シオンとカルミアの学園生活
やってみたかった学園令嬢物。
マトモにやると10万文字は越えるので、軽くです。
俺とカルミアの学園生活が始まったが、最初から騒動が絶えなかった。
問題有りと判断され婚約破棄となったにも関わらず元婚約者が未だに婚約者の様に接して来た。
「カルミア。何故、おれという婚約者が居るにも関わらず、男の隣りに居る?」
「ヴァグア様。貴方とは既に婚約者では有りません。そして、この方シオン様が私の正式な婚約者です。元婚約者の貴方が私の事を名前で呼ぶのは不敬罪です。今回は流しますが、次は有りません。」
「な!?」
「ヴァグアと言ったな。俺の婚約者に馴れ馴れしく、名前で呼ぶのは辞めて貰おうか。不愉快だ。」
「いきなり現れて、カルミアの婚約者と名乗る貴様なんぞ、おれは認めんぞ!」
「貴様は、この国の国王陛下が御決めになった正式な婚約者で有る俺を認めないと言うのだな?
国政に関わる上位貴族でも無く、その当主でも無い貴様が認めないと言うのだな?そして、先程にまた、我が婚約者を不敬にも名前で呼んだな。」
「んぐっ。」
「我が婚約者が2度目は無いと慈悲を与えて頂いたにも関わらず、言ったな。」
「それは思わずで……」
「そんなの関係無い。婚約の公表が昨日や今日という訳では無いのだからな。
ちょうど良い。そこの衛兵。カルミア=リブロ=イデクスの名に於いて婚約者シオン=ラングァーデが命ずる。この者を、不敬罪と国家反逆罪で投獄しろ。」
「待ってくれ。おれは……」
「何をしている?早急に投獄せよ!」
「は!」
「カルミア。俺と出逢うまであの様な馬鹿が周りに居たのか?」
「はい。婚約破棄するまでの毎日が大変でした。」
「良くあの様な愚か者が婚約者に選ばれたな?」
「婚約する前は良かったのですが、婚約後は何か勘違いをしたみたいで徐々にあの様に変わり果てました。」
「カルミア。これからは、俺が守るから安心するが良い。」
「はい。シオン様。」
転入2日目にこれだ。
あれから2年の月日が経った。
色々な思い出が有り、穏やかに日々を過ごす中、記憶に残る良い思い出は、約1年前の2泊3日のモンスター討伐研修だな。
この時は、カルミアと仲の良い友人達と組む事が出来、楽しく過ごす事が出来た。
他には、半年前の教師が出した問題を解くという課題だった。
ただ解くのでは無く、学園に通う生徒では、到底解けない課題に四苦八苦したな。
図書館に通いつめ、それでも解らない所は、専門家に聞くしか無いが、その専門家に渡りを繋げるだけでも一苦労した。
この課題を解くに当たって、1年前に組んだ友人達と合同で取り組んだ事が成功に繋がった。
課題の達成感にカルミアは涙を流して喜んでいた。
勿論、嫌な思い出も有った。
細かい事や無視出来ない事等が有ったが特に不愉快だったのが、あれは1年半前辺りで、カルミアに反感を持つ貴族令嬢達が、カルミアを貶める為に噂を流していた。
「カルミア王女殿下は一体、何処の出自の知れない方と婚約されたのでしょうね。」
「そうですわね、アバス様。」
「王女殿下と云えども第3ともなると、血統以外でも問題無いという事かしら。カラデビ様もそう思うわよね?」
「カルミア王女殿下も大変ねぇ。あの様な出自の解らない殿方と婚約されて。」
俺はギュッと握るカルミアの手を見て動いた。
「おや?ご令嬢方、楽しそうに話されていますね。」
「え!?」
「あのこれは……」
「これは大変だ。顔色が良く無い様に見えます。」
「いえ、大丈夫ですわ。」
「大丈夫では有りません。御二人共に休まれた方が宜しいでしょう。私から国王陛下に進言して、国王陛下の御命令が無ければ、住む事が許されない特別な別荘が御座います。
是非ともこの期に御家族と一緒に静養されては?
