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初陣だったりします?

 俺は突きつけられたこの世界の自分にただ虚しくなった。


 視野狭く廊下を歩く。


 目的地は言われた通り自分達の教室なわけだが、この世界が一体どうなってるのか、俺はこの時から少しずつ知ることになる。


 クラスの3分の2の人数は既に教室にいて、そして窓の向こうに視線が向いてる。


 雰囲気はあまり良いとは言えない。


 俺も視線を向ける。


 そこには巨大な化け物がこの校舎めがけて歩いてきている。こんな巨大な化け物が街を侵攻するとか本当にアニメみたいな世界だな。 



 少なくても俺はそういうアニメを知っている。

 さしずめ同じ大きさのロボットでも出てくるのかと少し期待をして外を眺めていると想像より下回る愚行を目にする。



 ここまでのこの世界を振り返れば確かに魔法だマナだと言ってる世界だ。

 確かにそれを活用して戦闘はするだろうと思ったが、背中に羽根を連想させるような機械を背負って制服を来た奴らが化け物に向かっていく。



 あぁそれで魔法で撃退できるタイプの世界か。



 じっと戦闘を見ていると、そんなに悠長な展開では無かった。

 明らかに魔法を使った攻撃が化け物に傷を負わしているようには見えない。というよりバリアみたいなもので遮られてそもそも届いていない。



 そして呆気なく空を自由に飛ぶ彼らは、その巨大な化け物に堕とされていく。


 まるでたかる虫だ。


 大丈夫なのかこれで…と不安に思っているとクラスメイトの女子がひとり倒れた。

 見るからに体調不良というより目の前の惨劇にショックを受けた感じだ。



 嫌な予感がする。



 まさかと思い1人のクラスメイトに尋ねてみた。



「ああいう化け物がくることってよくあるの?」



 涙目でそのクラスメイトは首を横に振った。


 え、じゃあさっきの勢いよく飛び出た学生達は初めての初陣だったということなのか?



 謎が増える。



 冷静に状況を分析してる俺とは真逆に待機を命じられたクラスメイトは酷く怯えながらも窓の外の光景に釘付けになりその場から動こうとしない。


 なんで逃げないんだ?


 俺の増え続ける疑問は答えを出すことなく状況は進んでいく。


 この広い学校の領地に足を踏み込もうと怪物が足を上げると、怪物は何やら結界のようなものに弾かれ一旦動きを止める。



「お待たせみんな!教室ごど地下シェルターに転移させる準備が整ったわ!」



 ここで学級長寺島 忍が息を切らして教室に入ってきた。


 黒板に見知らぬ御札を貼り、何やら呪文らしきものを唱え始める。


 なるほど。

 それでクラスのみんなはこの教室に留まって居たわけか。


 学級長の登場で少し教室内の雰囲気が和んだがそれも一瞬だった。


 怪物、見た目は巨大な骸骨人間みたいな感じの二足歩行生物。その骸骨は突然大きく口を開き、そこにマナが集まるのが見て取れる。


 何が起こるのか俺は少し期待してしまったが、結論から言えば予想通りだった。


 集まったマナの集合体は一直線にこちらに向かって放たれた。これぞまさにビーム砲だ。



 学級長との雑談の中で、校舎含め敷地内全てを守る結界が張られていて安全だと言う事は聞いていた。怪物の放ったビーム砲は一度そこで軌道が止まる。


 結界に阻まれるビーム砲は段々とその太さを細めていく。怪物のエネルギー切れかと思ったがそうではなかった。より細く一点集中型に切り替わっただけだと後から気付いた。


 そして結界をぶち破って校舎に向かってマナの光が伸びる。



 目の前の窓ガラスをぶち割り、そして俺の身体を貫いた。



 ー!!!!!

 ーえ。



 細く伸びた光は俺の右胸に人差し指くらいの細さで胸を貫いた。


 息が出来ない。

 傷口をハッキリと確認出来た瞬間に心臓の鼓動が早くなり痛みが走る。

 激痛なんてものでは無い。


 これはこの世界に来る時に感じた『死への痛み』に限りなく近い。


 俺は死ぬのか…幸か不幸かこの新しい世界に新しい人生を歩もうとし始めたばかりで。


 平凡が嫌で世界が変わるのを願ってて、

 変わらない自分の弱さが嫌で世界が変われば自分が変わると思ってる。

 だが俺はこの新しい世界で今まだチュートリアルの真っ最中だ。


 何もしていない。


 段々と意識が遠のく。



 すると体内から感じた事の無い熱量を認める。



 ー『潜在魔法ポテンシャルスキル マナ・リビルド 発動』



 俺の思考内部にその文字が現れ、確かに見知らぬ声が俺の中でそう唱えた。





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