤を真っ向勝負しか出来ないオーク達にぶつけるが良い。


16階層からが本番だ。

15階層迄では遊び心が有ったが、この階層からは違う。

前の階層迄ではBランクで、この階層からはAランク対応にして有る。

先ずは、16階層は「草原」にして有る。

しかし、只の「草原」では無い。

出てくるモンスターも、この階層に見合うモンスターを用意した。


おや? 早速だが、16階層に到達した優秀な冒険者達が来た様だな。




暖かい応援メッセージと星の加点をお願い致します。

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