聞く話しによれば、とても静かで堅牢な建物らしいですよ。」
「お心使い感謝しますわ。でも、本当に大丈夫ですので失礼致します。シオン様。カルミア王女殿下、御前失礼致します。」
「わたくしも失礼致します。」
「そうですか。貴女方の名前は覚えたので、何か有りましたらお力添えが出来ると思いますよ。 」
「シオン様。私の為にありがとうございます。」
「カルミアは俺の婚約者だ。婚約者を守るのは当たり前だ。」
……と、こんな事が有った。
昔の事を思い出していると、カルミアの足が止まった。
カルミアの目線の先は親友と云える間柄の、確か「ネメシア=サフラワナ」だったか。
そして、第2王子ガレ=リブロ=イデクスの婚約者だ。
「シア、どうしたの?」
「ミア、何も無いわ。大丈夫よ。」
「でも、そんなに苦しそうな顔して気になるわ。」
「ミア、本当に大丈夫だから。」
「私はシアの大切な親友よ。それに将来は義理とはいえ、姉妹になるのよ。何でも話してね?」
「ありがとう。ミア。」
ネメシアがカルミアから去って行くが、カルミアは動けずにいた。
「私はシアを信じるわ。いつか話してくれるわ。」
「カルミア、大丈夫だ。俺もネメシア嬢を信じる。だから、気に病むな。」
「はい。シオン様。」
この後、1人になった時に情報収集を任とする立場を統括する、通称「影」を呼んだ。
「影。ネメシア嬢の身辺を探れ。」
「はっ!」
それから、大した騒動も無く半年が経ち、俺達は卒業パーティーに出席する。
同時にパーティーが終わった時に国王が俺達の結婚式の日時を発表する手筈だ。
俺は卒業パーティーの準備をしながら、影から持たされた情報を精査していた。
この情報を影が持って来たが、持って来たのが影で無ければ信じられない内容だ。
残念ながら、未来の遺恨を残さない為にも卒業パーティーは辛い記憶に成るかも知れないな。
卒業パーティーの当日
既に卒業パーティーは始まっている。
俺達は入場の順番待ちだ。
次々に入場する中、俺達の順番が回った。
「第3王女カルミア=リブロ=イデクス殿下。婚約者シオン=ラングァーデ様の入場です。」
俺達は入場して、卒業パーティーを楽しんでいると、とある一角が騒がしくなって来た。
俺は内心、遂に始まったと重い気持ちになった。
「このおれ、第2王子ガレ=リブロ=イデクスは、婚約者ネメシア=サフラワナとの婚約を破棄する。」
「ガレ王子殿下。何故です?」
「ネメシア、見苦しいぞ。この期に及んでまだ認めないつもりか?」
「何の事なのか分かりません。それにガレ王子殿下がその手で抱かれている方は誰ですか?」
「おれは、真実の愛に目覚めた。」
「真実の愛ですか?」
「そうだ。彼女イスカ=リオーテがおれを真実の愛に目覚めさせた。」
ここで、何故、年が違う筈の第2王子が居るかというと、最初は、他国に留学していたが、それが終わった後に改めてこの学園に入学したのだ。
「幾ら殿下でも、国王陛下の御決めになった正式な契約を勝手に破棄する事は出来ません。」
「だからこそこの場を選んだ。」
「何故です?」
「ネメシア。イスカにイジメをしていただろう。」
「そんな事していません、!」
「言い訳するな。」
「イスカへのイジメの報告はまだ有る。イスカのノートや教科書を破いたり、授業に必要な事をイスカにだけ教えなかったり、わざと服に水をかけたり、イスカを階段から突き落としたという報告迄有る。」
「全て、デタラメです。」
「報告は全てが本当です。」
そこには、王宮騎士の副団長の長男に次席書記官の次男や、王都第2位の商家の長男に幾つか有る子爵の3男がガレ王子殿下の周りを固め、副団長の長男が発言した。
「報告が有ると言いましたが、証拠と成る物証は有るのですか?」
「そんなモノは必要無い。イスカ自身が言っている事が真実で証拠に成る。」
「そんな話は承服出来かねます。」
「ネメシアが、どんな事を言おうとも、罪は明白。よって、第2王子として、婚約破棄を持って断罪する!」
ネメシア嬢が耐えきれなくなったのか、手で口を隠した。
俺はネメシア嬢の限界と判断して動く事にした。
後ろから、そっと影が資料を持って来た。
俺は資料を手に前に出た。
「偽劇の中、失礼致します。俺の名前は、シオン=ラングァーデと言います。そして、第3王女カルミア=リブロ=イデクスの婚約者です。」
「貴様の様な者などこの場に立つ必要は無い。」
「そういう訳にはいきません。さて、貴女のお父上の爵位迄は存じませんが、貴女に質問が有ります。」
「何ですか?」
「そうですね。先ずは、ノートや教科書を破いた日を覚えていますか?」
「覚えています。あの日は5ヶ月前の8月12日の午前中の休憩時間の時です。」
「そうですか。資料に因りますとその日は、ネメシア嬢は急病で学園を休まれております。」
周りがざわめき始めた。
「次の質問です。イスカ嬢にだけ授業の事を教えなかったのは何時ですか?」
「……それは、約2ヶ月前の10月24日の事です。」
「嘘ですね。その日は、ネメシアの父上と共に自分の領地に戻られております。」
「そんなの嘘です。」
「次の質問をしましょうか。イスカ嬢を階段から突き落としたという事ですが何時ですか?」
「……」
「言って頂かないと貴女が困りますよ。」
「……、約1ヶ月前の11月22日よ。」
「やはり、それも嘘です。その日は、ネメシア嬢はカルミア王女と共に王妃のお茶会に招待されております。」
「そんな……」
「ネメシア嬢。先程迄の俺の発言に誤りは有りましたか?」
「シオン様。一切有りません。」
「さて、この様に此方には物証と云える証拠が御座いますが、まだ何か有りましたら仰って下さい。」
「……ガレ様。」
暫くの沈黙が場を支配する中、発言する者が現れた。
「其処まで。」
「お父さ……、国王陛下。」
「話は聞いていた。余は実に残念でならぬ。」
「父上、おれは……」
「ガレこそ、言い訳するでない。」
「ネメシア嬢よ、すまなかった。」
「国王陛下、お顔を上げて下さい。」
「そういう訳にはいかん。子の責任は親が、王子の責任は国王が取らねばならぬ。
もう一度言う。すまなかった。」
「国王陛下、お顔を上げて下さい。国王陛下の御言葉を受け入れます。」
「そうか。感謝する。さて、この場で出来る謝罪は済ました。次は、此方の責任を取らせるとするか。」
「父上……」
「第2王子ガレ=リブロ=イデクスに王位継承権を剥奪とする。」
「な!?父上、何故です?」
「真実の愛などとほざいているが、真実を見抜く目を持たず、周りの虚言を疑わずに聞く耳を持ち、本来最も信頼すべき人物を信じぬ心。そんな者など、国の責任を背負う権利は無い!」
「……父上」
「衛兵。この者達と親も投獄せよ!」
「は!」
「父上ー!」
「ガレ様。どうしてこんな事に。私はただ楽で贅沢な暮らしをしたかっただけなのに。私が悪い訳が無いじゃない。そうよ、ネメシアが全て悪いのよ。あんたが私の幸せを奪ったんだわ。返してよ。私の幸せを返せ。」
「愚かな女だな。」
「こんな事になったのもお前が割り込んでくるからでしょ。国王様。どうして私がこんな目に会わないといけないんですか?悪いのは、全てこの女と割り込んで来たこの男が悪いんだから、この2人こそ、つかまえなさいよ!」
「自身の立場も弁えぬ愚か者が!衛兵!このゴミを早く片付けろ!」
「ネメシアー!全てお前が悪いんだからー!!」
衛兵が動いている中、カルミアはネメシア嬢を抱き上げて慰めていた。
「シオン殿。愚息が迷惑を掛けてしまい申し訳無い。」
「俺はカルミアの為に動いただけですよ。」
「そうであるか。」
「其よりも、ネメシア嬢の誇りを救い、彼女の望む未来を用意する方が重要です。」
「シオン殿がそう望むのなら、そうしよう。」
「それでお願いします。」
場が落ち着いた時、国王が発言した。
「今年の卒業パーティーは、我が愚息のせいで悲惨な結果になってしまい残念だ。この責任は何らかの形で果たしたいと思う。
さて、この様に状況では有るが王家から1つ報告が有る。それは、この場に居る、我が娘第3王女カルミア=リブロ=イデクスとシオン=ラングァーデ殿との結婚式の日付を発表する。
結婚式の日付は、2年後の12月24日とする。」
国王の発表で、周りからの祝辞が飛び交った。
俺は無難に対応した。
カルミアは笑顔で1人1人に返事を返していった。
卒業パーティーは終了して数日。
カルミアはネメシア嬢の所に行っている。
多分、励ましているのだろう。
俺はアリア達が、自分達で調整したダンジョンを順に確認している。
どれも、頑張った所が有り、アリア達全員を良く出来た所を誉めて抱き締めた。
アリア達はかなり喜んでくれた。
誉めて抱き締める程度で、良いのかと思うのだが、事前にバレない様に調査したら、この答えだった。まあ、本人が喜ぶ御褒美の方が良いかと思う事にした。
また、特に起伏も波風が立つ事無く、カルミアとの結婚式の準備が進み、2年が経ち結婚式当日を迎え、滞りなく終了した。
因みに結婚式は、第1段階が日本風に第2段階は洋式風にした。
俺の我が儘で、両方の美しいカルミアを見させて貰った。
結局は前世では、両親に俺の結婚式を見せられなかったからな。
せめともの親孝行だ。
数日の結婚式パーティーを無事に終了させて、3ヶ月が経ち、俺達が治める領地に向かう。
アリア達も一緒だ。
カルミアは不満気だが、領地に着いたら理由を話すと伝えて我慢して貰っている。
領地は、王都から南方に有る中程度の規模の街だ。
実は、結婚式以降、まだカルミアを抱いていない。
領地に着き、落ち着いたら、俺達の正体を話そうと思う。
それでも尚、俺を受け入れるのなら、本当の夫婦になろうと思う。
領地「ラングァーデ」
俺達が治める領地という事で街の名が2年前から改名された。
夫婦の寝室でカルミアと向き合っている。
「カルミア。俺は真実を話そう。」
「シオン様。待っていました。」
「俺の秘密は……」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願い致します。




